2024/05/30

■ まなぶ - 連休明けの3人(2)


 5月の連休明けにチョイと机に向かった人を、3人ほどご紹介中。おとといの続きです。

 Bさん。年齢30代、宮仕えをヤメて自営業。私大御三家(?)の経済学部卒。実は旧帝大を受験して不合格。とはいえやはり学校時代の16年間はある程度は人並みに勉強した人でしょう。私などこの方の爪のアカでも...。

 こだわりのないストレートな性格。高校生のときは大学めざして一途に努力したけど、落ちてすぐ私大へ。私大受験科目は、英語・国語・数学。つまり社会科の科目ではありません。彼にとっては、大学のこだわりは、過ぎてしまえばもう不要。まして文系理系の区別など、18歳の一時的便宜的区別。7歳の運動会で赤組になったか白組になったかという区別と同じレベル。社会に出たら不要。「文系は事務屋・理系は技術屋」という昭和ステレオタイプとそれに伴う優越感劣等感はゴミ箱へ。経済学も哲学も数学も言語文法も法学も、論理構造のコアは、記号や言語という外延を定義済みの概念を用いた論理学の分野なんだから、この時点で文系理系の区別は破綻していないか?...という持論です。

 仕事は自分のオフィスの自作ハイスペックPC複数台を忙しく操作。早朝深夜土日も仕事。平日朝夕の交通頻繁な時間帯は外に出ず、平日昼に、用足しや健康のエクササイズや昼寝。1年中連続して仕事なので、「気分転換」「仕事を離れた休日気分」などはなく、それで別にかまいませんでした。

 数年来の仕事も慣れた頃、とある6月の日曜日の爽やかに晴れた静かな朝、平日なら通学の時間帯に、所用で近くのコンビニに歩いて行くと、意外にも社会人風の若い人たちで混雑しています。人の流れを見ると、近くの高校の校門へと吸い込まれていきます。コレは何かの試験とか? と推理し、門前を見ると「危険物取扱者試験会場」。

 「危険物」だなんてまるっきり縁がない世界。でも、勉強したみんなが年の差なく集まって努力の成果を試す場...。なんだか忘れかけていた充実感のような羨望の気持ちが湧いてきました。しかも、こんなすぐ近くで「国家試験」が受けられるとは。

 自分も参加してみたくなりました。調べると、化学の分野の資格ですか...。思い出すと、物質量の手計算から始まって、熱化学方程式や酸塩基や酸化還元反応など理論編、物質各論の金属非金属、果ては大物難物の有機化合物まで思い出すと...、改めて勉強できる自信はゼロ。自分には全然関係ない...けど、資格試験の出題内容を調べてみると、「化学」はあれど暗記系が多い上、かなり実用的で楽しそうです。資格のグレードは何種類かありましたが、来年は自分も参加するとして、気候の良い6月の試験を受けるなら、連休中に集中して勉強すれば、その期間で間に合いそうなグレードは、身近な「危険物乙種第4類」だと特定しました。

 来年の予定表(MS Outlook)の出願時期頃の週予定に書き込んでおき、その後すぐ試験のことは忘却したのですが、翌年、予定表を見て思い出しました。勉強開始と終了は4月末の連休から2か月間と決め、参考書と問題集を買い込んで、開始。高校化学に比べればそう恐ろしく難しいものではない反面、関連諸法令をはじめとする暗記系も分量があったので、連休中、わざわざ色鉛筆を使って楽しんで勉強しました。忘れかけていた「紙にシャーペンで書いて勉強している」「休日感」「充実感」を得たかったんです。

 終わってみると、やはりあっけなく合格した感じです。その後またいつもの、休みも平日もない生活に戻りました。でも、毎年、5月の連休の時期になると、虚しく一人人混みの中にお出かけなど論外、むしろあのときの充実感を思い出して、自分の仕事には関係のない身近な資格試験のため、ひとり自分のオフィスで机に向かうようになっているそうです。

おとといのAさんみたいに、長い時間をかけてちょっと重い資格を取るのではなく、いつもと違う休日気分を味わいたいがために机に向かうという、一種の気分転換なのでしょうか。それでもAさんとBさんは、何か発想が同源のような印象をもちました。

2024/05/29

■ あるく - 菊が丘公園 - ポプラ


風が強く気温が11℃とかなり低いですが、気分転換に、市立図書館まであるき、その敷地の菊が丘公園をあるきます。

 市のこの公園には菖蒲を植えているのですが、花はまだまだ。近所の農家ではもう見ごろのところもあります。公園の菖蒲の品種は、私たちやその辺の農家のような下々の庶民とは異なる高貴なもののようですので、もうしばらく楽しみに待つことにしましょう。

 この公園は、かつては、この周辺でもっとも古い明治時代創設の農林学校があった敷地が、昭和の高度成長期の学校の移転に伴い、県や市の文教施設用の敷地(県の出先機関の総合オフィスビル・警察署・図書館・公園・野球場・テニスコート・神社等)となったものです。よほど広い敷地だったことがわかります。私の父も中学校教育はこの学校でした。戦時下の修学中の話をよく聞かされました。

 移転したのは私の幼少時、小学校就学前で、かすかに学校の記憶があります。敷地が広いので、塀もフェンスもなく、自由に立ち入りでき、小さい子どもたちが敷地の一角で遊んだり球技をしても、校舎など遥か彼方に見えるか見えないかというレベルで、学校の敷地内だとは意識もしていなかったような気がします。敷地の反対側の奥地には鬱蒼とした森の中に神社も隣接しており、子どもたちはみな、迷ったら怖かったので、遊ぶエリアは決まっていて、深入りしない了解があり、小学校就学前の私にはこの学校の全貌は謎です。

 敷地の外縁には多数のポプラの木をはじめ、巨木がたくさんありました。西風が強いこの地方の、この敷地のポプラの表情はさまざまでした。初夏の青空にひらひら舞う葉裏のすばらしい木漏れ陽にこの世ならぬ夢見心地を感じ、また風の強い日に葉が一斉にざわめく音に、何か遠い抽象的な恐怖感を感じました。まるでロマン派の画家 J. コンスタブルの描くイングランドの風景のようです(ホ、ホントか...!?)。

 今日は、風が強く、ポプラの木々の葉の、あのざわめきが、なんだか遠い記憶からよみがえってきました。

 現在この公園には、市の指定の巨木が何本か、また、何本かポプラの木が伐採されずに保存されています。街中に大きな木を保存してくれているのは、貴重だと思います。

 すぐ近いがゆえに、むしろあまり改めてあるく機会がこれまでなかったのですが、これからは、菖蒲の花の季節を機に、周回したり朝昼に複数回足を運んだりしてみようかなと思います。

2024/05/28

■ まなぶ - 連休明けの3人(1)


5月の連休明け。もう何年も前のことですが、「連休明け後の3人」のお話を。昨年2023の8/3にも、「夏休みの3人」をお話しました (🔗→ 2023/8/3)。今回は1人ずつ3日間に分けて。

 Aさん。年齢30代、事務職。旧帝大の法学部卒で、つまり学校時代の16年間はある程度は人並みに勉強した人でしょうか。私などこの方の爪のアカでも煎じて...、いや、それはどうでもいい話で。でも文系のAさんは、理数系のお勉強について、もっと勉強しておけばよかったな、ホントは楽しかったのになと、チョッと後悔とコンプレックスを感じています。

 仕事はデスクワークのみで、外回りもなく、業務中は会社からあてがわれたデスクトップPC端末を筆記具代わりに使っています。

 そのPCの端末は、自分で改変したりソフトウェアをインストールしてはならず、保守は別部門の人がやってくれますので、自分にとってはホントに「会社から貸与された文具」に過ぎません。が、操作がわからなかったり、他方で家で使う自分のPCもわからないことがよくあります。

 PCの知識を得るためには、自分の今の仕事には何の必要性もないけれど、この際、PCに関したいちばん基本的な検定や資格みたいなものを勉強したら、基本的な知識を網羅的に得られるかも、と思い、調べた結果、国家資格であるITパスポート試験(=IP試験)(旧初級システムアドミニストレータ試験)を知りました。本を買って独学です。知っていることとまるっきり未知のことがあって、勉強し、ためになり、資格を取得しました。

 社会人エンドユーザ向けのIP試験。その次の段階として、情報処理技術者向けの最も基本的な資格である基本情報技術者試験(=FE試験)を受けてみようかなと思いました。

 この勉強は、文系のAさんには、高校数学I(集合論と命題論), A(mod合同式, ユークリッド互除法, n進数), II(線形代数, 指数対数関数), B(数列)や、Aさんの世代では履修していない数III(行列)などを使う計算がたいへんでしたが、これで年来の理系コンプレックスもある程度克服できそうです。また、試験日は春期と秋期の2回あって(現在はCBT方式で随時受験可能)、独学の自分に向いているし、気合いが入りました。

 5月の連休は、家族サービスやら人づきあいやらのしがらみもなく、籠って勉強してみました。これまで約200時間をかけてきた仕上げに連休の50時間。結果、FE試験に受かりました。

 PCのハードウェアの構造は、個人のPCを自作するようになってから、理解していたのですが、初めてソフトウェア開発者の視線に立って、n進数演算やアルゴリズムの基本的な考えやプログラミングの発想の初歩から、セキュリティやITストラテジーに至るまで、まったく新しい眺望が開け、目を見張る思いでした。

 連休があけて、その収穫があったという実感。新しいステージに登って振り返る充実感。私などこの方の爪のア... 人生では大事なことだナと、振り返って自分の生活を戒めようと思いました。

2024/05/27

■ なおす - 今日のフリマ - オートバイヘルメット


使わない物を少しずつ処分。まだ価値がありそうなものは個人売買サイトへ。

 どれももったいないです。でもそんなことをいつまでも言っていられないでしょう。買ってくれる人は、きっと幸せな価格と品質です。

 今日は、オートバイ用ヘルメットを。

2024/05/26

■ まなぶ - 自転車スプロケットの構造


何やら自転車部品シリーズになりそうです...。

 自転車の後輪の多段ギヤが、スプロケット、またはカセットスプロケット。

 ...構造に変遷があります。

 あなたがコレを設計するとしたら、どうやって作りますか? 

 素朴な発想では、何枚かの、大きさ(歯数;T)の異なる板を打ち抜いて組み合わせる。ただ、各板の間には、チェーンのプレートが通りますので、隙間が必要です。その隙間には、スペースを稼ぐリング(スペーサ)を入れましょう。

 多段ギヤが1950年代に競技用に発明され、60年代以降CampagnoloとSHIMANOによって実戦投入され、90年代までは、この発想です。

 ↓は、1980年代設計の、7400系SHIMANO Dura-Ace (デュラエース;DA)。ギヤ板が1枚ずつ分離され、間にアルミリングのスペーサを入れます。図は、最小T(min T)=12(ギザギザが12個出っ張っているというコト), 最大T(Max T)=23の8枚。「リヤ8段変速」となります。

 競技者はお好きなギヤ数(T)を組み合わせることも可能。山岳ルートでは、ワイドレシオ(Max Tをより大きく=登りで楽、かつ、min Tをより小さく=下りで速い)、平地ルートでは、クロスレシオ (Max Tとmin Tの範囲を小さくしてこまめに変速し、身体負荷や心拍数を一定に保ち続けられる)。

 ギヤ板を、内側(車軸側)に重ねる順に、Z字に並べてみました。

 競技では耐久性が重視されますので、鉄製です。カセット全体の質量は277.4g。

 次の画像↓は、1990年代設計の、7700系SHIMANO Dura-Ace。ギヤ板は、大きい方3枚、続く2枚が、アルミ製のスパイダーアームで固定されています。


 やはりギヤ板を、順に、Z字に並べてみました。


  7400系から言えるのですが、変速時のチェーンラインの、コンピュータによる動態解析が進み、隣り合う刃先(ギザギザの先端)の形が1枚ごとに微妙に異なり、かつ、重ね合う歯板の重ね位置が固定され、円滑動作をめざして歯の下・プレート面に、スプライン(流れ溝)が刻まれています。

  先ほどの画像の7400系と同じ歯数の構成ですが、スパイダーアームで結合された3枚と2枚は、チタニウム製です。小ギヤは大きな応力がかかるため、鉄製です。かつ、いずれにも、軽量化のため、円形の穿孔で肉抜き加工がされています。結果、同じ歯数構成同じサイズでも、質量は100g以上の軽量化となり、161.8g。42%もの軽量化に成功しています。

 次の画像↓は、2000年代設計の、アメリカのSRAM社製のマウンテンバイク用カセットスプロケット XX。

 じつはこれ、ギヤ「板」という概念が存在しません。この構造は、ギヤ板を重ねたように見えるのですが、鉄のインゴット(カタマリ)を、CNCコンピュータ旋盤でこの形にまで3D状にくり抜いた結果です。軸にあたる中心部にはアルミのスリーブを入れています。なお、切削加工は台湾です。

 切削加工しづらく耐久性で不利なチタンではなく、切削技術が確立され圧倒的な耐久性のある鋼鉄製なのですが、この3D構造のせいで、質量は、MTB用の大口径ギヤ(Max T=32)で大きなサイズなのに、質量は7700系DA(↓の右に置いたもの)と、8gしか、つまりほとんど変わりません(169.8g)。メーカーアナウンスでは、右のDAと同じロードバイクの歯数構成なら155gです。

 この構造を知ったときにはギョっとしました。抑えきれない好奇心で、手に取ってみて、MTB用スプロケとしてはありえない軽さに、何かの冗談かと思いました。使ってみて、その変速性能は、操作感においてフェザータッチの軽さ、動きにおいて生き物のようなぬるりとした滑らかさ。

 ついでに、財布の中身もありえない軽やかに...。

 これは、競技用自転車(ロードバイクやマウンテンバイク)の世界に言えるのですが、ま、ためしにTREK(アメリカ)、GIANT(台湾)といったブランド物の自転車の価格をご覧になってみてください。軽自動車や小型自動車の1台どころか...。

 ただ、200万円のブランド物のロードバイクは、自作すれば同じスペックを100万円で作れます。パソコン(PC)でも、ブランド物の50万円のPCは、自作すれば同一性能が20万円で作れるのと同じです。「知識・スキル」と「費用」は、負の相関関係です。知識もスキルもなければお金を出せばよい、という、ある意味わかりやすい関係です。

 自動車やオートバイは、全人類に普及していますが、その理由は、「枯れた技術」の集合体であることにより、設計・安全性・耐久性・保守性・販売戦略等が容易に予測できるからです。健全な進化です。他方で、意外にも競技用自転車は、新素材・新発想・コンピュータ解析技術による数々の設計上のブレイクスルーのせいで、10年で別な生物、と言えるほどの進化です。参加プレーヤーになれば大いに感動的な世界でしょう。私は、やっぱりココでも外野席から固唾を呑んで見守り、チョッピリと感動を分けてもらうだけの観客...で、大いに満足です。