※ 湿原の池塘 - 夜明け前 2024-5/15 am4:10
■ 日本最大の風力発電エリアがドコにあるか、ご存じですか?
■ 平滝沼公園に南隣するエリアに、ベンセ湿原という日本離れした光景の湿地帯があります。他にたくさんの「**湿原」という名のついたエリアが隣接しているうちの1つです。
※ 平滝沼公園については、4/22ご参照
■ もともと津軽半島の西側は、広大な海 - 隆起 - 湿地帯という地質時代の経緯があると思います。昭和の自家用車の時代になってからも、近づきがたい謎のエリアだったようです。が、この、人を寄せ付けない津軽半島の広大な湿地帯の北端の縁辺部に、国家安全保障上の施設や日米安保条約に基づく施設が大掛かりに展開され(地図には掲載されないようです)、高規格な国家安全保障上の輸送路が、「農道」ということで整備されました。この湿原を、当時の先端技術でまるで地図上に経線でも引いたかのように一直線に貫いています。その地元対策かどうか、沿道にはやはり日本離れした高圧スプリンクラー農業が発達しています。個人や集落や自治体単位ではこれほどの広範囲にわたる高水圧灌漑農業は実現不可能です。別に個人的に良し悪しや賛否を論じるつもりはないです。
※ 4/29 ココの農家の方とともに撮影。ゴボウを植え終えたところ。
夏はスイカ・メロンで高名な地区です。
■ この湿原は、「津軽国定公園」「日本の自然百選」に指定されたのですが、まさにそのエリアに、数年前、巨大規模の風力発電エリアとして開発がなされ、数年間の巨大建築プロジェクトの末、4年ほど前から商業稼働しています。
※ 日経BP (画像は鹿島建設提供)
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/00743/?ST=msb
■ 日本最大規模となる総出力121.6MWの風力発電所がこの「ウィンドファームつがる」で、風車1基あたり定格出力3.2MWのアメリカGE社製の最も巨大サイズの風力発電設備を38基設置しています。ブレード(羽根)の長さは50m,タワーの高さは100m近いです。一般家庭約9万世帯分に相当する電力を、すべて東北電力に売却しているようです。
■ 1年を通じて霧煙るスコットランドのような幻想的な光景が(ホントか!?)、巨大風車群の林立で一変しました。建設中も何度もこのエリアを通りましたが、風車の羽根1枚を港で陸揚して現地まで運ぶようすは、まるで、巨大トラックというアリさんたちがみんなで群がって、トンボ1匹を運ぶような、大震災壊滅後の復旧エリアの様相でした。(...やはり良し悪しを論ずるつもりはないです。)
■ 今となっては地元の人たちはもともとそのようなものとして受け入れているのかもしれないです。私はこの十数年間、片道30kmの通勤のために、わざわざ大回りして大好きなこの湿地帯エリアを通り、山岳エリアを通り、朝4時に片道80kmの通勤を日常的にしていました(私は細々とした自営業ゆえ、労働関連諸法上の「通勤手当」「合理的な経路」などもちろん適用外です)。伝統的に幻想的な光景だったこのエリア...。それが、ある意味、新たに別な幻想的光景となりました。その変遷を日常的に克明に目の当たりにしてきました。
■ 今朝は、だいぶ様変わりした明け方の風景を、確かめに来ました。
■ かつてのように、夜明け前にここをとおってみます。
■ まず記憶がよみがえったのは、夜明け前に響く風車群の巨大な轟音です。ほぼ無風でも稼働音は実は大地がうなるように猛烈です。それに加えて羽根の風切り音もまた別な轟音です。可聴領域外の低周波とそれに伴う物理的な振動も、クルマで通過するだけでは実感できないのですが、降りてその地に立てば明らかに察知できます。聴覚や触覚など肌の感覚では、まず恐怖感を覚えます...。
■ とはいうものの、この斬新な光景は、画像を見る限りでは、それなりに善良でエコなイメージを視覚に訴えかけてきます。
■ さて、ベンセ湿原は、周辺の他の湿原に比べて、ニッコウキスゲの大群生が顕著で、それゆえに「国定公園」「自然百選」などに選定されているわけです。花はあと1カ月程度で見ごろでしょう。今日はまだまだ花の気配はないです。
※ 5/15 am 4:30
■ フィンランドのようなこの美しい湿原の画像を撮ろうとすると(ホントか!?...あれ?...たしかさっきまでスコットランドだったんじゃ...?)、どうしても、巨大風車はファインダーに侵入してきます。
■ 今後の技術革新の積み重ねによって違和感なく受け入れられる存在となっていくことを願っています。