2023/09/23

■ なおす - 小さくて屋根がないクルマ

※ EunosRoadster(1990NA型) _ 青森県田子町迷ケ平のブナ樹林帯1997

 クルマをなおす話ではないです。「なおす」は治す・直すのほか、元の状態に戻す、本来の状態にする、気持ちを戻す=癒す、の意味で使っているつもりなんです。

 学生時代とその後数年間は、バブル時代の東京のど真ん中でした。TOPIX東証株価指数は連日が空前の高値更新で、大学の門を出れば、通りにはクジラのように巨大な高級車が満ちあふれていた頃。流行語「シーマ現象」「レクサス交響曲」とイカれた乱痴気騒ぎを、病苦と貧困の日々を送っていた自分は、遠い目で眺めていたかもしれません。ただ、豊かな人や世の中が存在し、近代経済学的な再分配構造がまがりなりにも成立し、ゆえにそれなりのインフラが整い、そのおかげで下層民の私も都会でそれなりにこころ楽しく生きていけるのは、理屈でも感覚でも納得できていましたので、「今の自分のつらい境遇は、不公平だ、金持ちは悪者だ、世の中が悪いのだ」という方向には至らなかったようです。でも、巨体の高級車より都心ならチャリの方が速いですよ(やっぱりいじけていますか(;^^?...)。

そのクジラの群れの中に、その頃、驚くほど小さいユーノスロードスターが走り始め、何度か見てハっとすると同時に、見る私は一瞬のすがすがしさを感じました。

都会の狂騒につらくなって、いなかにもどり...でもやっぱりいじけて暮らしたのですね。病苦と貧困の日々は変わらないとしても、ありがたく親の倉庫に当初無料で住まわせてもらったので、その日暮らしの仕事でも、あのクルマのかなり古い中古車なら手に入りそうだと思い、目標にし、数年後にくたびれた個体ながら得ることができました。

7年落ちの中古車をあちこち手直ししつつ11年乗って、その間、暮らしに張り合いも出ました。その後ずっと、小型軽量スポーツ(もどき)を30年ほど乗り継いでいます。