2023/12/31

■ まなぶ - 万年筆を始めた私 - 4

※ Pilot 742 (S) ...「74」や「743」と、ぱっと見て区別はつかない...。

- 11/10の続き - これまで聞いた複数の方々のステキな体験を合わせて、お一人の方の体験としてまとめてみます(;^^w…
---...---...---

 さて、初めての金ペン万年筆パイロットのエリートとグランセの2本を買って、自宅に帰ると、クルマを見て、妻が帰宅している他に、娘夫婦が来訪とわかる。娘夫婦には小学生の孫娘がいるが、今日は娘夫婦のみのようすが、車内をさっと見てすぐわかる。孫は部活かピアノのレッスンか...。なごむキャラがいないので、ちょっと緊張感もある...。

 この婿殿は、ここだけの話だが、私は実はなかなかニガテである...。それは、娘をさらっていった男という、嫁に出す父に一般に潜在する感情論もある。私のようなまあふつうのサラリーマンと違って、こちらが畏まってしまう立派な社会的地位の婿殿というコンプレックスもある。ゴルフもシングル2桁でおクルマも輸入車という悔しさもある。しかしこのぶつかるような感情の外殻にあるのが、彼が、娘によると、万年筆100本だか200本だかの一家言ある男だということだ...。私がもう何年も何度も、万年筆を職場でひけらかす人たちに反発を唱えてきたのも、このことがきっと意識下にあったからだと今では自分を分析できる気がする。もちろん、人柄は穏当で上司から信頼され部下に篤く円満な家庭人である事実の前には、私の劣等感は我ながらハッキリくだらないと認識しているので、口に出したりそぶりに出したりはしない点、十分わきまえている。

 イマ買った万年筆は、いったんひっそりクルマの中に置いて、自宅に入る。笑顔で挨拶をかわし、一通りのおしゃべりをする。万年筆などというちっぽけな事は忘れ去って、素直にうれしいひとときだ。

 「ところで、お義父さん、カクノを試されたんですって?」婿殿は屈託なく聞いてくる...。妻のやつが娘に告げ口し、それが婿殿に伝わったに違いない。とっさに妻を見る。妻はいつものようにあっちを見る。娘は笑う。「わが家では***(彼の娘=私の孫の名前)も透明軸のを使っていますので、『お揃いだ』と喜んでいましたよ。今度もって遊びに来るそうですよ。」...小学生の孫が使いこなしているカクノを私はまるで使う能力がなかった。私は小学生以下か...。けれど、その話を聞いてすなおにうれしい!自分が笑顔でいっぱいになるのが、くやしいけれど、わかる。単純な自分。婿殿の、話題の振り方や持って行き方が実にツボを得たウマさがあって、如才ない男だ...。

「どうでしたか? 次に何かステキな輸入品などお考えとかですか?」

「いやとんでもない。カクノと同じパイロットで私などにはじゅうぶんすぎるくらいだと思っているんですよ。」

「じゃ次の金ペンは、74か742で試してみますか。いやでもお義父さんくらいでしたら、グレードの高い743からスタートでもよいかな。でも同じペン先で、漆の軸になった845は、最初に手にしたら一生満足できそうですよ。」

次々と勧めてくれる。あの店員さんみたいだ。「そ、その番号って、何だか、よくわからないんだ。」

「そういう万年筆とか輸入車とか高そうなモノって、名前がホントに番号ばっかりで、マニアックで、ついていけないわよね。...。」と娘がやや私の側に割って入る。まぁその通り、と、私のみならず、婿殿も頷く。

「たしかにそうですよね。パイロットの製品は、基本ラインナップのグレードのヒエラルキーがこんな感じなんですよ。」

※ 表示はすべて税抜き

「なるほど。なんでこんな番号なんだろう。1番、2番っていう名前じゃないんだね。」

「たとえば『742』は、パイロット社創設74周年に発売した2万円バージョンという意味らしいです。」

「創立年ごとに新製品があるのかい。だったら膨大になるじゃないか。」

「現在の基本ラインナップは、『74シリーズ』だけで、他には、8**、9**の番号のものが2,3あるだけです。この基本から、たくさんのバリエーションが派生しているようですよ。それは主に、ペン先の材質や筆記線の太さじゃなくて、軸の装飾です。」

「なるほど、エボナイト製の軸や、蒔絵の装飾軸がたくさん出ているらしいからね。...セーラーやプラチナはどうなんだろう。」

「セーラーは、基本ラインナップが、葉巻をつぶしたような楕円形をしたバランス型『プロフィット』の4階層と、それにぴったり並列して、葉巻の両端をスッパリ切ったみたいなベスト型『プロフェッショナルギア』の2本立てです。基本ラインナップはパイロットより安くて21金を使っていてお得なんですが、軸の装飾が華美な高額高級品がとても多いです。」

「プラチナは、基本的に、チョイ高めが『プレジデント』、一般向けが『センチュリー』の上下2種だけです。これらのペン先首軸を使って、軸の高級バリエーションがとても多く出ています。」

「そうだったのか。カタログなどを一見したたけでは、私たち門外漢には、目がくらんでどれを選べばいいかわからないけど、基本の構造を縦に並べて基準にすると、少しわかりやすいね。あとは、軸に凝らした趣向が、自分の今の好みや財布の状況に合うかということなんだね。」

「たしかに、数字によるネーミングはわかりづらいかもしれませんね。考えてみると、プラチナの『プレジデント』『センチュリー』は、数字じゃないだけに、わかりやすいな。でもお義父さんなら『プレジデント』を手にしても違和感はないけれど、自分はまだまだ全く『プレジデント』な立場じゃないから、そんなことを考え始めると、持つのはちょっと気が引けたりするネーミングです、アハハ。」

※ プラチナ #3776センチュリー 
左;シャルトルブルー / 右;ブルゴーニュ

「言われてみれば、『センチュリー・シャルトルブルー』の青い透明プラスチック製のペンに、『フランスのカトリック教会の世界遺産シャルトル大聖堂のステンドグラスのブルーです』って言われても、すごい大げさにも聞こえるね。」と私も気づいて笑う。

「プロテスタントの人とか牧師さんたちは、持つのに気が引けちゃいそうだわね。親戚のAさん(お寺の住職)だと、欲しくなってもネーミングを見て買うのヤメちゃうかもね!?」と、娘も、マニアックな話題ではないと気づいて、気楽な冗談を盛り上げる。

「じゃ、『ブルゴーニュ』っていうこの赤い色の方は、ボクら普通の日本人ならちょっとおしゃれな雰囲気を感じるけど、かえって職業的ソムリエの人や、ブルゴーニュワインもボルドーワインもふだんからなじんでいるワインにウルサい人だったら、むしろ買う気が萎えるよね、このペン。」と、ワインにうるさそうな婿殿をチラっと見て、チョっと茶目っ気を出して言ってみる。

情報通の婿殿はサっとかわして「そういえば、この『プラチナ・センチュリー・ブルゴーニュ』が出たとき、ある自称『万年筆マニア』の個人の女性が、出てすぐ買って、自分のウェブサイトで速攻で自慢げに紹介して, “この赤い色は、深~い赤で、レッドというよりボルドーな色をしています” とパッケージを開けた第一印象を述べていました。」

「へぇ、『プラチナ・ブルゴーニュ』の色は『ボルドー』なのか!?」と皆くつろいで笑う。

「そんな、シャルトルだのブルゴーニュだの、あなたたちみたいな深い勘ぐりなんか誰もしないわよ。色がキレイなのに惹かれた日本人に、ついでにそれにチラっと日本人ならそそられるような西洋風なシャレたイメージを乗っけて売ろうっていう、メーカーの売り方戦略なんでしょ」と、妻までおもしろがって評論家として加わる。

「じゃぁさ、次の製品は、金色の軸で『トーダイジ・ゴールド』『ダイブツ・ピカピカ』とか、カクノの透明軸を使って『セイシュ大吟醸・トランスペアレント』とか、おもしろいねぇ、あはは...」と私が図に乗って放言すると、娘の「ダサ...」のつぶやきを合図に、いっきに盛り下がってしまった...。孫だったらウケてくれたのに...。

2023/12/30

■ なおす - 鉛筆削りの刃を砥ぐ


ポケットシャープナー(筆箱に入るサイズの携帯用鉛筆削り)で、鉛筆を、毎日1ダース削っています。ここ半年ほど、使わない日はないです。濃度10Bや6Bを使うようになりました。電動鉛筆削りは芯が崩壊して使えないです。

 もっぱら使っているポケットシャープナーは、ステッドラー製の「510 10」ですが、もはや切れ味の減衰は、実用に供せないレベル...。

 切れ味のおちたポケットシャープナーの刃を砥いで使っている人なんて、私の知る範囲では、ネットでの検索も含め、絶無なのですが、9/21に書いた通り、「新聞紙で研いで」います。が、この切れ味の復活はやはり一時的なものです。

 そもそも包丁と違って、削り方と切り方の効率の差は明らかです。たとえば、お刺身のさくを、刺身包丁で、刃のあご(根もと)から切っ先(先端)にかけての小刃部分すべてを使って切っている「引き切り」を、ご覧になったり実践しているかもしれません。物理的に、包丁の刃の断面を鉛直方向に進む(「落とし切り」する)よりも、引いた場合のほうが、剪断される対象物に包身が割って入る厚みが小さくなり、見かけ上の刃角が小さくなります。これによって食材に対する抵抗が少なくなり、切れがよく、切り口が滑らかになります。野菜の場合も、重くて面積の広い菜切り包丁で真上からザッザッザッと落とし切りするのは、しても見ても気持ちの良いものですが、引き切りほどではないにせよ、逆にゆっくり押し切りをした方が、すばやい落とし切りよりも、同じリクツで、切れ味はスムーズで切り口は滑らかです。

 これに対して、鉛筆削りの刃は、そもそもの材質からして、包丁のような刃物鋼とは異なる単なるステンレスです。また、構造的に、引き切りや押し切りのように、刃と対象物の交差は斜めにならず、もろに落とし切りの原理が働きますので、剪断面は荒く、力も必要になり、刃の寿命も短いはずです。

 ゆえに、ポケットシャープナー式の鉛筆削りは、その性能に、価格やメーカーは関係なく、ひとえに「イマこの時点でその刃はどのくらい磨がれている状態なのか」です。ドイツの有名どころのDUX, EISEN, KUMは、お安いものから、目を疑う高額なものまでありますが、「価格と刃の性能」とは、相関係数 r = 0 に近く、正の相関関係はないと思います。ついでに言うなら、包丁全般にそう言えるかもしれません。何万円もの高額な「ダマスクス鋼(っぽい表面模様処理を全ての市販の包丁は施してそう称している)」を購入して、パッケージを開けて砥ぎもせずにすぐ「買っちゃいました~。やっぱ切れますね~。違いますね~。」...あのさ、貝印やパール金属など国内の刃物メーカーの新品なら、980円のステンレス三徳文化包丁でも同じだよ。

以上より、ポケットシャープナーは、いかなる製品であっても、本来的に、寿命は短く、切れ味は悪く、鉛筆の木部分の見た目は荒くなる宿命なはず。

 切れもよく剪断面も滑らかで自在な形状に仕上がるという点で、ベストな鉛筆削り用品は、やはりよく砥いだナイフや「肥後守」です。他方で、ナイフを使う際にさらに必要なのは、コツ・熟練・根性・時間・心のゆとり...。一度に1ダースを毎日削りたいとしたら、このハードルは大きいです。

 そういうワケで、私の場合は、砥石で、この小さな刃を研いでみます...。

 いずれ、「新聞紙でなくて、砥石で砥ごう。そのスキルと習慣をつけて、続けてみよう」...と思っていたのですが、なるべく違いがわかるよう、切れ味を限りなく鈍らせてから砥ぐつもりでした。

 今日はもう限界かと思い、暦もそろそろ替わって良いタイミングです。初めて、砥石で砥いでみます。

 砥ぐ角度を、必至に探して、指が痛いけど、右手で刃の入っていない辺の隅をつまみ、左手の人差し指と中指を刃裏に押し当てて、砥石の長辺を最大限に使って、一方方向にのみ砥ぎ始めます。痛くてむずかしい...。

 ひとまず荒砥#800で100回。ステンレスの刃に返りはつきません...。指が痛いです...。次に中砥#1500で100回。改めてごくわずかに立て気味にしてさらに100回...。うう、痛い...。あ、いちおう返りがついています。片刃なので返しの取りはラクです。

 さらに、仕上砥#4000で100回。そこまでヤルか。でも悔いなくベストを尽くそう。うう、砥石がもったいない...(;^^A。さすがに小刃は0.2mm程度の美しい鏡面になりました。それはいいけど、切れるかな、違いがわかるかな...。

左; before (何度も回すが、木地は荒れ、削りかすはとぎれとぎれ)  / 右;after (1回転させただけで、木地は滑らかに光沢、削りかすはかつお節状態。なお、鉛筆は全く同じ個体(Tombow Mono 6B)。

 削ります...。おぉっ!経験のない軽い切れ味!すぐ鉛筆削りから薄いかつお節がでてきました。1回転させるだけでウルトラシャープです!さすが#4000の威力。新聞紙で必至にやったときも研いだ当初はシャリっと削れたのですが、一瞬にして(数週間で)切れ味は元の木阿弥。今回はどうでしょうか。大いに期待しています。
 でも、新品など及びもしないこんなすばらしい切れ味が得られるなら、毎月砥いでもいいナ...。この点でも、やはり包丁と同じだったんですね。

2023/12/29

■ なおす - 低所得世帯向け給付金


先月11月に引き続いて、低所得世帯に「物価高騰対策支援給付金(追加給付)」が市から支給されるとの通知。来年(来月)1月に給付決定書で通知とのことです。ありがとうございます。

 あの、受給する低所得者の立場から言うのもちょっと憚られるのですが、こんなにバラまいて大丈夫なのですか。もっと「自分もよりいっそう働いて、世の中に貢献して、それによって自分も豊かになろう」という動機づけが可能な税制や政策(高度経済成長期の日本とか、今の中国やインドみたいな)って、もう日本の社会には望めないものなのかな。...生意気言ってごめんなさい。

2023/12/28

■ まなぶ - 単語集で楽しむ


灯油の需要期になると、国の政策的コントロールで、灯油とガソリンの価格は安定します。今年も、夏秋の高値の大触れは、ある程度安定、それも高値安定になったようです。私の所有のガソリン駆動車では、高燃費の順に、ホンダ・レブル > ロードスター > 軽トラ > 除雪機...。除雪機の燃費は、ロータリー式が悪いのはやむを得ないのですが、ただ押して進むだけのヤツも、50ccですがやたら燃費が悪いです。これらすべてから解放されるのがいいのですが、ただしロードスターを除く...って、わがまま...。

 都心(東京)で暮らしていたら、私も経験がほんの少しありますが、クルマは不要、という家庭はかなり多いです。人口密集地で公共交通機関というインフラが完備されているからです。人類すべての居住エリアがそうなれば...。せめて日本の街の多くがそうなってくれれば...。やはり夢物語ですね...。

 夢ついでに、机上の空論の域をまだまだ出ないのですが、理想のエネルギー源は、核融合、ついで核分裂(原子力)です。でも、前者は実験室レベルでの実現が美しく報道されはすれど、真空・極高温、また派生的に放射性物質や三重水素発生などという、人類の手ではコントロールしきれていないシステムづくりが前提で、庶民にとってはまるっきり非現実です。後者の放射線コントロールと最終処理の困難さも、ほぼ非実用的という点で、30年前に実用化されたはずの「超電導」が極低温環境を、「燃料電池」が水素供給インフラを、それぞれ要求するのと同レベルのままです。

 現在の人類が殺し合う根本動機が、「化石燃料資源の偏在」と「宗教」の錯綜です。狐に鶏小屋の番をさせた(let the fox guard the henhouse)COP28のような茶番に、石油にどっぷり頼らざるをえない自分の存在や人類の存在の頼りなさ哀しさを感じます。

 底辺の庶民としては、せめて「関心を持ち続ける」「矛盾をかぎつける」「それを笑う」「その笑いを広める」姿勢を持ちたいと思います。

 またあの笑える単語集で、語彙を増やしましょう。

At first, people (   ) at the idea of extracting fuel from plants, but now it is being seriously considered.

  当初、人々は、植物から燃料を抽出するという発想を(   )したが、しかし今では真剣に検討されつつある。

1. snuffed  2. slumped  3. sobbed  4. scoffed

…どの選択肢も、自動詞としての用法があり、前置詞に導かれる名詞句at the ideaを目的格に支配できるので、文法的に成立すると思います。

 4. を、みんなで出題者の意図を汲んで、敢えて選んであげましょう;

  当初、人々は、植物から燃料を抽出するという発想をあざ笑ったが、しかし今では真剣に検討されつつある。

…バイオ燃料やバイオマス燃料は、高コストで微々たる発熱量でチャチくさい笑える発想かもしれないのですが、「空気中の水分を電解した際の放出熱エネルギーを拾って使う」というセコさNo.1の燃料電池発電と同じ方向性の発想です。可能性がある限りどんどん進歩してもらいたいものです。

 1. を選んでみましょう;

  当初、人々は、植物から燃料を抽出するという発想を嗅ぎつけたが、しかし今では真剣に検討されつつある。

…何か特ダネを嗅ぎつけたみたいですね。逆接のbutでなく順接の接続詞があれば正解でもよさそうです。

 2. , 3. を選んでみましょう;

  2. 当初、人々は、植物から燃料を抽出するという発想に、がっくり落ち込んだのだが、しかし今では真剣に検討されつつある。

  3. 当初、人々は、植物から燃料を抽出するという発想に、めそめそすすり泣いたのだが、しかし今では真剣に検討されつつある。

…植物ごときものに燃料を頼るとは...と、堕ちるところまで堕ちた自分に絶望したが、この際背に腹は代えられないと、気を取り直したわけですね。悪くない話です。正解でいいではないかとおもうんですがどうでしょう。

2023/12/27

■ なおす - マウンテンパーカーの洗浄


昨日、除雪機にガソリンを入れた際に、マウンテンパーカーに少しかかりました。

 除雪作業自体は、早朝ですので、夜明け前に完了します。例えば今日の夜明けはam7:01です。完了時は真っ暗でヘッドライトの明かりのみ。暗く、エンジンが熱いこのタイミングでは、ガソリン給油はしません。昼明るくなってエンジンも冷めてからです。

 除雪機へのガソリン給油時はどうしても少しはハネるので、わかっていたなら着替えて給油すればいいものを、昨日は外出から徒歩で帰ってからだが暖まっていて外で作業も可能な服装だったし、この際、と思い、つい...。

 ニトリル軍手にガソリンがつくと、簡単に溶けて破れます。基本的にナイロン製のマウンテンパーカーも、ガソリンは厳禁です。焦って、いったんスポンジに台所用洗剤を含めて水拭き。で、画像のように、今朝改めて、浴室で、デッキブラシで、洗濯用液体洗剤でこすります。

 マウンテンパーカーは、年に1回、夏場に洗うべきですが、今年はさぼってしまいました。今回最後に酷使したのは、今年の3月初旬に鳥海山麓の湧水群の冬の風情を、ジオガイドの方のガイド付きでいっしょに回ったときです。冬から早春の里山の風情を歩いて存分に楽しみました。自宅から鳥海山麓の山形県遊佐町まで、24時間で日帰りしました(夜12:00に出発し、翌夜12:00に帰宅)。しかも私の悪い癖で、こういう場合の食事は、24時間の間に2,3回で、カロリーメイトとアクエリアスだけの強行軍。今回はガイドと私の2人だけだったので、行動範囲も広く、雨も雪も日射も黄砂も波しぶきも海風もあって充実しました。

 その際には、このモンベルの古い山岳ガイド用パーカー(記録では2013年12月31日購入)のヴァーサティリティは、使って比べた経験では、倍もするパタゴニアやノースフェイスと比べても、劣らないどころかより優れており、非の打ちどころがありません...が、汚れは蓄積したまま...。毎年洗うたびに、「モンベルに38,000円だして10年メンテに苦労して使うよりも、ワークマンの安物に毎年2,800円出して新品を気分よく使い捨てにする方が...」と、つい思ってしまう...ことはあり得ず(;^^A、機能と品質と安心感が雲泥の差です。例えばオートバイの移動の快適さはヘルメットとグラブを装着した時点でわかるように(「そんなたとえ知らんわ」..ですよね)、マウンテンパーカーの品質は、吹雪の中でフードをかぶってドローコードを引いて頭骨に合うよう調節しゴーグルを装着した時点でキッパリ判明します(ますます意味不明な基準ですか...)。

 などと、いっぱしの蘊蓄はいいんですが、先日、今シーズン初めて出して着て、こ、これは洗った方が...と、手入れの不備に、リクツだけ達者な自分を恥ずかしく感じたところ、とどめにガソリン、は、もう洗わなくては無理です。

 意を決して洗います...と、また大げさな...。でも、登山用ザックと同じく、洗濯機などに入れてはいけません。で、洗う場所は浴室で、デッキブラシでこすりますので、シャワーとシェービングのついでに、裸のままガッシガッシと洗います...。今日の気温は-1℃。シャワールームには、浴槽ナシ暖房ナシ。換気扇ONで零下の外気が轟轟と流入してきます...。典型的なヒートショック誘発環境ですね。

 しばらく浴室内に吊るして換気扇をONの状態でひと晩干しておき、水滴が垂れなくなったら、室内で乾燥させます。

 ついでに、石造りの床も、デッキブラシとクレンザーで磨きます...。

 手足の指は冷たくて感覚がなくなってきましたが、からだは少しあたたかいです。終わってから改めて浴びる熱いシャワーの気持ちいいこと!床がスッキリきれいになったのも、足の裏の皮膚感覚で歴然です。いい気分!

2023/12/26

■ なおす - 除雪機


おとといのドカ雪がうそのように、昨日今日は静穏です。除雪作業が無いだなんて、笑ってしまうほどラクな冬。この20年経験がなくて、ここ数日で実感して、いまだ信じられないくらいです。

 昨日の早朝は、除雪機を、F. Garageさんのところで整備(11/7 & 11/9)後、初めて使ってみました

 これまでは、2台とも、移動時も稼働時も「暴れ」て、「除雪機を使うのにはコツがいるんだ」と勘違いして力ずくで操作していました。

 しかし、昨日は、これまでとはまるで別な機械のようにスムーズで安定し、しかもよりパワフルに稼働します。ワンランク上の新車を操作しているようです。

 これまでホンダの専門店に、毎年何万円も点検料を20年間払ってきたけど、その代金は、オイル交換とペイントタッチアップだけだったのかも。ま、でも、季節初めの始業点検だけだとしても、おかげでずっと維持できたことに感謝しなくては。

 この冬は、昨日の画像の実家のエリアを除雪しない上に、暖冬予報。しかも年末年始の日中の最高気温の予報が0℃を上回っています。もったいないことに、除雪機の活躍の場が極端に減りそうです。スコップ1本でじゅうぶんすぎるくらいの自分の倉庫・自宅周りに、この除雪機2台とはもはやオーバースペックです。楽しんで使うことにします。

2023/12/25

■ こわすつくる - 売却した実家

※ 左;3/25   /   右;12/25

■ この冬は、秋の時点の長期予報では、「暖冬予報。ただし時折のドカ雪に注意」とのことでした。気象観測の長期予報は精度が高いと個人的に思っています。昨日まではドカ雪の影響がありましたが、今日は、冬には珍しい晴れ間が広がりました。年末の予報が日中0℃を越える日が続くようすです。雪にならないだけありがたい。

■ 画像は、売却した実家。左の画像は今年3/25、右は今日12/25です。

■ 春の時点では、年内に解体する予定で実家整理作業を進めていました。6月に売却できたのですが(6/27)、その際に、解体し更地にして引き渡す予定である旨を買主伝えたら、買主は、解体は買主側で実施するので原状でそのまま引き渡すことと、解体費用分を売買代金から差し引いてもらいたいとの話でしたので、希望通り妥結しました。

■ 解体を急いだ最大の理由は、平面図では台形形状をしたこの建物の、短辺側に屋根雪が集中して落ちる片流れ屋根構造で、その雪が隣家の敷地に雪崩れ込むので、冬前に解体したかったということです。

■ 解体してもらえないまま冬になりました。隣家(画像左)のご主人も、以上の経緯は知っていますので、「結局取り壊さなかったなぁ」と、不満そうです。

■ ひとまず現状の画像を。親族の方々向けの業務連絡でした。

2023/12/24

■ まなぶ - 甘酒と...


1

「甘酒」は2酒類あると知ったのは、ほんの数年前。もう50歳をとうに越えたのにそんな事も知らなかったなんて、で、別にいいんですが、子どもの頃から知っていた「甘酒」は、酒粕をお湯と砂糖でといたもので、それしか知らず、お酒のフレーバーがつらくて、おいしいとは思わなかったんです。

 また、大好きな『半七捕物帳 』にも「甘酒売りのおばあさん」という恐怖のキャラクターが登場する話があります。理性で納得できない恐怖感があります。

 以上の2点から、何十年も、「甘酒」というものには近づかなかったのでした。

2

 ヨーグルトを、牛乳で培養するやり方で自作して、もしかして40年くらい...。最初の頃大学生のうちは、市販の『明治ブルガリア®』などを、開封してすぐスプーンで、こちらも開封してすぐの牛乳パックに入れ、室温で1,2日放置するという作戦でした。

 ブルガリア菌は、2,3世代で種が変異してエディビリティを失い、その都度あらたにヨーグルトを買い直すので、ちょっとコストがかかります。これに対して、「カスピ海ヨーグルト」に気づいて以来、ここ何十年かはずっと同じ株の世代を重ねています。(6/24の記事にも書きました)

 この製造も、牛乳パックごと保温して作れる「ヨーグルトメーカー」というお手軽家電がありますので、それを使っています。

 なお、ヨーグルトは、何も添加せずに、プレーンなままいただくか、小さじ半分以下のはちみつを最後になめることがあります。だから、実は6月に梅酒の梅で作ったあのジャム(6/24)、実はつい先日12月に入ってやっとなくなったってわけで。あのとき買った白砂糖とグラニュ糖は、いまだにそのまま残っています。

 数年前に、タニカ製品で『ヨーグルティアS』というのがあると知りました。これでつくったヨーグルトは何か違うかな、ということと、長時間低温加熱で作れる料理への好奇心から買ってみました。レシピもついています。そのなかに「甘酒」がありました...。

3

 え? 「甘酒」って、酒粕をお湯と砂糖でとくだけじゃないの?

 このとき初めて、「第二の甘酒」である「米麹から作る甘酒」を知ったというワケで、いかにも狭い世界で暮らしているのがわかります...。『半七...』の甘酒もコッチだったんだと思いました。

これはいい!さっそくつくろうか。ところで米麹ってどうやって手に入れるんだろうか。子どもの頃に近所に「糀屋さん」がありました。通りかかっただけで、漂う不思議な香りがありました。足をのばしてみると、もうさすがに廃業していました。そういえば、味噌・醤油・納豆などの工場(こうば)は、近所にいくつもあったのに、もう、無いよなぁ...。

 何人かに聞いて、米麹を売っているところ(大きなスーパー)を教えてもらい、さっそく『タニカ・ヨーグルティアS』で甘酒をつくりました。

 分量をレシピ通り量って慎重につくりました。すると、良い香り...。ですが、ひと口を口に入れると、私には猛烈な甘さでした...甘すぎて、せき込みます。(別に、私は辛党でもないんですが)

 お米(精米)を生産農家の親族の方々からいただく機会が、年に1,2度あり、甘酒の材料にはそう事欠かないのですが、あのすごい甘さがニガテになりました。市販品のようにお湯でうすめて味わえばいいだけなのかもしれないのですが。

4

 チョコレート、あなたは噛みますか、それとも噛まずに口の中でとかしますか。私は後者で、噛んで食べたことが一度もありません。ただ、昔は好きでしたが、ここ数年は、買ったことがないです。でも『明治・チョコレート効果』は、発酵した豆本来のフレーバーが良いです。『72%』の香りがいちばん好みですが、やはり、じゃ残りの成分28%である砂糖って、余分な気がします。『86%』も『95%』も好みでした。もうチョコレートを自分で買うことはない理由が;...

 数年前のあるとき、「『100%』というのはないのかな」と思い、調べますと、それは消費者向けの製品にはありえないようす。「チョコレート」=「カカオマス」+「カカオバター」+「砂糖」が基本構成要素のようで、これを満たさなければチョコレートではありません。そこで製菓材料を調べてみますと、「カカオマス」が製菓業者用に販売されています。

 「カカオマス」は、工場で材料として投入できる形態で、ディップした雫をつぶしたコイン型です。数千円で数kgという単位で販売。おそるおそる、「カカオマス」を購入しました。これ個人で買ってそのまま食うヤツって...。

 で、そのまま口に入れました...。『チョコレート効果95%』どころの甘い世界ではありませんでした...。

 ですが、定期的に口に含みたくなります。ドライフルーツといっしょにじっと口に含み、カカオマスがとけてドライフルーツがふやけたら、1,2回噛む、という味わい方をします。

 ただ、玄米もそうですが、カカオマスも、土壌に由来するカドミウムなどの有害な物質は微量含まれていることや、ドライフルーツも高額商品であることから、習慣的に味わえるわけではないです。この点、砂糖や紅茶緑茶やコーヒーやアルコール飲料の弊害や危険性も、「存在はするが、無視できる程度に微小」なのか「無視できる程度に微小だが、存在するのは確か」なのか、という捉え方の問題です。

5

 さて前置きはこのくらいにして...えぇぇっ!?...砂糖を使った茶菓は、個人的には口にしないところ、考えてみると、私にとって、さつまいもやかぼちゃを除けば、唯一の「スウィーツ」らしいものは、「冬の甘酒」でした。本来、というか、庶民に広まった江戸時代は、夏の風物詩のようです。

 冬になると、『ヨーグルティアS』で甘酒をつくり、あつあつにしてスプーンでひと口...。で、肝心なのが、その際に、「チョコレート」ではなく「カカオマス」を続けてひと口...。(画像はそのセットでした) 

 目をつむって口を動かさずに1分間...。甘酒の強烈な甘さと、カカオマスの強烈な苦さが、実に良く溶け合うんですよ。ぜひおすすめ!...って、そんなヘンなマネはしたくない?


2023/12/23

■ まなぶ - 実験中に放置した人が正しいだなんて...青森県立高校入試 H18(2006)年 理科第5問


のあさん(中学3年)が、姉のりなさん(大学1年)に、入試問題について質問。

のあ「また解答解説の意味がわからないので、教えてほしいんだけど...。」

りな「え~、地学の分野かぁ。」

のあ「(1)は、地下深いところっぽいので、深成岩(ア)のうちの花崗岩(ウ)で、造岩鉱物はセキエイ(石英)(イ)とチョウ石(長石)でいいとして、この火成岩や造岩鉱物の名前って、いっぱいあるけど、全部暗記しなきゃダメなの?」

りな「うん。入試のレベルなら全部ピッタリ暗記。でも、いろんな覚え方があるじゃない。」

のあ「そうか...。いろいろむちゃくちゃな語呂合わせがあったしなぁ。わかった...。で、わからないのが、この(2)の水槽の問題。ミョウバンと花崗岩って、関係ないじゃない。解説見てもつながりがわからないんだけど...。」

りな「本の解答解説ってそっけなくて不親切だもんね。例えば砂糖は、水には少ししか溶けないけど、お湯にはたくさん溶けるじゃない。でも、食塩は、水でもお湯でも同じくらいの量しか溶けないよね。ってことは、飽和水溶液曲線で考えると...。」

左;砂糖と食塩の溶解度   /   右;ミョウバンの溶解度

のあ「砂糖の曲線は急な斜面で、食塩のは傾斜が緩いっていうかちょっと右上がりのほとんど平たい直線だった。」

りな「ミョウバンの飽和水溶液曲線は、砂糖に近いのかも。飽和水溶液の場合、砂糖を溶かしたお湯なら、温度を冷やしたからって砂糖の結晶っていうのは現れづらい(析出しない)けど、ミョウバンは再結晶の析出が目視しやすいみたいだよ。」

のあ「わかった。でも岩石とは関係ない話なんじゃ...」

りな「この問題の岩石って、山の地下の深いところにある深成岩だよね。マグマの近くにあって高温に液状化していたのが、何万年とかかけて冷えて岩石となるんでしょ。地表近くの岩石である火山岩に比べると、冷え方は...。」

のあ「地下深いところでゆっくり冷えるから...そっか、それで結晶が等粒状組織になるのか」

りな「じゃあ(2)は、なるべくゆっくりさました方がいいんじゃないかな」

のあ「ってことは、お湯のさめ方がいちばん遅いのが答えか。それで4.が正解なのか...。

でも『ビーカーと水そうをそのまま放置する』って、この無責任ふうな表現、実験中に放置していなくなっちゃった人が正しい人、みたいで、あんまりじゃない。いっしょうけんめい実験したり答えを探したりしているまじめな中学生をたぶらかそうとして(ほとんど涙目)。けしからん!」

りな「あはは。気持ちはわかる。まぁそう興奮しないで。」


2023/12/22

■ まなぶ - 安納芋



初めていただく安納芋。これが収穫される地方に移り住んだ人から送ってもらいました。ありがとう!

 砂糖を使った茶菓は全く摂らない私にとって「スイーツ」といったら、かぼちゃとさつまいもとにんじん(!?)(11/20)。かぼちゃは冬至の頃にはもう旬のピークは過ぎていて、備蓄できる農家の方がうらやましいですが、町の裏店に住む庶民にとっては食感も価格もちょっと...。そのタイミングでさつまいもをいただいてワクワクします(そのことを知っていてお送りいただいたものと思われる)。

 とはいえ、初めての謎の作物です。オーブンとトースターでのあたため方のガイドが添付されていたのですが、いつものさつまいもやかぼちゃのように、まずは圧力鍋で加熱してみます。

 さつまいももかぼちゃも、急に加熱すると酵素が失活するので、ゆっくり加熱してでんぷんから糖になってもらいます。

 初めての1個目。ピン反応温度に20分程度かけて上昇させ、その後15分加圧。いつものさつまいもの加圧時間より多めにしました。ピンが下りてからナイフを入れると...ゴリっとします...。まだかたいみたい。

 あらためて5分加圧。もっちりとやわらかくなりました。少しほっこりしています。中の色はやや淡い気がします。

 翌日すなわち2個目、加圧時間を20分に。圧力も最大に。ピンが下りるまで熱いIHのプレート上に放置してゆっくり減圧します。加圧時間は昨日と同じなのですが、連続加圧のせいか、中の色は濃く、とろとろに...。加圧しすぎたか...。色からしてかなり糖度が高くなったようです。(画像) しかも、クリーミーで、固形のまま掬(すく)えないので、スプーンで。

 甘い! 昨日より甘味が強烈に強くなっています。あと、ナイフを入れたときに立ちのぼる香りや、あつあつを口に入れたときの香りが、南国風でエキゾチックです。

 これは、本土のさつまいもの代表的品種「紅あずま」「紅はるか」のホクホクとした感触や和三盆のようなハラリとした甘さに対して、濃厚な甘さといいトロリとした感触といい、まるで違う作物なんですね。 貴重で不思議な体験です。たくさんいただいたので、まだしばらく楽しめそうです。

 さつまいもの仲間なので、寒さに弱いようです。土付きのオブジェとして、机の上にでも飾っておこうかな (^^w

2023/12/21

■ まなぶ - インク「強色」と鉛筆「Hi-Uni 10B」の減り具合


11/1から開始した、英単語集の例文を書いて、鉛筆とインクの減り具合を見る試み。中間報告というか備忘録です。

 使っている英単語集は、7月のものと同じ(2,100語の見出し語に添えられた2,100の例文。単語数にして33,241語)。(もう単語集全文を5回も書いたのに、記憶の方は...┐( - ω-)┌)

 実施ルールは11/1の通り、万年筆と鉛筆とで、毎日、それぞれ英文を50文ずつ、計100の例文、単語数にして約1500語を、筆記体で書き進みます。

 万年筆インクは、新品の、パイロット万年筆の水性顔料インキ「強色(つわいろ)30ml 黒」「同 ブルーブラック」の2本。使う万年筆は、パイロット万年筆 742 (S)を同時に2本(同じ製品で別の個体)。インクを同時に2本の空(から)カートリッジに充填。

 万年筆で書いた量は、i) 11/1~11/21までの、約16,620語=1,050文 + ii) 12/1~12/21までの、約16,620語=1,050文で、i)+ii)の合計の33,241語=2,100文です。これを、2色(2本)でぴったり均等に使い分けました。

 したがって、1瓶あたりの減った量は、16,620語分ということです。

 ほぼ4,5日おきにカートリッジ(0.8mlくらい)は使い切って、都度補充しました。

 さて、画像を見ると、ほとんど減ってないようですネ。

 太字ででかでかと気分よく書いてきましたが、インクの減りは瓶を目視して2,3mm程度でしょうか。なんとコストパフォーマンスが良さげなのでしょう。この分では1年はもちそうです...。毎日、英文を、一色あたり25文程度、時間にして20分~30分、ずっと書いてきたのにこの減り方ですから、たいていの個人ユーザーにとっては、インク瓶は、1本買えば2年も3年も持つ感じでしょうか。

 鉛筆は、新品の三菱鉛筆「Hi-Uni 10B」を6本。ポケットシャープナーで削っています。今日で実施から42日間終了。

  7月~9月には、同じ「Hi-Uni」ですが、「2B」で試してみました。実施から42日間が終了した8/23の記事の画像と比べます。

左;Hi-Uni 2Bで4200文(8/21)   /   右;Hi-Uni 10Bで2100文(12/21)

 減りはほとんど同じです。右画像の「10B」の方が5mmほど減りが速い程度です。

 が、注意。左画像の「2B」は、42日間で4,200文、単語数にして66,482語を書いた後です。

 これに対し、右画像の「10B」は、42日間で、その半分の2,100文、33,241語を書いた後です。どちらも書く文字のサイズはほぼ同じです。

 つまり、10Bの減りの速さは、2Bのちょうど二倍ということがわかりました。

 「滑らかに、軽く、色濃く書ける」「書いていて楽しい」のは、圧倒的に10Bです。ただし、書いているそばから芯が減って丸まっていくので、私は、5文書いたら次の鉛筆にスイッチしていました。慣れなければ書き進む際のストレスです。慣れれば夢見心地で書き進められます。この10B芯は、本来は筆記用ではなく「画材」であり、「画材を筆記用に転用している」という意識が必要だと思いました。

 引き続き、1/1~1/21の間に、繰り返したいと思います。が、予想では、1月の実施の途中に、イマ使用中の鉛筆「Hi-Uni 10B」 は消耗しきって書けなくなると思います。その際は、100%を万年筆インク(パイロット「強色」)にスイッチします。文字・語数のカウントは検証可能なように心がけます。

2023/12/20

■ なおす - 今季初の圧雪路になりました


昨夜から軽い雪が静かにどっさり積もり、今朝はついに圧雪路となりました。これはもう消えない雪です。

 今晩から明日の朝にかけてまた、supercweather社のGPV気象予報では、高層気圧面の気温ゾーン0℃以下の張り出しが次の36時間以内で最も私の住む津軽地方には近づくのがこのあと今晩1時。気象庁天気予報は「乾雪」...。今朝同様そうとう積もりそうです(この図この後(12/21am1:00)。また、この時間前後、同じ日本海側でも、津軽地方や東北北部よりも、北陸と山陰あと中央高地が凄そうです)。いずれにしても明日未明はついに除雪機始動か...。


http://weather-gpv.info/ (12/20.15:00 - time parmeter;12/21am1:00)

 今年3月までの30年間ほどは、実家と倉庫兼住居とで3棟を除雪し、かつクルマを毎日出し入れしていたので、車庫周りはそうとう念入りに除雪していました。で、まてよ、イマこの冬から実家がなくなり、そうとうがんばれば徒歩のみですべて済ませることが可能となりそうです。とだとすればクルマの出し入れは、不要、いやまて、さらに、クルマ自体が不要!?...だとすれば、あの大変だった除雪が不要!!...それは理想の生活ですが、そんな生活は、このエリアではありえないし、自分的にここ30年ありえないですので、人生のコペルニクス的転換になりますが...思い切るには怖いです。クルマがなかったら、吹雪の日などは、徒歩での移動に、冬山用アルパインジャケット(パーカー)、登山靴、登山用ゲイター(ゲートル)(=ロングスパッツ)、果ては地吹雪で視界が0ならゴーグルも...。運動不足だし、冬山行はもうあり得ないので今ある山岳用ギアを使えていいじゃないか、でも側を行くドライバーから見ると引いてしまいそうな奇人変人...。楽しそう...。...も、もう少し考えてみます。

2023/12/19

■ なおす - 除雪車1 - 今季初



昨日は、丸一日、朝から吹雪のままずっと気温が下降し、昼・夕方とも乾燥した雪が積もり、何度か除雪。

 すると、今朝2:00頃に除雪車(市から委託の建設会社の除雪ローダー)が...。今季初、なのはいいのですが、除雪車が来るほどの雪じゃないです。今年は降雪量が少なくて、業者の収入が厳しいのが、出動の一因でしょうか。ここぞとばかりにやってきました。

 少しでも雪片付けをしてもらえるので、庶民としては歓迎です。その後、明け方以降は雪もやみ、少し日差しもあり、道の雪はいきなり融け始めました(画像は9/30と同じ位置)。ただ、予報では、年内はもう、24時間のあいだ0℃以上になることはないようです。早めに少しずつ除雪、が正解です、きっと。

2023/12/18

■ あるく - 八幡宮


今日はドカ雪。今朝は家のドアが開きませんでした。雪質からすると、例年より重く、今日は驚いたけどこのままどんどん積もるような感じではないようすですので、除雪機の必要はなく、放置することにします。

 明るくなった雪の合間、八幡宮まで軽く歩いてみます。

 例年だと、冬の入りのドカ雪では、八幡宮の桜や松の並木が雪をためこんで、参道の雪は膝や腰まで...だったところ、今年は、堤防工事により神社の樹木をほぼすべて伐採したので(11/29)、雪は吹き飛ばされて積もっていないです。何だかお宮が裸にされて吹きっさらしとなった異様な光景。参道は風が強くて立っていられないくらいです。気持ちまでもが寒々しいです。お宮の魅力は、季節の並木の風情にあったんだなぁと気づきました。

2023/12/17

■ なおす - 湯たんぽ


湯たんぽは、東京で大学生だった頃から、数十年来使っています。

 最高の暖房といえば、私にとっては湯たんぽです。

「足で踏みつけて」使います。温めるのは足先・足の裏です。

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 高校生くらいまでは、冬は、勉強する部屋には、石油ストーブを焚いて、ローゲージの登山用の毛糸の靴下を二重三重に重ね履きし、さらに登山用の羽毛ブーティーも化繊で起毛したボアスリッパ(?)も使っていました。それで暖かいための対策は全て講じたと信じていたわけで...。

 そもそも動いているときなどは、暖房というものは、ありさえすれば何でもかまわないです。学校や職場という場は、自宅にいるときに比べると、明らかに運動量もあり緊張もしていて交感神経優位になっているハズですので、暑い寒いはあまり感じません。

 人体は、首から上と手足の末端から、放熱しています。暑い時も寒い時もです。他方、人体不活性の状態で、どんどん環境気温が下がっていくにつれ、人体は、内臓など体幹を守ろうとして、手足の血流を劣後させます。

 暖房で部屋をいくら温めても、冬場に自宅で机に向かっている時は、足先は冷たいままに決まっています。部屋の暖房は、一定の温度、たとえば18℃程度になったら(人によります)、室温をそれ以上に上げるのはムダで、必要なのは、i) 動き回る, ii) ジッとしているなら手足の末端に加熱する、のどちらかです。

 i)ならば、18℃+長袖で快適でしょう。この地方ならば5月連休中に散歩するようなものです。ii)が問題です。20℃…25℃…と暖房をガンガンきかせても、足先は冷たいままです。つまり暖房の愚かな無駄遣いです。

 靴下を重ねたからといって、足や体内で熱の生産量を上げるわけでもないし、ゆえに体温が上昇するわけではないし、手足の血流の循環は必ず緩慢になるわけだから、いくら足先に靴下を重ねても、それはインシュレーション(衣類による「断熱」)であって、熱源でない以上足先は冷たいままではないでしょうか。ヘタすりゃ通気性を妨げて蒸れて指先にムダに汗をかいて湿ってきます。もう、この場合は、足先に体外からの熱源で加熱することを考える必要があります。

 「こたつ」は、それへの解答の1つです。が、私はこたつを使った時期も習慣も全くありません。

 …ってなわけで、病気で入院していた大学生のときに、ここまで考えが辿り着きました(その後半世紀ほど、考えは前進していません...)。

 考えるきっかけとなったのは、病室という環境ゆえ、ダンロップ製のゴムの氷嚢をいつも見て、ふと、自分の部屋にいるときにアレにお湯を入れたら? と思いました。看護師さんに「それ、お湯を入れてもいいのですか?」と聞いたら、「湯たんぽとして使える。熱湯はダメなので注意。」とのこと。

 「湯たんぽ」と言われてそのときすぐ、祖母が使っていた「トタンなど金属製の容器に熱湯」という絵を思い出し、恐怖感がよみがえります。また、「湯たんぽなんてものは、袋にお湯を入れておくだけだから、すぐ温度が下がって、パワーなさそう(?)」とナメていました。

 でも、足先の熱源として使えそうで、結局、退院した際に試しに、ゴム氷嚢を購入し、お湯を入れてタオルで巻いて、机の下に置いて踏んで使ってみました。たいへん心地良いです。それ以来今日まで使い続けています。

 このゴム製湯たんぽ(その後、画像左手前にあるようなシリコン製と変遷を重ねています)は、給湯蛇口から直接お湯を入れると適温です。すぐに暖かいという即効性があります。一方で、1時間程度で冷めきって効力がなくなり、むなしくぬるい水の袋を踏んでいる状態になります。

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 ここ30年ほどは、メインの湯たんぽとして、祖母の使っていたタイプの、金属製の湯たんぽを踏んづけています。

 机に向かう間、1時間2時間3時間...とずっと踏んでいます。人体は、体温よりほんの少しでも高いものに長時間触れていると、かならず「低温やけど」をします。あのとき「すぐ温度が下がって、パワーなさそう」と思っていたのですが、実は、体温よりは少し高い温度をずっと持続できるので、ずっと暖かいし、ということは、簡単に低温やけど可能なパワーというかカロリー(熱量)はあるわけです。

 さて、この金属製の湯たんぽを試してみようと思った際、臆病者の私のことですから、図のような着色アルコールの棒温度計を使って、60℃程度のお湯を入れ、タオルで包んで踏んでみました。今でも、温度計と革手(革製の作業用軍手)を毎日使っています。初めて使った当初は、「温度が低すぎて、大して暖まらない」と思い、使うのをあきらめ、シリコン製品のものに戻りました。何度か考え直して取り出してみては、やはり金属製はタオルで包むと暖かくない...と思い、またしまい込んだりしました。

 あるとき、低温でもかまわないつもりで、ずっと(2,3時間程度)踏んでいたのですが、そのうち、からだ全体が異様に熱いのに気づきました。たとえば半身浴で長湯するのと同じ効果ではないでしょうか。あるいは、高校時代に登山靴の底にホッカイロを入れて冬の低山ハイクをした際、当初はぽかぽかとたいへん快適でしたが、そのうち妙に背中に冷や汗が...。これは運動中は危険な行為だし、足のグリップも悪化するのでやってはいけない行為ですが、当時は知らずに何度か入れて歩きました...。足の裏をほんの少しでも温めるというのは、人体にとっては、放熱するはずの排熱を無理に体内に戻し込む意味があるのかもしれません。コントロールしないと危険性もありそうです。

 このときの湯たんぽを手で触ると、ほんのり暖かみがあるかな、というだけです。もう捨ててもいいくらいの生ぬるいお湯。棒温度計を入れてみると、40℃に満たないくらい。体温よりほんとうに1℃2℃高い程度です。

 このときハッキリわかりました。湯たんぽというのは、40℃で十分すぎるほど暖かく、足先の冷たさからは、何時間も完全に解放されるということです。

「こんな温度で効果なんかあるの?」というほの暖かい温度が、金属製湯たんぽの本領発揮の温度で、そうだとしたら、6時間程度は持続します。もう、快適で机から離れられなくなりました...。

 しかも、このトタン製品(マルカ製)は、薪ストーブや石油ストーブやガスコンロの直火にかけられる、というか、私の場合は、IH(電磁調理器)でじかに温められるので、6時間ほど使ったら、IH調理機で2,3分間「追い炊き?」してやります。その点でも、シリコン製で1時間ごとにさめたぬるま湯を捨ててあらたにお湯を入れる必要がなくなりました。

 私の用途は、デスクワークの際のみですので、以上で最適な答えとなっています。足先の冷たさはもう無いですし、こたつと違って、暖かさは、足を離したり立ち上がったりと、簡単にコントロール可能です。

 なお、湯たんぽを包むタオルが複数枚必要です。私は何枚も用意して洗濯したものを毎日複数枚使っています。また、床と湯たんぽの間に、切った木板やバスマットのような断熱材を敷くべきです。

気をつけるべきなのは、私とは別な用途、例えば、足先以外に用いるとか眠る際に用いるなどの場合、また新たな注意点や危険性もありますので、じゅうぶん調べてからどうぞ。

 無駄に靴下を重ね履きしてスリッパを履き、かえって湿って冷たくなった足先で机のPCに向かうあなたに、ぜひお勧めします。まずはシリコン製から、どうぞ試してみてください。

2023/12/16

■ こわすつくる - 茶封筒や紙バッグを解体して万年筆用紙に


■ またせせこましい話を。

■ あいかわらず単語集を、万年筆と鉛筆で50文ずつ書き進んでいます(11/1)。単語を覚えるためではなく、芯とインクの減り具合を確認してみたいためです。

■ それとは別に、ここ数日は従来型高粘度ボールペンで楽しんでいたのですが、書く文字は小さく、減りの速度は速く、ここいらで気分を変えて、大きい字を、減りの心配がないたくさんあるインクを使って、万年筆でのびのびと書きたい衝動に...。定期的に「小さい字」→「大きい字」と気分が往復します。9/12や9/15にも書いたのと同じ記事だと思って下さい。

■ 今日は、また溜まってきた、茶封筒角2サイズと、買い物を持ち帰る際にお店でくれる紙製の手提げバッグ(って言うのですか?)を、裁断機で解体してA4サイズにし、PCのプリンタで罫線を印刷し、万年筆ででかでかと書きます。家族親族にも「余ってる使用済み封筒があったら、ちょうだい」などと情けないお願いをして、何枚か集まってきました。単純にうれしいです。

■ 茶封筒も紙バッグも、クラフト紙ですので、分厚く、万年筆で書くと、実は快適です。

■ 万年筆も、太字。パイロット(Pilot)製品は何本かありますが、気分転換に、それ以外で書いて、ボヤっと思ったことを、口走る...より入力した方が私は速いかも...。

■ 紙が万年筆にとっては粗悪な品質(?)なので(だったら書くなよと言いたくなりそうな無理な試みですが)、なるべく気軽に使えてガシガシ書き進んでいける鉄ペン先の太字...こういう製品が無いんですよ、「鉄ペンで極太」。

■ 個人的好みとして、一般に万年筆は柔らかいほど心が和み使いやすいです。パイロットのカスタム漆、ペリカン(Pelikan)のM1000、パイロット742;F(フォルカン)、と、万年筆ではないのですが、つけペンのうちのGペンです。「柔らかい金ペン」はこの3本で生涯を終えても、もはや何の悔いもなく満足です。

■ ガチニブはちょっと...なんですが、今の用途 - 解体した茶封筒や紙バッグのような「クラフト紙」に、いわば書きなぐるのなら、金ペンより鉄ペン、柔らかいニブよりガチニブ...。

■ こういう場面で、他の万年筆に疎い私の浅い経験では、いちばん使いやすいと思う「鉄+太字」の条件をみたす万年筆は、台湾のツイスビー(TWSBI) Diamond580のB(太字)です。ペン先はガチニブで、軸も長く剛性感に富み、このジャンルでは突出した万年筆です。とはいえ、購入した数年前に比べると、今では3割も4割も値上げされていて13,200円ですか...。でも品質や実力に比して価格はまだまだ割安と言えます。

■ 次点が、画像のカヴェコ(Kaweco) SportのBB(極太)です。ペン先はパイロットカクノより小さくチャチで、本体は鉛筆キャップより小さい上、触ってがっかり、剛性感がなくて安っぽいです。が、書き出すと、いっちょ前に「ドイツ製万年筆の極太」の筆跡です。

■ 有名どころのラミー(LAMY)には、日本国内のラインナップにBがありません。ペリカン「クラシック」は、鉄ペンでBもありますが、2万円という価格は...。アルミ製のKawecoも同断です。パイロットの742の良心的な定価や743の割引後の実売価格とバッティングすると考えると、ありえない選択です。

■ 日本製でステキなのが、セーラー(Sailor)の「プロフィット・カジュアル」です。この鉄ペンは、ペン先が、Bも、またZ(Zoom;極太)も選べます。出た当初、思わずZに飛びつきました。サイズは、セーラーやプラチナは全般にそうですが、小さくて華奢です。が、Zの筆跡の図太さと書きやすさには感心しました。

■ 筆跡の圧倒的太さでは、モンブランNr.149のBBB、ペリカンM1000のBBBがありました(オブリーク版も別に存在しました)。試したことがありますが、異常な世界。カリグラフィー用でしょうか、Nr.149はイリジウムが極薄の平研ぎで、18Cだったけど硬く、書いていてちょっと不快でした。M1000のBBBは、イリジウムが巨大な球で、イマ思い出すと喉から手が出てきそうですが、今となっては、世界的にも私の財布的にも入手は絶望でしょう。149のB以上は現時点ではそもそも全て平研ぎで、長時間にわたり「本文」にあたる筆記を続けるのは苦痛です。日本製品にも、三社一様に「M;ミュージック」と銘打って同じ筆跡が得られるペン先ジャンルがあります。やはり平研ぎで、長時間の連続筆記はつらいですが、日本製品は三大メーカーとも、ほんとうに微に入り細を穿つ怒涛のラインナップを揃えてくれるという心づかいがあり、世界に類のない良心的なメーカーばかりです。

■ Nr.149やM1000を別にして、実用レベルで最も太いのは、パイロットのC(Coarse)ですよ。繊細なペン先のプラチナでもCがありますが、プラチナのペン先は全体にか細く、本体は全体に小さいです。細やかな日本語向け製品なのでしょう。セーラーのZはすばらしいけれど、パイロットのCは暴力に近い(?)...というわけで、私のような、本来筆記用途のはずがない紙バッグのクラフト紙などに書こうかという野蛮な人間にもたいへん魅力的です、が、Cは金ペンしかないんですよ...残念(と言いつつ、カスタムシリーズでは硬めの912のCを常用しています。画像のような使い方や書き方だと、カートリッジは1時間ももたないです...)。この点で、鉄ペンでも極太ペン種を選ばせてくれるセーラーには、大いに感謝しています。

■ と、言いたい放題なわがままでした。反論したくてむずむずしている方もいらっしゃることでしょう。蓼食う虫も好き好きという表現を思い出していただいて、妙なヤツもいるものだと、どうか大目に見てください。おかげで私は、今日は、カヴェコとツイスビーで、大いにストレス解消になりました。年に何回かこういうストレス解消が必要なようです。ふつうの人にとっての「良いお酒をじっくり飲む」「パ~っと飲みに行く」「甘いお菓子を楽しむ」「奮発して外食する」「旅行にショッピングにお出かけする」...どれも私は全く縁がないのですが、それらと同じ行為、「くつろぎ」「精神の解放」だと思います。

2023/12/15

■ なおす - 近所の温泉


真冬の天候になりました。今晩から本格的に雪が積もりそうです。からだとこころの持ちようをなおす目的で、いつもの温泉へ。歩いて7分の場所に、全国チェーン展開のビジネスホテルがあって、その建物内に顧客サービスとしての小さな温泉があります。日帰り入浴もOKですので、私にとってはありがたい一種の銭湯です。

 温泉は、津軽地方の特にこの界隈では、半径10km以内に数十か所はあり、「掘れば湧く」土地柄のようです。歩いて行ける場所にあるのは助かります。泉質は、このエリアに多い単純ナトリウム塩化物泉です。茶色がかって、かなりしょっぱいです。

 画像左は、ホテルのウェブサイトから(女湯)。画像右は、今日、男の私が男湯を無断で撮影...(すみません)ができるのも、平日昼間は、お客が絶無ということがほとんどで、10回来れば9回以上は、脱衣所も浴室も貸し切りです。ウェブサイトの画像の印象とちょっと異なって、狭いです。浴槽は3人で定員で、洗い場は広めに4人分。ただ、せっかく便利な街中に温泉があるのですが、ま、夜は宿泊客と地元日帰り利用者でかなり混んでいるとして、昼に誰一人利用していないなんて...。

 近所の人が昼の時間帯を敬遠する一因かな、と、思う節が...。チョっと想像してみてください、お昼前後、あなた(男性と仮定する)がいま、貸し切り状態でたった一人、いい気分で、温泉につかって、洗い場でシェービングしています。するとそこへ、作業服ゴム長ゴム手袋のおばちゃん(女性を表す代名詞)の1人か2人が、男湯のドアをいきなり全面開放して、ドヤドヤと入ってきて、デッキブラシで床をガシガシ洗い始め、水道ホース蛇口全開で床に水をじゃあじゃあと豪快に流します。つまりお掃除タイムがお昼の11時から14時頃までの間(ホテルのチェックアウトとチェックインの合間の時間帯)の、いずれか不定な時間に毎日あるってわけです。そのさ中に、あなたはなお平然と、素っ裸で一人のうのうとシェービングし続ける図太い神経の持ち主であるという自信がありますか。そんな太ぇ野郎が世の中にいるでしょうか...あ、私ですか、それ...。

■ ホテル側が、この時間帯を「清掃のため利用できません」とせずに、日帰り入浴客に開放してくれている点は、ホテル側の善意だと思っています。

 ってことで、掃除があろうと何ら苦しぅない、かまうこたぁねぇ、じゃんじゃんやってくれ、と腹をくくった場合、確率的には90%以上で貸し切り温泉を堪能できるってぇわけです。

2023/12/14

■ まなぶ - 油性ボールペンの替え芯2


「おととい(12/11)の、油性ボールペンの、新品替え芯が、実はね...」

「どうしたの? インクが出なくなっちゃったとか?」

「うん。」

「新品の使い始めのうちは、渋いからネ。紙にペン先を押し付けてグルグル回すとかお湯につけるとか、した?」

「いや、もう使い切っちゃったんだ...」

「えぇっ!?」

「すぐ無くなっちゃうって、言ったじゃない。」

「早すぎるだろっ!まだ3日だよ!」


メモ;「1本あたりの筆記量 - 英単語、筆記体、8~9ポイント程度の大きさで」

・鉛筆 (三菱鉛筆 Hi Uni 2B ¥165円) (9/3の記事参照)… 17,000語 

・油性ボールペン (パイロット レックスグリップ1.6mm(極太) ¥110) …5,700語

2023/12/13

■ なおす - 包丁を砥ぐ

※ 左;研ぐ前   /   右;刃を研ぎだした「切り出し小刀」

11月末に降雪があって以来、この時期にしては妙になま暖かい日が続いていましたが、ここ2,3日は、刺すような冬の寒さがやってきました。雪はなく、昨日は寒空からかき氷をまくようなみぞれの降り方でした。

 寒くて黙って座っていられないくらい...となると、刃研ぎのシーズンです?...と、私が一人で決め込んでいるのですが、刃を研ぐと、単純にからだが暖まるってだけです。また、研いでいるときの砥石に触れる刃の温度も上がりづらく、刃が熱くなるときの危機感がなくてやりやすいです。とはいえ、冷たい水道水と砥泥とで、指の皮膚はボロボロになるのですが...。

 今日研ぐメンツは、普段使いの包丁2本とパン切りナイフと、春先に実家整理で見つけたもののうち「チタン+ステンレス」(左の画像の中央にある黒い精悍な包丁)と書かれた包丁と「切り出し小刀」(左の画像の左にある、汚い木製の柄のついた錆びだらけの...)です。

 まずこの「切り出し小刀」。

■ 実家整理のときには、心を鬼にしてあれもこれもどっさり捨てたのですが、この「切り出し」も、画像左にあるように、もはや刃物の原形をなしておらず、錆のカタマリです。こんな錆びた汚いものは、さっさと捨てて、もし自分で必要ならば、買い直せばいいだけです。安いものなら1,000円前後でしょうか。アマゾンやワークマンで。安物なんだし、中国製だって別にいいじゃない。...という発想で、日本は使い捨て社会となり、モノづくりをヤメ、中国に依存する体質になり、中国の強大化に貢献し、今後展開される人類史では、近々中国の統治下に入る予定です...、って、考えすぎか...。

 とはいえ、父があれこれ便利に使っていたのを思うと、ちょっと捨てられず、「今回の実家整理作業で使い捨てるテコやヘラの代わりくらいにはなるかな」と思って捨てずにいました。先日、工具箱の中から見つけました。捨てかけたのですが、荷物をほどいたり、段ボールを切断したりと、父が使っていた用途を思い出して、カッターを使うよりも剛性感があっていいかなと思い、そこで砥いでみ...るのはたいへんだゾこりゃ、ってなわけで、どっちつかずに放置していました。

 今日は、この切り出しを、ためしに砥いでみて、それで使えなければ捨てるつもりです。

 もともとメーカーでは、製品化する設計段階で「刃物鋼」を素材に選定しているはずですので、砥げるでしょう。

 よく見ると、刃(だったはず)の部分もサビで鋸刃みたいにギザギザで、指に強く押しあてて引いても、切れる気配はなし。刃の身頃の見栄えの復活はあきらめて、とにかく刃をつけます。本来は鞘付きだったはずですが、鞘なんか紛失していますので、切っ先はつけないことにします。

 荒砥150番くらいからガリガリと始めて、ひとまず中砥1500番台で刃を砥ぎ出してみます。画像右のように、不器用ですが、切れ味は、それなりに復活しました。段ボールやナイロン紐などはカッターと同じ程度に切れます。りんごの皮もむけそうです。

 次、「チタン+ステンレス包丁」。

■ 思うんだけど、この「チタン包丁」のウリ文句はたぶん「軽い・錆びない・切れ味長持ち・においがつかない」じゃぁないのかな? TV通販などで売っていそうな...。なぜこんなものが実家にあったのでしょうか。

 持つと、たしかに軽いですが、その軽さは、「比重が鉄の半分」といったチタン本来の軽さではなく、それよりは重いです。おそらくほとんどがステンレス鋼で、チタンは「コーティング・塗装・塗布」程度じゃないかなと予想。また、柄が、本来の包丁の柄に用いる品質を明らかに下回る安っぽいプラスチック製で、軽さを演出しています。

 そもそも刃の芯がチタン(かその合金)というのは、ありえないです。この金属の性質として、硬く、こぼれやすく、他方で工業的に焼き入れしづらく、工場で動力を用いて強引に刃入れしたら、その硬さゆえ切れ味は少しは長持ちしそうですが、いったん家庭で切れ味が鈍ったり刃こぼれしたとして、一般家庭の実用レベルまで鋼(はがね)の包丁程度に砥ぎ上げるのは、一般人の技術ではまるっきり無理ではないでしょうか。また、「アルミ製の包丁」がないのと同じリクツで、がんばって砥いだとして、そのそばから、研磨面に、一瞬にして緻密な酸化被膜が形成されて、刃物として使いものにならないのではないかな。

 見ると一度研いだ後がありますが、いま、半信半疑で砥いでみます。黒い(たぶんチタン被膜の)コーティングは、簡単に剥がれ落ちるようです。砥いでいて、反応が鈍く、砥泥が極端に少ないです。刃に「返り」もつきません...。

 どうやら、イマ自分は、刃物鋼としてはいまいちな品質のステンレスの板を、ムダに一生懸命研いでいるところじゃなかろうかとの疑惑の念が沸々と...。ダイソーで200円の包丁と同じ品質、いやそれ以下の予感...。

 いつも私が使っている包丁と同じ程度の段取りで砥ぎ、野菜を切ってみます...。

 するとっ!...やっぱコレさ、ごめん、何の悔いもなく捨てましょう。「チタン = 万能 = 高級」という俗耳に入りやすいスキームで消費者を篭絡するのは...。 

 すぐ、同様に砥いだいつもの「藤次郎」で野菜を切ります...。こ、怖い...。いきなり緊張感。感激して泣けます(?)...。いつもどおり、砥ぎたては、まな板が「トントン...」ではなく、音もなく包丁の刃がまな板に吸い付くようなぞっとするような感触です。こうでなくちゃ...。青紙鋼・黄紙鋼・白紙鋼などといった高級和包丁の鋼のすさまじさはないですが、それに次ぐコバルト合金(医療用のスカルペル(メス)でも標準仕様)のうちのV金10号。

 軽けりゃ、錆びなけりゃ、切れ味が長持ちすりゃ、エラいのですか? 高級な和包丁になるほど、ずっしり重く、翌日錆びてて、まったく切れない...のでは? だったらそれは最低の刃物なのですか? 

 重くてもろくて錆びやすい、けど、「そのつど頻繁に手入れして最高の状態で使えよ」というのが本来の思想だと思います。刃物って、そういう存在なんじゃないのかなと認識を新たにします。

2023/12/12

■ まなぶ - 待ち合わせ時間のやりとり - 大学入試センター試験1990年 英語 2B-(6)


■ 大学入試「センター試験」第1回は1990年。最終回は2020年。第1回センター試験を見ると、数学も英語も、2021年から開始の「共通テスト」とは隔世の感があります。

■ むかしの前者は、「数学は易しく、英語はやや難解。いずれも短文。アカデミック。質で勝負。」今どきの後者は、「数学はやや難解。英語は平易。いずれも長文。日常感覚を重視。質より量。」もっとも、「利害無関係者」の単なる印象にすぎないので、読み捨てにしてください...。

■ 1990年第1回センター試験英語は、30年間ほぼそうなのですがとくに前半16年間くらいは、筆記の出題形式が、発音・語法多肢選択・文法整序・読解(ビジュアル)・読解(論説)・読解(小説)と、きっちり決まっていた感じです。

■ 第2問の語法問題は、英検やTOEFLなどでおなじみの、短文の空所を多肢選択で補充する形式です。と表現すると、何だか難しげですが、内容はユルいです(エラそうでごめんなさい!)。ですが、第3問の文法整序問題は、ちょっとペンで書き留めないとスグにパっとは答えづらい入り組んだ問題です。


■ ユルい内容をいっしょに見てみましょう。2B(6)です。[  ]に、下の①~④から1ツ選びます。和訳は拙訳です;

  A: I’m going to the motor show on Sunday.

  B: Oh, are you?  Is it OK if I come along?

  A: Sure.  Shall we meet at the entrance at nine?  Is that too early?

  B: [     ]

  A: That’s fine.  See you then.

    ① Are you going by car?

    ② Never mind.  The gas station opens at eight.

    ③ Not at all.  I’ll get up at ten.

    ④ Well, could we make it at ten?


  A 日曜日にモーターショーに行く予定なんだ。

  B そうなんだ? ボクもいっしょに行っていいかな?

  A もちろん。9時に入口で会うのはどう? それじゃ早すぎるかな?

  B [          ]

  A それでいいよ。じゃぁそのときにね。



■ ④を選ぶのがオススメです(;^^w

  A 日曜日にモーターショーに行く予定なんだ。

  B そうなの? ボクもいっしょに行っていいかな?

  A もちろん。9時に入口で会うのはどう? 早すぎるかな?

  B [  う〜ん、10時でもいいかなぁ?  ]

  A それでいいよ。じゃぁそのときにね。


■ ①を選んでみましょう。

  A 日曜日にモーターショーに行く予定なんだ。

  B そうなの? ボクもいっしょに行っていいかな?

  A もちろん。9時に入口で会うのはどう? 早すぎるかな?

  B [ クルマで行く?  ]

  A そりゃいいね。じゃぁそのときにね。

…つまり、いつどこで会うんだよ!? 9時入口の現地集合かい?


■ ②を選んでみましょう。

  A 日曜日にモーターショーに行く予定なんだ。

  B そうなの? ボクもいっしょに行っていいかな?

  A もちろん。9時に入口で会うのはどう? 早すぎるかな?

  B [ 気にしなくていいよ。ガソリンスタンドは8時に開くからさ。 ]

  A そりゃいいね。じゃぁそのときにね。

…で、いつどこで会うんだよ!? ガソリンスタンド集合に変更かい?


■ ③を選んでみましょう。

  A 日曜日にモーターショーに行く予定なんだ。

  B そうなの? ボクもいっしょに行っていいかな?

  A いいよ。9時に入口で会うのはどう? 早すぎるかな?

  B [ いや、ぜ~んぜん。ボク10時には起きるから。 ]

  A そりゃぁいいねぇ。じゃぁそのときにね。

…おいBもAも、ヒトの話をちゃんと聞けよ。


2023/12/11

■ まなぶ - 油性ボールペンの替え芯


「昔ながらのこの、ねとねとした油性ボールペンさ...」

「何本も何年も使わないまま放置してたヤツだよね。ジェットストリームやサラサがあれば、もう使わないよね。」

「でもそれで、太字で欧文を書いてみたら、意外にも書き味の良さがあるってわかったんだ(9/7)。」

「よかったね。」

「ただ、インクがすぐに無くなっちゃうんだ。もともと、処分のため消費しきるつもりで使ったんだけど、それなりに良くて、つい替芯を買っちゃった。」

「本末転倒になっちゃったね。で、その『すぐに』って、どのくらい速いの?  」

「う~ん、じゃこれも、新品替芯を開封した機会に、『英単語を何語書けるか』で客観的に測ってみようかな。」

「ええ!? 万年筆インクも鉛筆ハイユニ10Bも、いま計測中じゃなかったっけ!? さらに増やす気?」

「うん...。インクや鉛筆と比べられるし。」

「どんだけ書くんだよ。単語を書くだけのロボットみたいだね。少しは中味を覚えればいいのに...。」

「ほ、ほんとだね...。」

2023/12/10

■ なおす - 軽トラを冬タイヤに交換


備忘録。今さらですが、12/10、軽トラのタイヤ・ホイールを、スタッドレスに交換作業。もう周りは1か月も前に終えています。私だけです。ただ、今年は雪が無くて、イマでも余裕です。こんな年は珍しいです。

 年々、腰に負担を感じます。軽トラの12インチだというのに...。かつては17インチも余裕で交換していたのに...。

 とはいえ、17インチだののときは、すべてハンドツールだけの強引な力技(チカラワザ)でした。イマでは、電動ですがインパクトレンチが手もとにあって、各段にラクです。

 数年前に、従弟が私の倉庫によく出入りしていた時期があって、そのとき農家(米とりんご)の彼は、私の倉庫わきの広めのアスファルトスペースで軽トラのタイヤ・ホイール交換をしたい、ということで、電動インパクトレンチを貸してあげました。「電動インパクトでもナットが外れない!」と騒ぎ出したのですが、たしかに外れません。私たちの力量不足もあるのですが、このボロい軽トラ(ごめん)、農家が激しく冬の間泥道をこいで、サビや泥や塩化カルシウムなどで固着しているんでしょう。それにしても激しいです。

 画像中央やや左に、半分だけ見えている長い棒は、KTC(京都工具)のBS-4Lロングスピンナハンドルです。全長600mm, 自重1100gの棒...。先端は12.7sq.ソケットがついているだけ。コレで外れないボルトorナットは、一般民間人の日常生活には無いでしょう...、ってなワケで、そのときの彼の軽トラホイールにこれを使ったところ、あっさり緩みました。

 彼に、そもそも締め込むときにどうやって締めたんだと聞くと、画像左にあるような「十字レンチ」に、一瞬両足をかけて右足にグイっと体重をかけて締めて着地するという曲芸をなさったそうで...。滑って転んだこともあったと...。だから思いっきり強く締め込むことになって、外すときはいつも苦労するとのこと...。それ外すのたいへんってさ、締め込みが強いというより、ボルトの歪みや曲がりがあるからじゃないのかい?

 近所のおじさんたちでも、自分でタイヤホイール交換をしているひとたちのほとんどが、十字レンチだけで作業しています。コレだと、外すのも猛烈な力が必要だし、じゅうぶんキツく締め込んだたつもりでも、実際にはトルク不足です。私はもう全く使わなくなってしまいました。

 イマ私は電動ながらインパクトレンチがあるので、脱着はコレでお気楽です。で、ナットを締める際は、画像右手前に見えるプリセット型の「トルクレンチ」で103N・mにセットしてかならず16本確認します。軽トラを含む多くの国産車は、タイヤのナット1本あたりの締め付けトルクはこの値です。

 この「トルクレンチ」は、ホームセンターで数千円で買えますので、精度はそう厳密ではないですが、あるとないとでは雲泥の差、自分でホイール交換をして一般道路を走るつもりなら、絶対に必要です。で、これを使って103N・mの値に締めるとしたら、この全長は400mmですので、かける力は257.5N程度、だいたい26kgの締め付け力が必要ですが、その力って、大人が体重と勢いを込めて締める最大値に近い程度だと思います。

 一方で、「十字レンチ」は、有効に締め付けトルクのエネルギーとして使える長さは200mm未満ではないでしょうか。だとしたら、103N・mの値を得るには、上のトルクレンチの倍の515N、だいたい52kgの「締め付け筋力」が必要ですが、十字レンチの200mmという作業領域では、屈強な成人男子のうちでもごく一部の方のみ叩き出せる値、通常の人間には不可能な値です。...と、近所のおじさんたちに説いて回りたいところなんですが...、ウルサいヤツになりそうです。近所のおじさんたちは、きっと日ごろから莫大な重量のウェイトリフティングをなさっている筋肉隆々とした方々なのでしょう。

 さて他方で、KTCのBS-4Lという「棒」は、全長600mmです。これを使えば、171N、17kgほどの力をかければ済みますし、自重ですでに11N稼いでいます。ボクでもワタシでもチョっと腕だけ動かせば簡単に緩みます。ただし、これで締め付けると、今度は逆にオーバートルク(締め付け過ぎ)も簡単に起こり、危険です。やっぱり、トルクレンチがないと、怖くて作業できないですよ。

 ってなわけで、彼の軽トラのホイールのナットを外す分には、この棒でラクラクだったのでした。「コレすげえな、農機具のメンテにも役立つね。一つ買っておかなきゃ。どこで買えるの? いくら? なんだよ、おしえてくれよ。」...あ、あの、実は、この「棒だけ」の工具なんだけど、えぇっと、い、いち、いちまん、...にさらに、にせんえん...じゃ買えないんだ...!(ioi)...

 ってことで、インパクトレンチを買おう、電動でも安いやつでもいいから!あと、トルクレンチも買おう!2つ買ってもヘタすりゃ「棒」1本買うよりおつりがくるかも...。

2023/12/09

■ まなぶ - 袋詰めの食事に頼る? - 大学入試 共通テスト 試行調査 - 数学IIB - 2018年第1問目(2)


食事の話。「袋詰めされている食品から、健常な18歳以上の日本人に必要な1日のカロリーや脂質の半分以上にあたる1500kcalを、毎日、摂取する生活」をしていますか? 私は違います。あなたは? 

 ポテトチップスなどの「袋菓子」なら受験生の年頃の18歳ではありうる話ですが、そうであっても、カルビーのポテトチップスは1袋60gで330kcal程度。それを「毎日」...。しかも「1500kcal」って、たぶん間違っている生活では? だとして、今回登場の太郎君と花子さんの生活って、何か異常な事態ではないでしょうか? 

 大学入試共通テスト試行調査問題で、異常な世界の人たちの生活を垣間見て楽しんでみましょう(なお、[  ]のオ以降は、カタカナ1文字に、解答となるアラビア数字1字が入ります)。

奇想天外な豊かな想像力に満ちた出題者に敬意を表します。

---...---...---

100gずつ袋詰めされている食品AとBがある。

l袋あたりのエネルギーは食品Aが200kcal, 食品Bが300kcalであり,

1袋あたりの脂質の含有量は食品Aが4g, 食品Bが2gである。

(1)

太郎さんは,食品AとBを食べるにあたり, 

エネルギーは1500kcal以下に, 脂質は16g以下に

抑えたいと考えている。

食べる量(g)の合計が最も多くなるのは, 

食品AとBをどのような量の組合せで食べるときかを調べよう。

ただし, 一方のみを食べる場合も含めて考えるものとする。

i) 食品Aをx袋分,食品Bをy袋分だけ食べるとする。

このとき, x, yは次の条件①,②を満たす必要がある。

摂取するエネルギー量についての条件 [  ア  ]………①

摂取する脂質の量についての条件 [  イ  ]………②

[ ア ], [ イ ]に当てはまる式を, 次の各解答群のうちから一つずつ選べ。

[ ア ]の解答群

200x+300y≤1500 200x+300y≥1500

300x+200y≤1500 300x+200y≥1500

[ イ ]の解答群

2x+4y≤16 2x+4y≥16

4x+2y≤16 4x+2y≥16


ii)  x, yの値と条件①,②の関係について正しいものを, 以下から二つ選べ。 [  ウ  ], [  エ  ]

(x, y)=(0, 5)は条件①を満たさないが, 条件②は満たす。

(x, y)=(5, 0)は条件①を満たすが, 条件②は満たさない。

(x, y)=(4, 1)は条件①も条件②も満たさない。

(x, y)=(3, 2)は条件①と条件②をともに満たす。

 

iii) 条件①,②をともに満たす(x, y)について, 

食品AとBを食べる量の合計の最大値を二つの場合で考えてみよう。

食品A, Bがl袋を小分けにして食べられるような食品のとき, 

すなわちx, yのとり得る値が実数の場合, 

食べる量の合計の最大値は

[  オカキ  ]g

である。

このときの(x, y)の組は,

(x,y)=([  ク  ]/[  ケ  ] , ([  コ  ])/([  サ  ]))

である。

次に, 食品A, Bがl袋を小分けにして食べられないような食品のとき,

すなわちx, yのとり得る値が整数の場合, 

食べる量の合計の最大値は

[  シスセ  ]g

である。

このときの(x, y)の組は

[  ソ  ]通り

ある。


(2)

花子さんは,食品AとBを合計600g以上食べて,

エネルギーは1500kcal以下にしたい。

脂質を最も少なくできるのは,

食品A, Bがl袋を小分けにして食べられない食品の場合, 

Aを[  タ  ]袋, 

Bを[  チ  ]袋

食べるときで,

そのときの脂質は

[  ツテ  ]g

である。

---...---...---

 いったいどんな食品なんだろうと思いつつ、読み進むにつれてだんだん気持ちが悪くなってきたのですが、こらえて解いてみましょう。

 カロリーの条件は、200x+300yを1500kcal以下に①し、脂質は、4x+2yを16g以下に②すればよく、xとyにii)の座標の選択肢の組合せを丹念にあてはめていけば、何とか暗算か軽いメモで行けそうです。

 iii)の、食べる量ですが、袋を小分けできるなら、上の連立不等式のxとyは実数ですが、袋を小分けできないなら、xとyは整数でなくちゃだめですネ。

 ここで、x+yを組み合わせて食う合計量を、いったんkとおくのが、最大のポイントでしょうか。x+y=kならば、変形して、y = -x+k(③)。これって、傾き-1でy切片はkの直線の式です。

 ①と②を、どちらも “y = …”の一次関数式にして、xy平面に書き出します(グラフはせっかく描くなら、できるだけデカく描こう!)。不等式なので、直線と原点に囲まれる直角三角形が有効なエリアですが、二直線に交点があるので、算出しておきます。分数座標でした。

 ①と②の両方の条件を満たすのは、重複したエリアです。この平面に、y = -x+kを書き込み、この、傾き-1の直線が有効なエリア内を通過する内で、切片kの値が最も高くなる時が、もっともたくさん食える場合ってことですネ。するとそのときの直線③は、交点座標を通過するってわけで...。

 食える量は、x+y = k より、100(x+y) = 100kだから、xとyとに、有効領域と直線の共有点のうちただ1点に定まった最高地点=交点の座標を代入して100g倍すれば、575g食えるんだと、結論が出ました。

 575gは、どういう形状の物質が入っているんだろうな!? これ575gひたすら食ってうまいのかな...。

 この手法は、「工業簿記」の「原価計算」でおなじみ...な人は、高校の普通科にはおらず、商業高校・工業高校など実業系高校で簿記2級を目指す生徒さんでしょうか。原価計算の一分野、「線形計画」の基本テクでした。でもそこの生徒さんでも、まさか太郎君の食生活にこのテクを使うなんて思いもよらないところです。

 袋が小分けできないとすれば、xとyが整数でなくちゃだめなので、重複する有効な範囲内で最大となる格子点を丹念に拾えばいいですが、その結果、満たす座標は、和が5になる6つの組合せのうち、領域内の5つに限られます。

 花子さんの食生活の場合、太郎君より多い600gを食い、カロリーは同じ1500kcal以下だが、脂質を抑えたいんだって。も~、わがままだなぁ。

 でも2人は、非常に特殊な生活をしているところなんですね、きっと。イマ、大気圏外の有人宇宙ステーションにてミッション実行中にちがいありません。

 なんでこんな特殊な食生活の計算を、18歳の50万人がいっせいに計算してあげなきゃダメなんだろうか...? 庶民にとっては、りっぱな象牙でできたタワーにお住いの出題者の方々の発想は、いっけんバカげているように見えて、実はほんとうにばかげている 実は深遠な見地に発するものであると思うと、胃が気持ち悪くなってうがいしたくなる こころを洗われる思いがいたします。

2023/12/08

■ なおす - クラシックシェービング - 今日


昨夜は眠っていられないような暴風だったものの、ここのところ例年にない雪の少ない不思議に乾いた日々が続いています。ずっとこうならどれほど良いことでしょう...。

 珍しい冬の晴れた日、気分転換に最適な、クラシックシェービング。暗い悪天候の日には、気持ちを変えてくれ、晴れた良い天気の日にはますます気分を高揚させてくれます。

 ブラシは、前回11/24で登場の高品質バジャー(アナグマ)のブラシに並び、こちらも最高品質のバジャー。デンス(植毛の濃さ)、ダイアミタ(根もとの直径)、レングス(毛の長さ)とも、文句なく特級品です。が、価格は、前回の熊野筆の3分の1でした。販売会社は中国Yaqiですが、製造地は東南アジア製です。ハンドルはずっしり重いアルミ合金のインゴットです。少しのシェービングソープで、もりもりと密度の濃い泡立ちがあり、しかもじゅうぶんすぎるほど長く持続します。伝統的工芸品の熊野筆も、品質的には問題ないかもしれないですが、やはりクラシックシェービングの文化のある場所で生産されたものは、不動の信頼感に満ちています。

 ソープは、アメリカ製の高級定番品スターリングStirlingのDeep Blue Seaというフレーバーの品です。これは私のような日本の末端庶民にとっては、明らかに身分不相応な贅沢品です。といっても、1,2週間でなくなる石けんや市販のシェービングスプレー(?)と違い、大切に使って何年も持ちます。何年も贅沢できるだなんて...。

 贅沢品ついでに、肝心のホルダは、アメリカ製のAbove The Tieの品。高級ラインの『Windsor Pro』シリーズのうちの『Kronos / SB90』という型番です。ギャップは0.9mmでアグレッシブ(刃とベースプレートの間隔が広いがゆえに、かなり鋭い切れ味で、中級者以上向け)です。これまたずっしり重いステンレスのインゴット削り出し品をポリッシュ加工しています。購入した数年前から、円安のせいもあって、今ウェブサイトで見て2.5倍程度に値上がりしていて、卒倒してしまいそうです。ま、コレも生涯にわたり使えるので、シックやジレットの使い捨て品を思うと、満足感の高さは比較になりません。

 いずれも、買ったときには、そう贅沢をしているだなんて意識はなくて、必要にかられていたのですが、今となってはもう...。

 これら、代替品類似品が日本に存在しないジャンルの製品を使うのは、シャワーのときです。毎日使うものを、外国から購入できることに、ほんとうに感謝の気持ちがふつふつと湧きます。...毎度同じことを言ってしまうのですが...。

 『イギリスのラシャとポルトガルのぶどう酒』といえば、経済原論を学んだ全ての人におわかりの通り、国際分業をすることによって、全ての人類の幸福が最適解を得られる、リカードの自由貿易論です。

 シェービングをするたびに、ひしひしと感じます。

 この理論の当然の大前提は、自由貿易が可能な国家関係です。原材料のみならず、労働条件や捨象可能な低関税といった経済学的資源の条件が均衡する、自由貿易を受け入れる民主主義国家同士で可能で、このときこのゲーム理論は、人類という全構成メンバーにとって最適解です。

 破壊し合う生物よりも生産し合う生物に、どうか戻ってくれるように、と、こころからいのっています。

2023/12/07

■ きく - バッハ「オルゲルビュヒライン」BVW599-644; アラン


大学時代にいなかから東京に出て来て、本でしか知らなかったものの実物に接触する機会は多かったです。東京国立博物館の収蔵品などがその例です。うち、パイプオルガンというものを初めて聴く機会に触れたのも、その一つです。

■ おとといの冒頭画像は、東京カテドラルですが、この大聖堂は、典礼用途で実働する日本最大のパイプオルガンを備えています。小教区教会としてのカトリック関口教会で、ふだんの主日ミサで毎週稼働しているわけではないようですが、教会暦上の大きな祝日には当然、聖歌の伴奏に用いられます。

■ 初めてその音を聞いたときは、想像を絶するレベルで、「楽器」というよりは、「建物の構造物」が圧倒的な力を及ぼしているのを感じました。コンクリートという一種の石造建築物の中で、内側に向かって湾曲するネガティブラインを持つ内壁を這う猛烈な音の波や圧力が、集う会衆や私の皮膚や筋肉を押し脳を揺さぶるのではないかとすら感じます。それが、外側に膨らむ穹窿をなすヴォールト天井(8/6ご参照)を持つヨーロッパの教会と同様なのか、また、それが会衆に心地よいか、というのはまた別な問題ですが...。

■ ロックコンサートやサウンド効果付きのシネマシアターなど、類似の熱い高揚感があるのではないかと思いました(どちらも行ったことがありませんが)。

■ 飛躍しますが、1517年にくすぶりが破裂した宗教改革で、ルター本人の強い意志は、そのエグいドギついドイツ語訳の聖書と、積極的なドイツ語の讃美歌の、両方を用いる典礼(礼拝)で、説得力を強めたのではないでしょうか。うち、歌は、カトリック修道院のような、器楽伴奏なしの単旋律のしかも会衆にとって意味不明なラテン語なんかのモノフォニーではなく、オルガン伴奏が当然の前提とされる(当時は場合によっては管弦楽団までつく)多彩なホモフォニーに支えられた、歌いやすいドイツ語の主旋律をもつ讃美歌が、次々と作られていきました。

 自分たちの生活や場合によっては命をも抑圧するカトリックという巨大な敵対圧力を押し戻す強い意志は、会衆が、自ら読み歌う形で、積極的に参加する際に、教会という石造りの砦とオルガンという心理的に圧倒的な構造物によってバックアップされたのではないでしょうか。オルガンは、人間の意気を昂め、意志を束ね、決意を促し、人間の歴史を変える構造物です。

 さて、話はガックリ変わって、大学時代の80年代半ば、内臓疾患で何か月間か何年間か病院の天井を見て暮らしていた折りに、それまで何度も耳にして知っていたはずのマリ=クレール・アランの演奏を、耳にしました、と言ってももちろんいつものFM放送で...私が生の演奏に接する境遇なワケがないじゃないですか。

 このときの私の置かれた状況から、いつも鈍い私の感覚も、チョっと人並みに鋭くなっていたのか、ブクステフーデのあの二短調のパッサカリア(BuxWV161)で重々しい曲のハズのところ、たしかに軽くはない、がっしり芯が通った音色でしたが、だのに、ずいぶん明るくすがすがしい透明感でいっぱいで...。知っているヴァルヒャとは全く異質の音色に聞こえて、改めてLPで(当時CDは高価だった)じっくり聴いてみたい気分がむずむずしてきました。

 クラシックのLPレコードにつき、圧倒的に怒涛のラインナップを揃えているのは、世界広しといえど、ロンドンでもニューヨークでもパリでもなく、明らかに秋葉原の石丸電気です。一時退院した機会に、物色に出かけていきました。

 アランのLPは、すぐたくさん見つかりました。あの明るい音色をいっそうじっくり味わいたかったので、恰好の1枚、バッハのシューブラーコラール集(Schübler Choral BWV 645-650)を選びました(上の画像のLP)。

 自室の貧弱なステレオで聴いて、びっくり。いきなり感じたのがペダルの風圧です!?...えぇ!?...大音響で鳴らしたわけでは全くないのに、がっしりと芯が通った底抜けに明るい音色、いやそれを越えて、ペダルの低音で、音の波の風圧が物理的に内臓を揺らします(病気ゆえの幻覚です...)。フランスのエラート(Σrato)盤の特有の音の良さは定評がありますが、自分のショボいステレオの、ダイナミックレンジを上から下まで使い切っているようなずっしりと深い音です。あの関口教会の体験と同じではないか、ただこちらのシューブラーコラールの曲は、あの威圧感がなく心地よいです。

 オルガンは、オーヴェルニュ地方ドロームDrômeにあるサン=ドナ教会 (Collegiale de Saint-donat)の、1970年代のシュヴェンケーデル Schwenkedel 製で、1982年頃の録音。アルザス地方にあるこのオルガン工房の名前こそゲルマン語系ですが、音の体験なのに、音色は、南フランスの、明るい、強い、迷いがない、などのイメージが広がり、何か視覚的なものを感じます。南の地中海から吹く穏やかで湿度の多い海風。北から吹く乾いたミストラル。青空の下でからみあうようです(病気ゆえの幻覚です...。内臓疾患が精神まで蝕んできたかもしれません...)。

 その録音を遡る2年ほど前にアランがすでに完成させていたバッハのオルガン全集を、聴かずにはいられなくなりました...。LPでヴァルヒャの全集は持っていたので、その扱いのたいへんさから、もはや今度は、ダイナミックレンジの広い、しかも扱いやすいCDで欲しくなったのですが、CD17枚組はとても購入できず、何年も欲求を封印しました。全巻一括で購入したのはその後何年もたってからです。

 日本語盤の全集には、200ページにわたる分厚いブックレットが附属しています。アランが1曲1曲を全て丹念に解説しています。和訳が、ぎっしり濃密でやや衒学的、その文体が、淡々とした学術的で客観的な記述からは遠い文学的修辞に満ちていますが、元のアランの仏文がそうなのでしょう。それでもこの内容的な自信と信念・学究的誠実さがみなぎる人格には、圧倒されます。

 ヴァルヒャのオルゲルビュヒラインが、ほの暗く、模索して辿り着き、内面からにじみ出る喜びをじわりと感じるところ...でもそれを、今、この晴れ渡る南フランスの対岸から眺めると、場合によっては ceux qui cherchent en gémissant 呻(うめ)きつつ求める者ら? …。とすれば、アランのそれは、フランス的な clare et distincte 明晰判明, sens intime 屈託のない親しさ?... 

 No.4 “Lob sei dem allmächtigen Gott (BWV602)”...昨日のArchiv盤の和訳と違い、こちらΣrato盤の和訳は「全能の神を讃えよ」。ここでの彼女のペダルの音は、何の抵抗も障りもなくスっとからだに入ってきて気がつけば次の瞬間に心臓も腹も抜け落ちるている、といったような柔らかくもずっしり深い音。それが見通しの良い左手の装飾的な中音域と違和感なく戯れるようにからみます。右手旋律を歌う高音のストップは、ビブラートを知らない子どもがあっけらかんと発声するようなカラリと明るい色合いです。

 彼女のオルゲルビュヒラインは、しかし、曲ごとに、表情が多岐多彩で、巨大なダイナミックレンジにわたります。この、20世紀に新規に建造された現代の巨大オルガンを、手足のように動かし、あるときは浅く小刻みにあるときは深々と呼吸しているかのように、ほんとうに自在に振り回しています。もはや『オルガン小品集』の枠を超えて、あらゆるオルガン技巧の見本サンプルカタログででもあるかのようです。したがって、バッハ全集の他の曲、プレリュード、フーガ、トッカータなどのスケールの大きさに、この人の偉大さが、これでもかと痛いほど感じます。それら全てを包む背景にあるのは、全く揺るがない強い信念と楽観性、そのさらに根底に、...彼女の宗教は私にはもちろんわからないのですが、何か、こんこんとあふれるような信仰の喜び、というものがあるのではないのかな、という気が、ちょっとします。

2023/12/06

■ きく - バッハ「オルゲルビュヒライン」BVW599-644; ヴァルヒャ


オルガン曲といえば、私ならば、この人のこれです。

 もうちょいウルさく書けば;

バッハ『オルゲルビュヒライン - 45のオルガンコラール集』のうちから 

 Nr 4. Lob sei dem allmächtigen Gott (BWV602) 

レーベルは、アルヒーフ Archiv Produktion (West Germany)

1969年9月のステレオ録音

オルガニストは、ヘルムート・ヴァルヒャ Helmut Walcha 

 今は、静かなこころ楽しさがある待降節の時期なので、45曲のうちの、第4曲目を。たった40秒たらずの曲です。

 1970年代後半に購入した画像のLP、アルヒーフの国内盤の訳では、この第4曲目は、「万能なる神に賛美あれ」と文語調でいかめしい表現ですが、曲はふわりと柔らかいです。

 どの曲も、ルター派の讃美歌の旋律です。ただしそのさらに元はラテン語の(つまりカトリックの) “Conditor alme siderum”(輝く星の創造主)に由来します。でも、言葉で補おうとすればするほど、難しげになりそうで、ごめんなさい。が、そんな前提知識は不要です。

 聴けば、柔らかく喜びにはずむ低音ペダルのリズム(下の画像の最上声部の四分音符 - 緑枠)と、軽やかな左手の対位法的装飾音(楽譜画像の十六分連符 - 黄枠)を伴って、高音域の右手旋律(画像の最上声部の四分音符 - 橙枠)が、四分音符のみの、単純で素朴でおおらかな下降旋律で弧を描きながら、少しずつ降りてきます。最後の和音は、上行する左手の装飾と交叉して、御座への昇天を予告します。

※ Bach 自筆譜 "Lob sei dem allmächtigen Gott (BWV602)"

 このペダル-緑枠と左手-黄枠が、最初の小節で、直感的にほっと息を吐きたくなるような、何もかも、後悔も悲しみも罪の意識も、ふわりと包み受け入れてくれるようなやすらぎがあります。

 待降節は、"神の子が人となって地上に降りる"神学的モチーフが必ず背景にあります。ゆえに、待降節用のコラールには、基本的には下降音型をもつ旋律的動機が用いられる点で共通しています(たとえば、ご存じのクリスマス讃美歌『きよし、この夜』ですが、この2文節のいずれも、旋律語尾は下降していませんか?)

 あ、そもそも「オルゲルビュヒラインOrgelbüchlein」とは、「オルガン小品集」「オルガンの小さな本」という意味です。バッハのこの曲集の定訳が表題のカタカナのみの音訳となっているので、無理に訳し直すならそういう感じでしょうか。

 この45曲は、教会暦にしたがって、1年を「降誕(12月)、新年、受難、復活、聖霊降臨、祈り、死(11月)」に分割し、それぞれに数曲ずつ、ルター派のコラールをもとにさまざまなオルガンの技法を記したものです。

 うち、待降節用に第1~14曲目、復活までで第32曲目までと、やはり降誕と復活には大きく割り当てられています。

 全盲のオルガン奏者ヴァルヒャは、バッハのオルガン曲全集を、モノラル時代とステレオ時代の2度録音しています。私は70年代前半の中学1年生かそこいらの頃に、バッハって、ヴァルヒャって、誰だかよくわからないまま、この曲集のFM放送をカセットテープに録音しました。曲集の途中から録音、途中で尻切れです。きびしいようなやさしいような、ひとりでよく考えてみよう、と語りかけるようなこの曲集...。何百回か聴いて、カセットテープはもつれて捨てる状態に。高校生になった16歳、70年代後半頃に、意を決してあのカセットテープに録音した音源である、冒頭の画像の2枚組LPレコードを、当時の価格5,000円で買いました。画像のLP音盤はもう傷だらけです。日本語盤ですので、磯山雅の解説和訳があり、買ってすぐ読みました。そのとき、演奏者年譜に、ヴァルヒャという人は「16才...全盲となる」と書かれてありました。

 心臓がつぶれる思いでした。幸せにもLPを買った私と同じ歳で...。どんな思いだったのでしょうか。それが自分だったら...。

 目を瞑って聴いてみたらどうだい? と、声をかけられている気がしました。

 目を瞑って音楽をきくようになったのは、その瞬間以来、今日まで、半世紀近く続いています。

 この第4曲の音、いや、この曲集全体の色調が、やわらかいのは、当時のクリアならざる録音技術のせいもあるでしょう。ラジカセでは、よく言えば神秘的な、ハッキリ言えばモヤっと曇った響きでした。

 LPをヘッドフォンで聴いて、やはり、やわらかく包み込む響きがしました。今でもです。また、この第4曲の1969年録音時の一次音源には、曲の最初しばらく録音技術上のバグ的な雑音「ザリ」音ノイズがあります。

 同時に、このやわらかい響きは、使用したオルガンの音の特徴も大きいと思います。

 オルガンは、歴史的に独仏の領有争いが絶えなかった「アルザス=ロレーヌ地方のストラスブール 」=「エルザス=ロートリンゲン地方のシュトラスブルク」にある、サン=ピエール=ル=ジュヌ教会(Saint-Pierre-le-Jeune, Strasbourg)のジルバーマンオルガンです(画像CD右のジャケット)。

 聖人信仰の教会名からしてカトリック教会ですが、このエリアの複雑な歴史的経緯から、バッハの時代にはもう現在のルター派教会となっているようです。

 オルガン制作者のジルバーマンは、バッハと同時代人です。このアルザスエリアは、当時はオルガンの名工らで名高く、彼はその代表格でしょう。建造後数年して当地に来たモーツァルトがこれを演奏した当初は、構造的に、マニュアル(手鍵盤)1段、ペダル(足鍵盤)数本程度だったに違いないのですが、200年の間に修復を重ねたようで、20世紀になって、その初頭に、あの「密林の聖者」シュヴァイツァー、彼もストラスブールの人ですが、その彼が、エルフェル社と共同で手直しをしたのを始め、1979年頃までに、マニュアルはレシ込みで3段鍵盤かつワイドレンジで大掛かりなペダルに拡張され、そうとう大型のオルガンになっているようです。

 ジルバーマン建造当時のストップ(同種発音を有する一群のパイプ配列群)も敢えて残して使っているようです。

■ LPの解説にはオルガンの説明もあり、改修歴とディスポジション(ストップ仕様)が、それぞれの風圧データに至るまで詳細に表示されています。

 発音の特色(音色)は、おそらくの推理...ですが;LPと、その後80年代にこれをCD廉価盤にて再販した同一録音を購入したのですが、その2種の音源を、目を瞑ってジッときいての推理でしかないのですが、そうとう大型のオルガンでありながら、おそらく、たいへんに柔らかい発音の特色、場合によっては、同じ大規模なサイズで20世紀に新建造されたオルガンと比べてかなり反応が鈍い特色、などを備えているのではないでしょうか。これをヴァルヒャは、小さな独楽(コマ)でも転がすように、自由自在に操っているような印象をもちます。

 その、ストラスブールのジルバーマンオルガン固有の発音の特色と、他の人ならぬヴァルヒャという歴史的存在が、他の曲ならぬオルゲルビュヒラインを選んで弾いている、という組合せが、私にはかけがえのない、生涯の出会いです。

2023/12/05

■ きく - オルガンって?

※カトリック関口教会(東京カテドラル聖マリア大聖堂); 関口教会ウェブサイトより

12月。クリスマスの月? それってキリスト教の話では。いや、でもニッポンの行事ですよね。もうニッポン固有ニッポン古来の伝統行事との固定観念もあろうかという勢いです。クリスマス=忘年会=飲み会という概念の正しさに疑問の余地もないニッポンのオッサンが、酔って帰宅途中、偶然通りかかったキリスト教会前を見て「へぇ、キリスト教でも、クリスマスをヤルのかぁ」と感心した話もあるくらいで。

 私は学校に通っていた時代に、親戚である浄土真宗のお寺に下宿していましたが、そのお寺には、他にも下宿生が、時期にもよりますが、中学生・高校生・大学生などが混在していたりして、この下宿生のために、冬休みの入りに、「クリスマスパーティー」もあったくらいです。え? 仏教寺院でクリスマスパーティをしていいのか!?...って?...(;^^A…イデオロギー上の論理的矛盾に気づいたとしても、ま、おカタいこと言わずに...。親元を離れて勉強する下宿生への、ささやかながらこころのこもった気づかいですよ。みんなのご飯を365日のあいだ毎日3食、当然お弁当もつくって、さまざま世話をしてくれた伯母さん(住職の妻)は、よほどたいへんだっただろうなと思います。

 で、今年は、教会の暦で、クリスマス前の待降節第1主日が遅くて、おととい12/3(日)だったそうです。それは何? だから何? で別にいいんですが、個人的な暦感覚では「真冬の入り」で、昼なお鉛いろにどんよりと暗い日がこれから3か月続くというこの地方で生きていると、待降節→四旬節と、気持ち的にもずっしりと重いです。よくわからない感覚でごめんなさい。

 そんな天候気候できく音楽は、i). 明るく軽く華やかな曲を聴く、ii) どんよりと暗い曲を聴く、の、実はどちらもそれなりに良いものです。i).の選択肢に飛びつきたくなりますが、私がここ半世紀ほどii).を選んでしまうのは、人格的問題か、いやそもそもそんな人格をこの気候風土が創ったのでしょうか...。いずれにしても、中世ルネサンス期の器楽なしの声楽かオルガン曲に限られてしまう現象があります...。

※ 左;ヤマハ創始期のリードオルガン組立工程 (YAMAHAウェブサイト) / 右;日本最大のパイプオルガン (サントリーウェブサイト)

「オルガン」と言ったとき、ニッポンの庶民の私たち(あなたも引きずり込んですみません)にとっては、昭和の昔まではどこの小学校にもあった「足踏み式オルガン」を思い浮かべませんか? これを今「リードオルガン」と呼ぶことにします。他方で、CDで聴くオルガンは、日本では「パイプオルガン」と呼びならわしています。

 昭和の(特に津軽地方の)小学校の教室に1年中必ずあったのは、黒板・机・椅子のほかに、足踏み式のリードオルガンと石炭ストーブです。私の小学校時代の担任のうちの、男性の教員は、思い出してみれば、リードオルガンの操作が、実にぎこちなく、本人もつらそうで、つまりはっきりヘタクソでした(す、すみません!!...)。小学校教員は、今でもですが、鍵盤も水泳も必須なので、教員採用試験のハードルは高いのではないかと、無能な私は尊敬するとともによけいな勘ぐりをしてしまいます。

 リードオルガンは、明治期に宣教師たちが大量に持ち込み、国産され、文部省の唱歌教育で教育の場に隅々まで普及し、戦後に個人宅でも備える家庭が増えたそうです。ピアノメーカーの山葉(ヤマハ)も河合(カワイ)も、出自はオルガン製造者です。が、その後、作曲者や演奏者が、個人的に、操作しやすく、かつ、より感情的芸術的ニュアンスを伝えやすいピアノに取って代わられたようです。

 パイプオルガンは、教会の構造の一部であって、建造にも維持にも莫大なコストがかかり、巨大で専門的です。現在は、私たち庶民レベルから見ると、典礼と芸術鑑賞用途のみで、日常生活には縁がない遠い存在です。

 ただ、LPやCDのおかげで、私のような末端の庶民でも、自宅で気軽に聴くことが可能です。

 でも、聴くと、ピアノを聴くのとも管弦楽や室内楽を聴くのとも違う気分です。もちろん、ミサや礼拝のような典礼に与っている気分ではない。けど、芸術作品を鑑賞している気分とも違うような気がします。何か、うまく言えないのですが、たとえば、自分用にきっちりPCで制作したリフィルを革手帳に整え、本来あるべき自分について、構想し、具体的に計画し、予定に落とし込み、達成度を確認し、これにより方向を修正し、...などといった、かるい緊張感のもとで、ちょっとちゃんと省察してみようか、という気になるんですよ。いや別に、オルガン曲を「机に向かって」「正座して」聴くハズがなくて、横になって聴いていたとしても、そういう気になります。

 ここまでまとめてみて考えると、なんだかこんな天候気候・風土のなかで一人で目を瞑って聴くという自分のスタイルができてきたのもしょうがないか、せっかくここまで意識したことだし、これからは少し目的意識を持ってオルガン曲を聴こうかなと思います。

2023/12/04

■ なおす - TVを見た記憶 - 3

Chaplin; "The Gold Rush" 1925

さらにまた昨日の続きです;これまでの一生の間TVを見た経験が五指に収まる生きる化石のヒトの思い出話;

 5). 東京で大学生だった頃の1980年代に、知人からもらった古くて小さいブラウン管TV。今では考えられない「12型画面」でした。今どきは「タブレット」の画面サイズです。が、異様に長い奥行きで、片手では重すぎるくらい。年配の人である前の持ち主によると、SONYだったか松下(Panasonic)だったか著名ブランドの、小さいけど高性能品高額だ、使わないようだったら他に有効活用してくれそうな人に譲ってよい、と、言われました。私には価値がよくわからなかったです。「なんとかに真珠、かんとかに小判」です。もらった当時の私の東京の下宿は、山手線のど真ん中だったものの戦前のはるか昔に建てられた古い木造家屋で、私の部屋は、二階の角部屋でしたので、二面が障子&廊下。その畳の部屋にTVをじかに置いただけです。

 TVをもらったその日、下宿のおばさんから聞いたところでは、私の部屋の隣の6畳の部屋にいる台湾からの留学生Kさんのところに、彼の後輩Tさんという人が台湾から初来日し、住まいが決まるまでの1,2か月間、6畳に2人で寝泊りする状態になるとのこと。

 私はさっそく二階に上がって、Kさんの部屋の襖に声をかけると、Kさんはおらず、初対面のTさんが、ヘタったジャージ姿で、臆病なふうにちらりと襖をあけて、日本語で挨拶します。聞くとすぐ外国人の日本語とわかるのですが、上手で語彙も豊富です。立ち話をすると、彼の人生初の日本に到着して初日のまだ数時間。長旅の疲れを、彼の人生初の「銭湯」で癒して帰って来たばかりで、日本の「銭湯」に面食らった事、いや、それはどうでもいいのですが、私と同じ年で、台北にある臺灣大學で台湾現代史を研究中です。日本語は幼少時からそうとう勉強したが、日本で日本人と会話するのは今日が初めて。このたび経済学部に国費留学とのこと...。ヘボいジャージ姿なのは、状況的に当然の話として、見かけとは違って、よほど優秀なヒトじゃないだろうか。こちらもかしこまってしまって、大げさにおカタい挨拶をします。

 襖を閉めて、自分の部屋でチョっと本を読みかけましたが、TVもつないだところだし、新しい住人の彼の存在もあって、かなり気が散ります。この際、もう少し話をして、打ち解けた方が、安心して暮らせるかな、と思いますが、キッカケがありません。

 また、TVの使い方なんかわからないので、ひとまず電源を入れいろいろ操作していると、チャップリンの『黄金狂時代』が始まったばかりのようです。私はその頃は、チャップリンの映画は全く見たことがありませんでした。でも、「チャップリン=喜劇王」という一般的な知識はあったので、コレだ、と思い、すぐTさんに、よければいっしょにTVでチャップリンを見ないか、と声を掛けました。

 彼も喜んで私の部屋に...。が、TVの小ささにたじろいだ表情です。とはいえ、お互い、TVや映画が目的ではなく、少し話をした方がいいかなと、互いに思っていたんだと思います。畳にぺたんと座って、小さい画面を見るともなく話をします。

 『黄金狂時代』は、トーキー以前の映画で、セリフがありません。時々、紙芝居のように、セリフや状況らしきものが英文で書かれたパネルが写されるだけ。視聴するに際しての言葉の障壁は無いようです。彼も私もチャップリン映画を見るのは初めてです。

 当初は、見るともなく、台湾から今日初めて日本の土を踏んだ彼のことについて、日本語で、チョっと不自由なときはお互いカタコトの英語で補足しながら、いろいろと聞きます。彼もフランクに話してくれて、話は弾みます。

 と同時に、映画がおもしろくなってきました。映画の中で、吹雪で一夜にして、眠っていた二人が山小屋ごと飛ばされて、知らずに目覚めた二人が今いるのは断崖絶壁の隅でシーソー状態で揺らめいている小屋、という箇所ですが(上の画像)、あまりにおかしくて、お互い、笑って笑って、涙は出る、洟は出る、息はできない、で、二人とも七顚八倒の苦しみに見舞われました。

 それ以来、彼とは仲良しになりました。このときばかりは、言葉の壁など無いチャップリンの映画とTVの存在に感謝します...。このTVは、実は、すぐ翌日、彼にあげました。日本語に慣れるかなとお互い期待して。彼もそのSONYだか松下だかのブランドを見て喜び恐縮していましたが、もらう際の彼の日本語は「このような、超小型で超高性能な家電製品は、日本のお家芸ですよね。」と。日本初来日の初日とは思えない語彙を使いこなしていたんですよ。

 一週間ほどして、彼は、大学の紹介で、某研究所の社員寮の一室を借りられることになり、私の下宿からはいなくなりましたが、その後もよくここに遊びに立ち寄りました。その折に彼からもらった烏龍茶『凍頂』の特級品と簡単な茶道具一式で淹れた茶のおいしかったことといったら!

 あげたTVですが、その半年後くらいに「今度日本に来た後輩に譲ってよいか」と、たいへんていねいな文面のハガキで私に問い合わせてきました。律儀な人です。

 彼はもう今では見上げるような高みで後進の指導をする立場ですが、あのときの小さいTVで笑った思い出が、ニッポン留学で真っ先に思い出す楽しい思い出、とのことです。