2023/12/16

■ こわすつくる - 茶封筒や紙バッグを解体して万年筆用紙に


■ またせせこましい話を。

■ あいかわらず単語集を、万年筆と鉛筆で50文ずつ書き進んでいます(11/1)。単語を覚えるためではなく、芯とインクの減り具合を確認してみたいためです。

■ それとは別に、ここ数日は従来型高粘度ボールペンで楽しんでいたのですが、書く文字は小さく、減りの速度は速く、ここいらで気分を変えて、大きい字を、減りの心配がないたくさんあるインクを使って、万年筆でのびのびと書きたい衝動に...。定期的に「小さい字」→「大きい字」と気分が往復します。9/12や9/15にも書いたのと同じ記事だと思って下さい。

■ 今日は、また溜まってきた、茶封筒角2サイズと、買い物を持ち帰る際にお店でくれる紙製の手提げバッグ(って言うのですか?)を、裁断機で解体してA4サイズにし、PCのプリンタで罫線を印刷し、万年筆ででかでかと書きます。家族親族にも「余ってる使用済み封筒があったら、ちょうだい」などと情けないお願いをして、何枚か集まってきました。単純にうれしいです。

■ 茶封筒も紙バッグも、クラフト紙ですので、分厚く、万年筆で書くと、実は快適です。

■ 万年筆も、太字。パイロット(Pilot)製品は何本かありますが、気分転換に、それ以外で書いて、ボヤっと思ったことを、口走る...より入力した方が私は速いかも...。

■ 紙が万年筆にとっては粗悪な品質(?)なので(だったら書くなよと言いたくなりそうな無理な試みですが)、なるべく気軽に使えてガシガシ書き進んでいける鉄ペン先の太字...こういう製品が無いんですよ、「鉄ペンで極太」。

■ 個人的好みとして、一般に万年筆は柔らかいほど心が和み使いやすいです。パイロットのカスタム漆、ペリカン(Pelikan)のM1000、パイロット742;F(フォルカン)、と、万年筆ではないのですが、つけペンのうちのGペンです。「柔らかい金ペン」はこの3本で生涯を終えても、もはや何の悔いもなく満足です。

■ ガチニブはちょっと...なんですが、今の用途 - 解体した茶封筒や紙バッグのような「クラフト紙」に、いわば書きなぐるのなら、金ペンより鉄ペン、柔らかいニブよりガチニブ...。

■ こういう場面で、他の万年筆に疎い私の浅い経験では、いちばん使いやすいと思う「鉄+太字」の条件をみたす万年筆は、台湾のツイスビー(TWSBI) Diamond580のB(太字)です。ペン先はガチニブで、軸も長く剛性感に富み、このジャンルでは突出した万年筆です。とはいえ、購入した数年前に比べると、今では3割も4割も値上げされていて13,200円ですか...。でも品質や実力に比して価格はまだまだ割安と言えます。

■ 次点が、画像のカヴェコ(Kaweco) SportのBB(極太)です。ペン先はパイロットカクノより小さくチャチで、本体は鉛筆キャップより小さい上、触ってがっかり、剛性感がなくて安っぽいです。が、書き出すと、いっちょ前に「ドイツ製万年筆の極太」の筆跡です。

■ 有名どころのラミー(LAMY)には、日本国内のラインナップにBがありません。ペリカン「クラシック」は、鉄ペンでBもありますが、2万円という価格は...。アルミ製のKawecoも同断です。パイロットの742の良心的な定価や743の割引後の実売価格とバッティングすると考えると、ありえない選択です。

■ 日本製でステキなのが、セーラー(Sailor)の「プロフィット・カジュアル」です。この鉄ペンは、ペン先が、Bも、またZ(Zoom;極太)も選べます。出た当初、思わずZに飛びつきました。サイズは、セーラーやプラチナは全般にそうですが、小さくて華奢です。が、Zの筆跡の図太さと書きやすさには感心しました。

■ 筆跡の圧倒的太さでは、モンブランNr.149のBBB、ペリカンM1000のBBBがありました(オブリーク版も別に存在しました)。試したことがありますが、異常な世界。カリグラフィー用でしょうか、Nr.149はイリジウムが極薄の平研ぎで、18Cだったけど硬く、書いていてちょっと不快でした。M1000のBBBは、イリジウムが巨大な球で、イマ思い出すと喉から手が出てきそうですが、今となっては、世界的にも私の財布的にも入手は絶望でしょう。149のB以上は現時点ではそもそも全て平研ぎで、長時間にわたり「本文」にあたる筆記を続けるのは苦痛です。日本製品にも、三社一様に「M;ミュージック」と銘打って同じ筆跡が得られるペン先ジャンルがあります。やはり平研ぎで、長時間の連続筆記はつらいですが、日本製品は三大メーカーとも、ほんとうに微に入り細を穿つ怒涛のラインナップを揃えてくれるという心づかいがあり、世界に類のない良心的なメーカーばかりです。

■ Nr.149やM1000を別にして、実用レベルで最も太いのは、パイロットのC(Coarse)ですよ。繊細なペン先のプラチナでもCがありますが、プラチナのペン先は全体にか細く、本体は全体に小さいです。細やかな日本語向け製品なのでしょう。セーラーのZはすばらしいけれど、パイロットのCは暴力に近い(?)...というわけで、私のような、本来筆記用途のはずがない紙バッグのクラフト紙などに書こうかという野蛮な人間にもたいへん魅力的です、が、Cは金ペンしかないんですよ...残念(と言いつつ、カスタムシリーズでは硬めの912のCを常用しています。画像のような使い方や書き方だと、カートリッジは1時間ももたないです...)。この点で、鉄ペンでも極太ペン種を選ばせてくれるセーラーには、大いに感謝しています。

■ と、言いたい放題なわがままでした。反論したくてむずむずしている方もいらっしゃることでしょう。蓼食う虫も好き好きという表現を思い出していただいて、妙なヤツもいるものだと、どうか大目に見てください。おかげで私は、今日は、カヴェコとツイスビーで、大いにストレス解消になりました。年に何回かこういうストレス解消が必要なようです。ふつうの人にとっての「良いお酒をじっくり飲む」「パ~っと飲みに行く」「甘いお菓子を楽しむ」「奮発して外食する」「旅行にショッピングにお出かけする」...どれも私は全く縁がないのですが、それらと同じ行為、「くつろぎ」「精神の解放」だと思います。