2023/11/30

■ あるく - 八幡宮


昨日に続いて、今朝もあるいてみました。

 すっかり冬景色となりました。

 カラー画像なんですが、まるでモノクロ写真みたいです。

 年来の堤防工事が終わって、八幡さまも、戦場の光景か機材置き場の様相を呈していたのが、また静かな冬の景色にもどって、少しこころがなごみます。

 国道や県道の除雪グレーダが街中に初出動したのは、先日11/26でした。今日は2回目で、真冬並みの除雪量だったと思います。個人所有の除雪機はまだ不要ですが、この1週間で初出動になりそうです。

2023/11/29

■ あるく - 八幡宮


あるいて3分の近所にある八幡宮です。

 昨晩はたたきつけるような雪混じりの猛烈な風で、近い雷も何度もあり、少し恐怖を覚えたくらいでした。

 風はなおずっと強く、この天候で除雪しなきゃだめかもと思いましたが、早朝見るとほとんど積もっておらず、イマ昼になって、雪の痕跡はほぼ消えました。

 近所の八幡さまをあるきます。参道に、トップ画像のように銀杏の実が散って、踏みつつ参拝します。

 画像左は、土手で、流れる川は一級河川「岩木川」です。この土手の大掛かりな補修工事がここ数年続き、今年終了したようです。その工事中だった昨年夏には、この土手の「避難判断水位」「氾濫危険水位」をともに越えた日が2日間ほど続き、あとほんの数cmで、画像左の土手の上端から溢れるところをゴウゴウと流れておりました。今立っているココよりも水位がずっと上だったってことです。その時点で土手は補強工事のさいちゅうだったし、これまでの人生に無い経験だったので、大いに肝を冷やしました。

 この土手沿い数kmにわたって、私の幼少時の思い出からつい最近までずっと、ポプラと銀杏と桜の巨木がズラリと立ち並んでいました。この八幡さまなど、ポプラ・銀杏・黒松の並木の中にあり、昼なお暗いほどのうっそうとした雰囲気でした。ですが、今回の補修工事で、すべてなぎ倒されてしまいました...。昨年までの工事中のこの数年間は、この境内にたくさんの重機がいて、巨木が切り倒され、泥と土まみれの切り株や根が掘り起こされて覆され、放置されていたその光景は戦場のような残虐な光景で、泣けました。堤防地盤の強度計算や工事の段取りの効率性といった必要性からやむをえなかったのでしょう。ケーベル先生に叱ってもらいたいです...。

 画像のような銀杏の実は、かつては、多くの人たちが拾って、一瞬にしてなくなってしまっていたものですが、最近は拾う人もいなくなったのでしょう。こないだうち続いた好天のうちに拾えばよかったかな。今日は盛大に踏んでシューズの裏についています。水たまりで洗って帰らなくては。

 中学時代、弘前のお寺に下宿していたとき、住職ご夫婦が、境内の銀杏の実をマメに拾っては、洗って彼らの居間の石油ストーブの上に実を置いて、ホクホクと楽しんでいました。お寺のたてものじゅうが銀杏のステキな香りに...!

 大学時代、大学構内のうち、かよっていた学部の一角が銀杏並木で(8/7)、図書館とつながるその通りを、一日に何往復もするし、東京はそもそも冬の入りの時期以降は雨も降らず乾燥しているので、雨で洗われることもなくすっかり靴底に銀杏の実が摺りこまれてしまって、下宿にかえってシューズを脱ぐと、家屋中が銀杏のステキな香りに...!下宿のおばさんに「靴底はオモテの入口に置いたブラシとバケツの水できれいにしてから入るように」何度も言われました。

 あの香り、そんな思い出があるので、何となく憎めないような...。『秋の日の図書館のノートとインクのにおい』という歌がありましたが、私の場合は、銀杏の香りが、秋も深まるお勉強の香りです...(;^^

2023/11/28

■ まなぶ - 莫大な夢 - 青森県立高校入試 H31(2019)年 - 英語第5問


私の地元の県立高校の過去の入試問題の英語科目を読んで、大いに感銘を受け驚きましたので、いっしょに読み直しましょう。なお、英文を私の拙い和訳にしてあります。

 私は中高生のいる家族でもなく学校関係者や業界関係者でもありません。末端の庶民が外野席から、お気楽に連想して、眺めているのみです。

---...---...---

ジャクソンさんは私の父の友人です。 彼は若い頃に、私の祖父の家に、半年間、滞在しました。 彼は帰国後は医師となり、目薬の新薬を作りました。 病院も建てました。 彼は日本をとても愛しています。 それで、彼は、昨年、家族と一緒に日本を訪れ、私たちの家に一週間滞在しました。

ある日、私は彼に尋ねました。「ジャクソンさん、あなたは人生で素晴らしいことを成し遂げました。 どうやってそれらを成し遂げたのですか?」 彼は「やりたいことをやっただけですよ、ミオ」と答えました。 それは私たちの日常の行動とあまり変わらなかったので驚きました。 私はもう一度彼に尋ねました。「多くの人が同じように考えますが、同じようにはできません。 何が違うのでしょう?」 彼はこう答えました。「人は夢を持っているけれど、それは単なる夢ですよ。 何かをしたいなら、目的と方法が必要ですよ。」 私はショックを受けました。

私にも夢はあったけれど、目的とか方法といったものはありませんでした。 ジャクソンさんは次のように続けました。「しかも、多くの人は、時間を気にしていないと思います。 たとえば、インターネットを使ったり、ビデオ ゲームを長時間プレイしたり。 ミオさん、人生は両親からの贈り物であり、短いものだと思うんです。私たちは時間を有効に使うべきですよ。そこで私は、15歳のときに自分の目的と方法を選んだのです。 病気の人たちを手助けすることが、私の目的でした。 医者になること、新しい薬を作ること、病院を建てることが、私の方法でした。 私は目的を達成するために、長い間かけて努力しました。」

彼の言葉は、私にとって驚くべきものでした。 彼は、自分自身の目的と方法を持って生きてきました。 時間には限りがあることも忘れていません。 私たちは、目的と方法を持たなければならないと思います。 そして時間を大切に過ごすことが大切だと思います。 私たちは、これまでよりも長生きするかもしれませんから、時間はたくさんあると言えるかもしれませんが、時間が経つのは早いものです。 時間はたくさんあっても、目的と方法がなければ何もできません。 そこで私は目的と方法を紙に書き出しました。

[目的]: 世界中で困っている人たちを助けること。

[方法]: 1. 世界の文化に関する本を読みます。

2. 私はフランス語と他の 5 つの言語を勉強します。

3. 私は外国の大学に進学します。

4. 私は看護師になり、国際的な援助組織で働きます。

私は、これを、ジャクソンさんに送ってアドバイスを求めようと思います。 この4つを実行して目的を達成したいと思います。

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ジャクソンさんは偉大な人なのですね。刻苦勉励、合理主義、社会事業への奉仕の使命感という、18世紀アメリカ建国時における近代的人間の理想像を象徴するような人物です。この方の本名はもしかしてベンジャミン・フランクリンさんというのではないですか。

 夢・目的・方法・手段という合理的思考と、時間の貴重さの2点は、取り戻せない人生を振り返ると、身に染みて反省したい気持ちです。

 このような偉大な方が、ミオさんのおうちに一週間も滞在するのですから、ミオさんのご家庭もさぞかし...。

 ミオさんの夢・[目的]・[方法]には目を丸くしました。でも、若者はそれでよいのではないでしょうか。

 私などのような矮小な人間には、彼女の夢の莫大さに、読んでいて気が遠くなって意識がなくなりかけました。また、彼女にとっては[手段・方法]に過ぎないどの1つをとっても、私にとっては人生の究極の夢・[目的]となりそうです。

 青森県の15歳の県立高校受験生がこれを読んで、ミオさんのあまりのスゴさに、ミオさんや青森県教育委員会に対して心の壁を構築してしまわないよう祈ります。

2023/11/27

■ なおす - 胃内視鏡検査


8月の市民検診で異常が指摘された2項目のうち、慢性胃炎の疑いにつき、胃内視鏡による受診をしました。予約の電話をしたのは9/25です(9/25のログにも記載)。実施は2か月後の今日11/27です。この地域の医療はまぁそんなものです。

 実は昨年2022年11月7日にも、市民検診にて実施される胃がん検診について、胃透視(バリウム)検査による集団検診ではなく、胃内視鏡(胃カメラ)による個別検診を希望し、受検していました。その際は、胃に関する疾病の所見はナシでした。

 この冬1月の除雪シーズンから、胃が痛くて、春の実家整理の数か月間には、痛さがピークでした。その後もずっと食後2,3時間でシクシク痛みました。

 今日、診てもらったところ、胃壁が荒れている、ただしそうひどくはない、広範囲にわたってうっすらと異変を示すように赤みがかっている、というのを、胃内視鏡画像4点を見つつ医師から説明され、大いに納得がいきました。、

 ここの、Kクリニックは、内視鏡は鼻を通じて実施し、先生の説明が、自らその場で内視鏡画像の脇にイラストを描きながら話してくれて、ていねいです。画像プリントはもらって帰りました。

 今は、ホッとしているところです。

 来年以降また受診受検する際の自分のための備忘録として、メモを;

- 8:30 着。待合室にて、カップ1杯の液体薬を内服+鼻に薬剤スプレー。問診票記載。

- 8:50 診察室で医師問診。食後の疼痛を愁訴。

- 9:00 検査室にて、座って左腕筋肉注射。仰臥位で右鼻孔に粘性の高い薬剤注入。

- 9:05 胃内視鏡検査。側臥位にて5分程度。検査後、胃ピロリ菌検査受診を提案されるので、受諾。

- 9:10 受診後の注意として、「30分以内の飲食は禁止。今日一日いっぱいは、鼻をかまないように。」とのこと。去年は、鼻血が一日止まらず、ティッシュを詰めるといっそう毛細血管が傷つけられてかえって止まらない、という経験をしました。

9:15 ピロリ菌検査のため採血。

9:50 会計。5,380円(国保3割負担額)。会計の待ち時間が長かったのですが、この時点で猛烈なのどの渇き。去年もそうでした。

この間に、待合室にて座っていた別な患者が、看護師に呼ばれ、立ち上がって呼んだ看護師のもとに赴いたところ「検査の結果、コロナに感染しています。クルマの中か、あちらの部屋で待っていてください。」「え~っ!?」とのやり取りが。同時に複数の看護師が、待合室と玄関の複数ドアを開放して、待合室の換気ファンの音が轟音となり、皆さん気温2.5℃の外気にさらされました。当の患者さんも他の患者さんも、いや何よりこれが日常の看護師さんたちにとっても、たいへんな現場なんですね。

10:05 帰宅。水を一口飲もうとすると、麻酔のせいか、気管側へ誤嚥の可能性を感じたので、とっさに吐き出します。この後、去年は、昨夜からの空腹を満たそうとしてたくさん食べてその後気持ち悪くなったので、今日は、30分かけて一口ずつ水を飲み、その後、ヨーグルトを。プレーンなままで、加糖や味付けはふだんからしないです。12:00に、空腹でお腹が鳴るので、ふだん通りの食事にしました。去年のような大きな心理的ショックは無いみたいです。


2023/11/26

■ まなぶ - かぼちゃの計算 2


 姉の「りな」さん(大学1年)と妹の「のあ」さん(中学3年)が、母に頼まれた食品を買い物中。(架空の物語です;)

のあ「あった!かぼちゃ、買おうよ。」

りな「ちょうどおいしい時期だよね。買おうと思ってたの?」

のあ「うん。ねぇ、質問。この左の¥58@のブロックを買って、捨てるところなく全部食べるのと、この右の¥38@の『くりゆたか7』を買って、台所でタネやワタをきれいしてから食べるのと、どっちがどのくらいお得なの?」

りな「どっちも同じかぼちゃ『くりゆたか7』なんでしょう。じゃ安いなら¥38じゃないの。差額は、包丁できれいに処理してくれたお店の人への手間賃だよね。のあは上手に包丁を使えるから、¥38のにしようよ。」

のあ「じゃ、私のお台所仕事の労働はいったんお金で計算しないことにしたとしてさ、100g38円のかぼちゃには、捨てる部分も含まれて38円なんだよね。タネとか取った後の食べられる部分だけだと、100gいくらになるのかな。58円より高かったら、考えちゃうね。」

りな「それは、どのくらい捨てるか、によるよね。

捨てずにぜんぶ食べられるなら、払うお金の通り100gあたり38円のままだけど、たとえば食べられる部分が半分しかなかったら、100gあたり38円の倍の100g¥76だよね。食べられる部分がたった1割(10%)しかなくて残り9割(90%)を捨てちゃうんだったら、食べられる部分は100gあたりその10倍の380円ってことになるのかな。

[表]

   食べられる部分が100%¥38@100g

   食べられる部分が 50%¥76@100g

   食べられる部分が 10%¥380@100g」

のあ「私たちの場合『廃棄率』は20%だよ。つまり『可食部』は80%にしようよ。」

りな「え、どうしてそこまでわかるの?」

のあ「このスーパーに買い物に来てるヘンなお客のブログ11/20に書いてた。」

りな「やっぱり...。あのヘンなブログ、受験生が読んだらちょっと...。」

のあ「ってことは、りなも読んでるのね。」

りな「あはは...。ところで、上の表さ、%の値が変わるにつれて、¥の値も変わるよね。%をxに、¥をyにしたとして、xyをかけ算したら、値は...。」

のあ「つねに同じ値3800だね。...ってことは、反比例関数なのか。」

    

りな「そうかもね。比例定数を3800にして、双曲線を1象限だけ描くと;


のあ「じゃ、私たちの場合、食べられる部分 はx = 80(%)のときにあたるから、xに80を代入すると、y = 47.5 (円/100gあたり)ってことになるね。」

りな「つまり、のあが包丁できれいにした『くりゆたか7』は、100gあたり47.5円なんだね。58円のパックを買うより、やっぱり安いね。差額の10.5円は、のあのお台所仕事のおかげで得られた価値ってことだね。」

のあ「お店の人がかけてくれた手間の価値でもあるね。」


2023/11/25

■ まなぶ - かぼちゃの計算 1-(2)...枝番号があるのか!?


11/20の補遺。

架空の物語です;

あるスーパーの野菜売場主任のCさんと、野菜売場パートタイマーのPさん。

P「主任、今日、ヘンなお客さんが...。かぼちゃパック(58@)の中味は、くりりん(48@)なのか、くりゆたか(38@)なのか、それともそれ以外なのかと、異様に細かいことを聞かれまして...。怪しい人じゃないですか?」

C「かぼちゃパック? 切って種とワタを取ってパック詰めにしたアレ? う~ん、そういう細かいお客さんって、どうしても存在するよなぁ。また質問される虞れもあるから、ハッキリ表示しちゃうことにしよう。」

ヘンな客かつ細かい客かつ怪しい人のKさん(え? アンタだよって?...そっか、ボクでした)

K「あっ、今日はかぼちゃパックの中味が、くりゆたか7だって表示してある!納得!感激!ありがとう!」


2023/11/24

■ なおす - クラシックシェービング - 今日


※ ブラシは濡れた状態です。
使っているカタカナ用語は、5/1の記事をご参照ください。

強い西風のみぞれの吹き荒れる一日中暗い冬の天候になりました。明日から雪予報です。

 どんな天気でも、シャワーとシェービングで気分はシャッキリと晴れます。

 今日のシェービングソープは、2つ。残り少なくなったPB製の『Imperial Rum』を使い切り、足りないので、B&Mの『Bay Rum』にしましょう...なんて言ったって、「今日の夕食はハウスバーモントカレーにしましょう」みたいにすぐわかる人がいるとは全く思えません。

 PB、つまりPHOENIX et BEAUは、イギリスの、男性用スキンケアのブランドで、そこのシェービングソープの1つ、『Imperial Rum Shaving Soap』ということです。とはいえ、お試しサイズです。

 と同時に、 B&M、つまりBarrister and Manは、アメリカの、シェービングアイテムのブランドで、そこのシェービングソープの1つ『Bay Rum』ということです。これは$1≒¥110の時代に購入したフルサイズです。

 シェービングソープの香りはいずれも、ネーミングのとおり、月桂樹の葉とラム酒とシトラスからなるアングロアメリカンな「ベイ・ラム」です。なお、Bay Rumについては、6/29の記事をご参照ください。いずれも、日本には存在しない西洋情緒あふれるほんとうに良い香り、すばらしい泡立ちです。この世の憂さを忘れ果てる別世界が広がります。

 ブラシは、珍しい日本製。伝統的工芸品である熊野筆を作っている工房の『ウォーターバジャー SH-1』という高級品をたまにローテーションして使います。

 シェービングブラシは、日本にない商品ジャンルというか産業というか...。それを、筆の工房が作るのは、理にかなっています。でも、筆の伝統がある日本に、シェービングブラシの市場も技術も絶無に近いというのは、異様な感じがします。いかに、シックとジレットの使い捨てヒゲそりグッズの日本市場独占政策が完璧な成功だったかがわかります。

 この熊野筆の製品は、竹宝堂 SH-1といいます。毛は、アナグマ(Badger)の尾の毛で、このシェービングブラシの分野では、最高級で、そのうち、製品に植毛したノットの根もとから先端にかけて3色のグラデーションになっている(『3 Band Silver Tip』という)ものが、トップクラスのようです。ただし、最高級のバジャー毛の性質として、やはり天然の「毛」であって、それを何度もこすりつけたり石鹸分で洗ったり乾燥させたりしますので、摩耗や脱脂や紫外線など経年変化に弱く、耐久性は最も劣ります。「最高級だが最も短寿命」という点で繊維のうちの絹に似ていますね。

 この製品は、そのバジャーのシルバーチップです。

 こんな高級品がなぜ私の手元にあるかというと、そりゃ買ったからです。初めて買ったブラシでした。イマ同じ製品を楽天市場で見ると、買った当時からもう4割くらい値上がりして、1万円じゃとうてい買えない世界ですか...。5/1の記事に書いたように、何年も前に初めてクラシックシェービングを始めようかと決意した際、そうとう周到に準備しました。その準備の一つとして、後戻りできないように高級品を買いました。これは私の悪いクセです。大学1年のドイツ語の関口文法書についても同じ発想の話をしました(7/23の記事)。

 柔らかくて泡立ちが良くきめが細かいです。形状の特徴として、手持ちのあらゆる外国製品に比べて、ノットの直径が最も小さく(細く)、レングス(毛足)がもっとも長いです。

 これ以上何が必要なんだ...と思ったところ、使った翌日は乾いていません。それが普通です。気分的には、毎日濡れたままコレ1本を使い続けるより、十分に乾燥させながら永く使いたいと思い、その後、外国製品をいくつか購入します。結果、自ずと比較することになります。

 外国製品をいくつか使って、さてまたこの熊野筆製品を使うと、最も柔らかく、逆に言うとコシがなく、繊細で、華奢で、はかない...。リキまず静かなひとときを、と、提案してくるかのようです。たしかに、外国製品から見ると、この熊野筆は、まさに「筆」みたいです。

 「シェービングをする状況」を考えます。これから仕事・これから人に会う・休日の今日を一人贅沢な気分で過ごす...。これらの前の緊張と活力と期待に満ちた気分で、2回も3回も顔をたっぷり泡だらけにして、で、ザァッと洗い流す...。

 そういう強い前向きな気分をガッチリ受け止める、というには、手もとのこの高級な熊野筆は、使う人が欧米人のような外国のガッシリした男性だろうとヘボい私だろうと、華奢でちょっと頼りがいに乏しい気持ちになるかもしれません。

 他方、外国製品は、天然毛も人工毛もバラエティ豊富で、価格は10分の1のものであろうとも、今どきはシェービング時の使用感において見劣りしません。製品群の裾野は広く厚くレベルは高いです。これは、技術の進歩、ユーザと造り手のフィードバックの頻度、何より、競争市場で生まれ育った製品だから、という要因が大きいです。

2023/11/23

■ まなぶ - 理科室に忍び込んだ2人 - 青森県立高校入試平成26年前期選抜 - 理科第6問


私の地元の県立高校の過去の入試問題を読んで楽しみましょう(またなんて不謹慎な...)。

なお、私は中高生のいる家族でもなく学校関係者や業界関係者でもありません。末端の庶民が外野席から、お気楽に連想して、眺めているのみです。

---...---...---

ひかるさんとまことさんは、理科室で5枚の資料を見つけた。調べてみると、資料1~4は天気図の一部、資料5は青森市の気象データをまとめたものであった。また、資料3は資料5と関係があることがわかった。【会話文】は、2人がこれらの資料を見ながら話した内容である。

【会話文】

ひかる: 資料1の季節は冬だよね。

まこと: なぜそう思うの。

ひかる: それは,冬型の特徴である[  1  ]の気圧配置だからだよ。

まこと: 資料2の太平洋上にある大きな高気圧は、太平洋高気圧だよね。

ひかる: そうだね。太平洋高気圧は、[  2  ]気団という大きな空気のかたまりにできる高気圧だね。

まこと: 資料3と資料4は、連続した天気図のようだね。

ひかる: うん。こんなふうに日本付近では高気圧や低気圧が西から東へ移動するからね。

まこと: どうして西から東へ移動するんだろう。

ひかる: それは、中緯度付近の上空に、[  3  ]が吹いているからだよ。


小問 (1) 【会話文】の中の[ 1 ]~[ 3 ]に入る適切な語を書きなさい。


会話は以上で終わりですが、またまた、状況設定の不自然さに、えもいわれぬセンスがキラリと光る出題となっているようです。

 この2人の会話について、権力者に不都合な箇所として削除されたに違いないと思われる部分を推理して、もう一度、会話を再現してみましょう。


ひかる: 資料1の季節は冬だよね。

まこと: なぜそう思うの。

ひかる: それは、冬型の特徴である西高東低の気圧配置だからだよ。

まこと: 資料2の太平洋上にある大きな高気圧は、太平洋高気圧だよね。

ひかる: 待てよ。資料1が冬の話だってことで、わかったなら、あいづちくらい打てよ。

で、話が変わって、資料2は、そうだね。太平洋高気圧は、小笠原気団という大きな空気のかたまりにできる高気圧だね。

まこと: 資料3と資料4は、連続した天気図のようだね。

ひかる: 待てよ。資料2が夏の話だってことで、わかったなら、あいづちくらい打てよ。

で、話が変わって、資料3と4だけど、うん、こんなふうに日本付近では高気圧や低気圧が西から東へ移動するからね。

まこと: どうして西から東へ移動するんだろう。

ひかる: それは、中緯度付近の上空に、偏西風が吹いているからだよ。

まこと: それにしても、「理科室で5枚の資料を見つけた」ってさ、まるで、ボクら2人だけで理科室に違法に忍び込んで、見てはいけないものでも見たかのような扱いだよね。

ひかる: 待てよ。資料3と4が春秋の話だってことで、わかったなら、あいづちくらい打てよ。

でさ、なんでボクら忍び込んだらそこにそうちょうどよく、冬・夏・春秋の4枚の天気図がこれ見よがしに置かれているんだろうな。

まこと: しかもさ、秘密の侵入の割には、悠長にお互い気象の特徴について質疑応答の会話してさ、ボクら何しに来たんだ、理科室に? 

ひかる: 不自然な会話の運びをしてるよね、ボクら。だいたいオマエさ、資料2が「大きな太平洋高気圧」だとわかってたり、資料3と4の経度方向への連続性を見抜いていたんだったら、ボクが答えたことくらい知ってたってことじゃないの? ボクを試したのかい?

しっかし、あらゆる箇所で、出題者の国語的センスを疑うよね。


小問 (1) つべこべ言わずに【会話文】の中の[ 1 ]~[ 3 ]に入る適切な語を書きなさい。

2023/11/22

■ なおす - 精米


また精米をしに来ました(cf. 9/16)。

これまでは何年も五分搗き米でしたが、今日から宮沢賢治のように(9/28)玄米...というレベルには、まだ修行が足りないので、三分搗き米にしてみます(;^^w

2023/11/21

■ まなぶ - 鉛筆を使って - 英単語集の例文を書く-21日目

※ 左 Hi-Uni-2B (7/21)  -  右 Hi-Uni-10B (11/21)

11/1から始めた「英単語を書く」の最終日。2001-2100の例文を書き終えました。

 使った鉛筆は、三菱鉛筆 ハイユニ Hi-Uni - 10B の6本。今日11/21で、2100の単語に添えられた2100の例文33,241語のうち、半分を書きました。残り半分の例文は、万年筆です。

 7月に同じ試みを、Hi Uni - 2Bの鉛筆を使って実施しました。あの時は、2100の例文全てを、2Bの鉛筆で書きました。(7/21)

 7月は、21日間で、2100文を、11月は、21日間で、半分の1050文を書き、その減り具合を、上の画像で見比べると...ほとんど同じです!左右とも、白いバーコード表示の箇所が消えかけているくらいの使用度でしょうか。

 ということは、10Bの鉛筆ハイユニは、2Bの鉛筆ハイユニに比べて、減りの速度はほぼピタリと2倍だということですね。

 10Bで開始する前は、もっと減りが激しいと予想していました。鉛筆って、やはり長持ちです。なお、私の筆圧は僅少です。書き進む際のハイユニ10Bの感想・インプレ・レビュー(?)に類したことは、11/8に書いた通りです。

 今日までに気づいたことですが、毎日、のべ10本を削ってきた画像右端にあるステッドラーのポケットシャープナー(鉛筆削り)について、2点。

■ 1) 最初は、全部ポケットシャープナーだけで削るのはたいへんな作業だと思ったのですが、コツがあるようです。しかも、一定量を書いたら削る(たとえば「5文書いたら削る」)と決めていれば、減りは一定ですから、シャープナーで何回転させるか記憶できますので、効率よくシャっと一瞬で尖らせることができるようになりました。ヒトに見せたら軽い驚きを惹起する曲芸かもしれないです。こんなワザを会得するとは...。

■  2) 切れ味の減衰が顕著です。ポケットシャープナーという存在は、9/21に書いた通り、研ぎつつ使い続けなくてはならない製品なのだと、認識を新たにしました。近々また分解して研いでみます。

2023/11/20

■ まなぶ - かぼちゃの計算? - 1


※ 圧力鍋を開けたら湯気でレンズがくもりました

かぼちゃが旬のピークでしょうか。甘くてほくほくと食感がよくて、お菓子も果物も全く食べないので(主義主張ではなく単なる経済的な問題です)、おやつには、もっぱら、かぼちゃ、さつまいも、にんじん(!?)を楽しみにしています。明治大正昭和の子どもみたいです。砂糖・醤油・塩・バター・クリームなどといった調味料はいっさい使わずに、一口サイズに切ったら圧力鍋で加圧(蒸し)調理するのみです。

 いなか住まいではありますが、農家ではないので、すべてスーパーマーケットで購入しています。

 輸入物も含めれば1年中出回っているのですが、昨年後半から今年の秋の国産の出盛り期まで、私の行くスーパーの場合、平年の小売単価100g30円程度→今年前半100g100円程度と、平年比3倍高程度の過去にない暴騰でした。この秋に回復してありがたいです。

 ならば細かいこと言わずにおいしく味わっていればよいのですが、下の画像のように、1個の4ツ切り売りと、画像左のように種やワタをとってブロック型に切ってすぐ使えるようパック詰めしたものを見ると、ついその単価の差の持つ意味を、自分なりに計算したくなります。


 画像右は、手前が「くりりん」100g単価48円(48@)、右奥が「くりゆたか」単価38円(38@)で、糖度や味や食感の違いです。画像左は、種やワタを除去して切ってパック詰めした「ブロック」単価58円(58@)で、おそらく48@と38@の混合ですが真実はわかりません。

 同じかぼちゃなのに、売り手側でひと手間かけて、消費者がすぐ調理に使えるので、単価が10円か20円高くなったということですね。順当な販売戦略です。

 で、どっちを買いますか? 

 考える基準1). 安いので38@を100g買うとする。自宅で包丁を入れて、種とワタを廃棄し、ブロックに切るとする。この場合の廃棄する部分もいっしょにお金を出して買ったことになります。逆にブロックの方は、廃棄する部分がなく、出したお金はすべて食べられる部分です。どちらがお得感がありそうですか。

 廃棄する部分はどのくらいの割合なのでしょうか。かぼちゃ1コまるごとに対して、食べられる部分(可食部)と、食べずに捨てる種やワタの部分(廃棄部)の比を知りたいです。まるごとに対する廃棄部の割合を、いま仮に「廃棄率」と呼びます。

 かぼちゃにも、さまざまな品種があり、また同じ品種であっても、廃棄率は違うでしょう。さらに、「種も別に乾燥して食えるじゃないか」という強者もいれば、「煮物用には少しワタが残った方が良い」という考えもあるでしょう。ただ、私の場合は、可食部の全量を、圧力鍋で加圧したのみで、あとはいっさいの調理や味付けもなくそのまま食べますので、種もワタもなるべくきれいに除去します。このやり方で、自分で納得のいく平均を簡単に措定してみることにします。

下の画像は、糖度の高い「栗マロン」の丸1個と、これをなるべく徹底的にきれいに捌いて可食部のみにしたもの。


■ 質量は、丸1個1357g:可食部1121gですので、廃棄部分はその差の236g。廃棄率は17%です。

 画像には無いのですが、同様にして、外皮が白くて糖度の高い品種「雪化粧」を丸1個で計量しましたら、1702g:1283gですので、廃棄率は25%です。

 廃棄率を一般化するには、膨大な個数のかぼちゃを捌けばよいのですが、いま仮にこの2個の平均値21%、おおよそ「廃棄率は20%」をもって、自分の環境で実用的な値とします。

 かぼちゃ1個をまるっと買って、うち2割は捨てるってことだったんですね。

2023/11/19

■ なおす - 砥石を砥ぐ

 修正砥石(上)で凹面に摩耗した砥石(下)を研磨中

「刃を砥ぐ」のではなくて、「砥石を砥ぐ」ことにします。

 砥石は、使っているうちに、表面が摩耗して凹面形状になっていきます。少しでもそうなっちゃったら、刃がまともに砥げないか、砥ぐ効率が顕著に落ちます。たまにフラットに修正しなくては。

 方法としては、コンクリートやアスファルトになすりつけるのが一番手近な解決法ですが、妙な体勢で力をかけるので、うまく平面にならなかったりうっかり割ったりします。すべての世帯で包丁は使っているでしょう。みんなどうしているのかなぁと、いつも思います。

 春に実家整理をした際に、砥石が7,8個出てきました。ほとんどが、ホコリ・カビ・蜘蛛の巣・土だらけで、もう使えないような、割れたり小判型な、小さい石コロになっちゃったりしていました。

 でも、本来、砥石は貴重で高価なものです。わが家でも代々捨てていなかったのではないかと思われます。もしかしたらこの7,8個は先祖代々の石かもしれず、丸くて小さいものが祖先の誰かが使ってきた天然砥石かもしれません。日本の伝統技能である刃物 ー 刀剣甲冑から包丁、果ては津軽塗や輪島塗にいたるまで、地元に純良な砥石があってこそ花開いた文化なはず...など、ゴミみたいなわが家の砥石から、話がエラい大風呂敷になりました。とはいえ、私の技術では天然砥石も小さい砥石も使いこなせません。といって全部まとめて捨てるには忍びないので、ひとまず、うち3本ほどかろうじて直方体らしき形状を維持したものを、拾い上げておいたのでした。

 研ぐ人により、湾曲のしかたには特徴があります。3本のうち、もっとも古く角が面取りされてまってしまっているような個体は、砥ぐ際に気を遣っていたようで、弧のRが大きく均等に湾曲しています。父が使ったものだと思います。比較的新しい2本(といってもカビ・土だらけですが)は、正面正中に縦長に置いたとしてその右辺奥側が、放物線頂点のような凹面弧の急な落ち込みが、不規則に、しかも両面にあります。母だと思います(下の画像)。本来は私が砥いであげるべきでしょう。へぇオマエならウマイのか? というのは置いといて、...心にちくりとささる棘となりました。


 上の画像は、砥ぐ前の湾曲しているようす。砥石面に曲尺を当て(最も手前と最も奥はピタリと接触しています)、画面左からLEDライトの光を照射しています。もしも平面ならば、画像の中央部から(縦の筋状の)光は漏れないはず。盛大に湾曲しています。

 画像右に見える「修正砥石」を使って、1時間弱かけて、砥石の両面を砥ぎ出しました。下の画像。すこしマシになりました。


■ あと2本、もっとやっかいなのが...ということはあと2時間以上...。き、今日はここまでにします(;--A

2023/11/18

■ なおす - 低所得世帯向け給付金


低所得世帯に「物価高騰重点支援給付金」1万円が市から支給されるとの通知。春の「物価高騰対策...」に続いて今年2回目です。


2023/11/17

■ きく - マーラー 交響曲第5番 嬰ハ短調 - シノーポリ/フィルハーモニア管弦楽団


1980年代の、私が気づいたのは半ばくらいから、「マーラーブーム」とほぼ同時に「ブルックナーブーム」。どちらも大学生上がり無職の病人の私が聴いたら、何か、調性が破綻しかけていて、ただでさえ生活がつらいのに、いっそう悲観的になる音楽でした。

 うち、マーラーの交響曲は、1番、4番と、できるだけ平和な曲になじみ、次に2番、3番と、まだ調性になじむ曲を。ここまでは、怖いので、いつでも片足を抜きかけているかのように、FM放送をカセットテープに録音したものを繰り返し聴くのみで、お金はかけないことにしました。で、意を決して次の段階に行こうと思い(おおげさなヤツ...)、聴いたことのない5番について、1986年に、シノーポリのCDをいきなり国内盤で買いました(最も高額な買い方なのでこういう表現です)。というのも、レコード芸術で「特選」盤になっていたからです(軽薄なヤツ...)。

 これは、聴いて後悔。意味が分からない曲でした...。つまり、調性の破綻が顕著な気がしてなじめませんでした。でも、買った以上は、「ひとまず100回」聴きます。

 同じ時期、まだまだ一般には高額だったCDプレーヤー、Denon DCD1000という高級オーディオ機器を49,800円で購入して自分の貧弱なステレオコンポ(テクニクスのコンサイスコンポといいました)に接続しました。6畳一間の貧相な下宿のお部屋に、しかも1年の半分は病院で寝てたりするのに...。しかも定食屋の定食は月1回の贅沢、毎日お米は食べられないので、煮た大豆のみ食べていたというのに...。あろうことか、入院時に病院にこのCDプレーヤーを担いでいったことがあります。大切なので抱いて寝ようかという勢いです。直接ヘッドフォンを挿して聴いていました...。

 初めてのマーラー5番の盤を毎日毎日、4か月ほども、けっきょく100回は聴きました。リズムやデュナーミクの揺れが激しく、すばらしく躍動感がある、のに、音色が繊細で多彩で...。

 もっと聴きたくなり、当時すでに「不動の四番打者」だったショルティ/ロンドン交響楽団(Decca盤)を、中古LPで並行して聴きました。Decca盤のショルティは、音色が強くストレート、金管群がアングロアメリカンな猛烈な咆哮、低弦はゴリゴリと擦弦音があります。ストレートなショルティ盤に比べると、シノーポリ盤は、4管編成に加えて金管2管の巨大編成ではあるのですが、繊細で、何かこもったような抑えたようなためらいがあり、翳のある風情です。でも、ドイツのオーケストラでなくてイギリスの、という点が、音色にそこはなとなく明るい雰囲気があります。シノーポリ盤を今も大切に聴く所以です。

 同年(1986年)に、DENONレーベルから、E・インバル/フランクフルト放送交響楽団(F.R.S.O)でマーラー交響曲全集が出(録音エンジニア;川口、P・ヴィルモース)、FM放送をヘッドフォンで病院で寝ながら聴きましたが、異様に音が透明で見通しが良く、マーラーの交響曲に対してもっていたマッシブな息苦しさが、すっきり払われていた気がしました。病床に伏していたから感覚が冴えていたのかもしれません。

 翌1987年に、このインバル/F.R.S.Oが、来日演奏。バブル経済を上りつつある東京の雰囲気と相俟って熱狂的な歓迎だったようですが、東京文化会館と自転車距離に住んでいた自分が演奏会に行ける境遇なワケがないし、ふぅんと思っただけではありました。

 病院の「談話室」のテレビでその演奏会の模様をチラリと見たのですが、もちろん音質の問題もあって、ただのニュースであり、何の感動もありません。一人でCD聴いてた方がいいな、と思いました。でも、「CDなどのメディアは、再生機器や録音機器に色づけられた造られた音」という説、「ナマ演奏にはかなうわけないだろ!」という主張も、当然もっともです。でも比較の対象になるのかなと疑問でした。

 その年、顔しか知らなかった大学の友人から、「都響定演(東京都交響楽団の定期演奏会)のチケットが余っちまったんだけど、買わない? 500円で。君なら買うかもと友達に聞いたので。」と言われ、演奏曲目を聞いたら、マーラー5番。「か、買う。買わせていただきます。」つまり、演奏会に行けるものなら行きたかった自分が、他の全ての自分を押しのけて出てきました。

 都響のホームグラウンドは東京文化会館大ホールです。その晩、着席したのは大ホール3階の最も安い席。周りに着席している人はほとんどおらず、オーケストラがはるか下方に小さく人形芝居みたいに見えます。こんな遠くて聞こえるのかよ、と思ったのですが、はるか遠くの管も弦も、いや、トライアングルもシンバルも、私をすぐ取り巻いて耳元で囁くようにシャープで、高音から低音までのダイナミックレンジは広大です(ナマだから当たり前か)。F.R.S.Oでなくても、大学の、いや中学高校のオーケストラであっても、マーラーは生の管弦楽団(の安い場末の人跡稀なエリアの座席?)に限るじゃないか...。真っ暗な帰り道、ひんやりする上野公園を、チャリで、動物園の虎の声を聞きながら(たぶんそりゃ気のせい)坂を下りて池之端から暗闇坂を上がり...その間ずっと、内臓が抜け落ちるようなコントラバスの音が、興奮したからだじゅうに残っていました。

 「演奏会に行く行為」には、当時の歪んで卑屈になっていた自分にとっては、往復の手間・時間・金銭・猥雑な視覚情報・スノビズム・周りの客の息遣い・咳・くしゃみ・話し声・撮影・筆記・拍手など、嫌悪感がありました。今でもずっとあります。小さな部屋にいても小さな音のクラヴィコード1台やリュート1本、またグレゴリアンから指輪四部作の演奏規模に至るまで、真っ暗にしてヘッドフォンで目を瞑ってCDを聴く方が、音楽の純粋性、一歩進んでDämonenhaftigkeitやDionysischkeit(かってな造語です)が保てるではないか、などと歪んだ刷り込みが定着してしまいました。3/22に言った無前提で音楽を聴くとはこんなことに違いないと思い込んでいるところです。この問題については、自分で納得がいくまで、しかしもしかして死ぬまで、葛藤しそうです。

2023/11/16

■ まなぶ - 高いマグロ - 青森県立高校入試H19(2007)年 - 社会第3問(2)


モモさんというその人の話を聞いたのは、十数年前。話してくれた知人は当時中学生の娘さん(トモカさん)の親で、そのトモカさんの仲良しがモモさんです。

私は学校関係者でも中高生の親でもありません。

 二人は、中2春のクラス替えのときに同じクラスになりました。

 トモカさんが、初めてモモさんに話しかけたのは「部活はなぁに?」というセリフ。そのときに知ったこと;モモさんの家は、母と祖母が経営する小さな生花店で、保育園年少の妹がいて、毎日の夕食は、モモさんが、家族である祖母・母・妹のためにつくっている。土日は花屋さんの仕事。

 モモ「だから、部活とか生徒会とかで遊んでいるヒマはないんだ」とキッパリ。「学校の授業終わったら、すぐ妹を保育園に迎えに行って(保育園は自宅と中学校の通学路の途中)、スーパーで晩ごはんの買い出しをして、晩ごはんつくって...。」

 トモカ「そ、そう...。でも、いいネ、お花屋さんって、ステキだね。」

モモ「あんた、花屋のキツさ、知らないからそう言うんだろうけど。真冬の朝の市場でも店でも一日中水にぬれて、冷たくて目から火花出るからね。ずっと重い束を動かしてなきゃなんない仕事だし、枝や葉や棘や刃物でナマ傷だらけだし...」

 トモカさんは、取り付くシマもなく厳しい人柄とその背景にある生活を負うモモさんに、恐怖を感じました。

 でも、学校で、不公平で横暴な男子生徒や先生たちに対して、敢然とモノを言い、女子の泣き寝入りを許さない態度に、女子のみんなが惹かれます。家庭科は、調理の包丁さばきも段取りも被服の縫製も、先生より速くて上手です。学校の成績順位は学年でベスト3です。「生徒会長に立候補したら?」「(隣の都市にある)より良い高校を受けたら?」の勧めは、すべて「家が忙しいから」「大学とか行かないから」と拒否して、自宅から一番近い県立高校志望です。

 高校受験も差し迫った冬休み後の学校授業で。県立の入試過去問を解く授業です。時間を決めてみんなで解くのは有益なのですが、解答解説も、また特にこの社会の先生も、解答棒読みでツマらないんですよ。社会なんて、さっさと一人で答え合わせした方がいいです。みんな退屈そうに聞いています。退屈まぎれに、トモカさんは、ふと隣の席のモモさんを見ると、真剣、というか、ココの箇所の解説になって、なんだか怒っている風です。で、キっとなって、ツマんない先生に質問します。

 モモ「先生、キプロスって、どこの海にあるんですか。」

先生「え? キプ...、の海...、えぇっと、ははは...」

モモ「1.に『水揚げ』って書いてあるんですが、『養殖』だと船で海から獲ったのと違うんじゃないですか。マグロは回遊魚じゃないんですか。栽培漁業と違うんですか。キプロスに養殖場があるって意味ですか。この水揚げって単語どういう使い方なんですか。」

先生「え? 水揚げって...、えぇっと、ははは...」

モモ「だいたい、マグロのラベルのこの値段、100gで598円って、高すぎませんかっ!? 入試をつくる先生たちって、日頃からいつもこんなものばかり食べているんですかっ!? (怒 」

 クラスのみんなは、くだらない授業の眠けも一気に吹き飛んで、「ワハハ!」「そうだそうだ!」「高けぇ、あり得ねぇ!」などと、ふだん勉強しないワルい男子まで、モモさんを応援するかのように、爆笑したり机をたたいたりして盛り上がります。

 勉強不足で百年一日のように同じ授業をする威圧的な化石化公務員の先生は、「静かにしろ!」と逆切れします。みんなは、静かにします。先生の負けだってことは、誰の目にも明らかです。


2023/11/15

■ まなぶ - 簡単すぎてわからない - センター試験数学IIB 2018年本試験 1-1「三角関数」



簡単すぎるので、答えがわからない...。

「それでは始め!」の試験監督の合図に従って堰を切ったように数IIBの問題用紙を開いた受験生の皆さんが、いきなり意表を衝かれて、そんな気分になる出題が...。

 だったらそれは「簡単」じゃぁないだろう、答えられないんでしょ?...って周りは言うんだろうけど、ふだん、計算や証明のトレーニングをバリバリ重ねた大学受験生からしたら、「教科書の『三角関数』の最初のページのいちばん最初に書いてあるんだけどな...う~ん、何だったかな」と一瞬蒼ざめます。


■ 数IIB開始直後の、問題Ⅰ-1(1)でこれかよ。複雑で長文の(3)なら毎度おなじみでバリバリ...なのにぃ...。で、泣く泣く、ゆ~っくりゆっくり考えを遡って、やっとたどり着いたりして...。先を急いで焦る心理に巧妙につけこんだ、稀に見るすばらしい出題!?



2023/11/14

■ まなぶ - 単語集を書く 14日目 - パイロット「強色」とプラチナ「カーボン/ピグメント」


万年筆と鉛筆で毎日100語(100の例文)を書き進んでいる単語集。11/1から開始したので、今日は1301-1400まででした。(この単語集の単語は2100まであります)

 毎日、鉛筆で50文、万年筆で50文。そのうち万年筆は、「強色」の黒で25文、「強色」の青黒で25文です。例文1文あたり単語数は平均15語ですので、1本の万年筆で毎日約375語を書き進んでいます。

 今月この「強色」インクは何度か補充しました。空(から)になったカートリッジに、シリンジで、溢れない程度に八分目付近(約0.5ml~0.8ml程度)に充填しますので、毎回微妙に量は異なりますから、これまで何ml使ったかは不明です。

 ただ、やはり、2本の同じ万年筆(Pilot Custom 742 S)のカートリッジは、毎回ほぼ同時になくなります。

 文字サイズは、デカいです。鉛筆10Bでは新聞の本文活字程度ですが、万年筆のペン種 S(極太に近い)では新聞の見出し並でしょう。インクの減りは速く、カートリッジ1本が3~5日程度です。書く速度はかなり速い方で、例えばの一例ですが、ペリカンM800以下の硬いニブなら、紙にもよりますが、ペン先からインクが飛び散りそうです(とはいえ、筆圧はかなり弱い方だと思います)。その紙ですが、読後不要になった単色印刷の書籍やマニュアル類のうちから、紙質が良さげなものを選んで、裁断し、単票にしたB5かA4用紙に、プリンタで天地20mmの罫線を強引に印刷して、活字の上から書いています。...私が万年筆を使うとすればこんな「異様な」「野蛮な」使い方ですし、私が自分の使い方でどのくらいインクの減りが速いのかを今後のために計量していますから、日本で圧倒的に多数派を占めるペン種 F や EF で大事なトモエリバーやグラフィーロに3枚5枚としずしずとていねいにお書きの方(それが普通ですよね...)にとっては、まったく参考にはならないでしょう。すみません...。

 さて、11/1から初めて使い始めたパイロットの顔料インク「強色」を、年来なじみのあるプラチナの顔料インク「カーボンブラック(C・ブラック)」「ピグメントブルー(P・ブルー)」に比べたとして、気づいた違いを;

 パイロット「強色」黒;プラチナ「C・ブラック」より、黒さの色合いは、やや茶色味を帯びてほんの少し黒味が薄いかもしれません。滑りの良さは、いずれも区別がつかないほど良好です。いずれをとっても、「太字+顔料黒」は、万年筆を使う悦楽の極みに位置することを実感します。

 パイロット「強色」青黒(ブルーブラック);プラチナ「P・ブルー」とは、青黒vs青ですので、色は比べられないのですが、「強色」は、「色彩雫・月夜」に似て、あれほどではないにせよ書いた直後はごくうっすらと緑のニュアンスがある気がします。深々とした陰影のある実に良い色で、大いに気に入りました。ただし、乾燥後はレッドフラッシュが強いです。紙への載り、裏抜けの無さでは、「強色」が「P・ブルー」より優れています。

 以上から「強色」は、顔料成分が強い(微粒子が荒い)可能性があり、万年筆へのダメージは、たとえばプラチナ「P・ブルー」より大きそうです。

 なお、「万年筆を使う」目的のための手段として「英単語集」を使っているワケですので、難しい英単語なんかアタマに入るわけがないじゃないですか、アッハッハ...。

 引き続き、勤勉に学ぶ方にとっては本末転倒不倶戴天の趣味を楽しんでいこうと思います。

2023/11/13

■あるく - ステッパーで


今朝6:00の気温は、ついに0℃となりました。もう冬だなんて。

 3月から始めたこのウェブログは、あるく日記と親の実家整理作業の報告のつもりだったのですが、いつの間にか、座ってばかりで頭でっかちなことばかりぶつぶつ言うようになってしまいました。でもまぁそれもストレス解消、こころとからだの健康の一助となっていると思うことにしましょう。

 早春のおとずれがうれしくてたまらないのは、この、11月から3月までの5か月の、ずっしり暗く重い冬があるからです。そう思うと、「東北の春」の美しさ、うれしさ、大切さは、ひとしおです。また次の春を楽しみに、次の5か月、耐える覚悟を決めなくては。

 今日は、昨日から引き続いてずっとみぞれで、日中も暗く冷たく濡れた一日。晴れたとしても北西の季節風が強いです。「あるく」日記を書きたいなと思うのですが、なかなか...。晴れた日に収穫期のりんご畑をうっかり私のような場違いな門外漢がふらふらあるくと農家に怪しまれます。吹きっさらしの田んぼは呼吸困難でからだも吹き飛ばされそうです。真夏の間は愉快に森を歩きましたが、ここのところ森のクマさんが妙に暴れるようになって、私など場違いな門外漢がふらふらあるくと格好のいじめの対象になるにちがいありません。街中は、排気ガスに加えて、暖房の石油排気の香りに包まれています。どこをあるきましょうか?

 実は20年間以上、私の倉庫然とした住居内で、ステッパーを使っています。

 仕事はずっと不規則だったし、冬は除雪作業のような急激で不規則な運動以外は通勤に歩くだけで、いずれもイヤイヤながらからだを動かしていたので、不健康さを感じ、規則正しく、しかし気軽に運動、と考えたとき、ステッパーがいいかなぁと思いました。当時かなり高額だったのですが、鋳鉄製の頑丈なものを購入しました。

■ シリンダ内のオイル・ダンパのおかげで、軽く小刻みにあるけば抵抗は小さく、じっくり大きくあるけば抵抗が大きくなります。

 2003年に購入し、これまでの間に使用頻度に粗密はあれ、近年は使うようになってきました。使用期間中に一度、ワイヤーが経年変化で切れたのですが、パーツを買い直して使い続けています。塗装もあちこち剥離していますが、基本的な機能は何ら劣化せず、どうやら生涯使えそうです。改めて思い直してみると、ここ数年はやはり冬の使用頻度が多いナと思い当たります。

 これを使ってあるいている間は、ぼうっと考え事をしたりヘッドフォンを使ったりしても、交通事故に遭うおそれもなく、雪や悪天候に阻まれることもなく、習慣化してしまえば割と毎日実行してたりします。

 このウェブログに今取り上げようとして、以上のことをいろいろと気づきました。考えてみると、感謝しなくては。この冬もせいぜい活用して、あるいてみることにします。

2023/11/12

■なおす - シェービング - 今日


すっかり寒くなりました。昨日今日はアラレがバラついて、一瞬路面が白く覆われました。

 外気温も下がって、シェービングの画像は、シェービング中はお湯で曇ってムリなので、終わって洗って後に。

 ホルダは、毎回分解して洗浄します。が、人によるようです。分解するのは刃の交換時だけの人も多いようです。毎日交換の人はよいですが、一般に3日程度で交換であれば、錆びたりはしないでしょう。1週間使わずに放置すれば刃は錆びていますが、ステンレス製のホルダなら、きれいな鏡面加工は水程度には腐食などの影響はされず、一生ものだと思います。

シェービングブラシは、1つあれば実用上はいいのですが、毎日シェービングするならば、翌日はまだ乾かない状態でまた使うことも多いですので、つい2つ目、すると3つ目と、購入してしまいがちです。

 しかも、ブラシもまた、マニア心をくすぐる蘊蓄に満ちているようです。

 天然毛か人工毛か、ノット(knot; 植毛部分)の直径やデンス(植毛密度)やレングス(毛の長さ)、柄の材質、など、組合せは多く、どれも魅力的です。

 天然毛のうち、今日は、いちばん貧相に見える「豚毛(Yaqi製)」を。買ったときは、他の毛に比べて、あまりにノットが細く、しかもデンスが粗(まばら)で、工場のしくじり品だと思ってしまいました。

 豚毛ブラシは、毛の1本1本が太く、最初は、ゴワゴワと硬く、泡立ちも悪く、しかも使用後に乾きづらく、安いだけで何もいいことはないと思いました。が、1年2年と使い込むと、太い毛の先端が、いわば「枝毛」状に細かく割れます。使う直前に、じゅうぶんに水かお湯に浸しておくと、泡立つ毛先がソフトでシルキーですが、根もとは水を含んでいっそう太くなり、柔らかいのにコシがある状態となり、乾燥した強面(こわもて)の状態とはまるで表情が変わって、フレンドリーで使いやすくなります。泡立ちは他の材質に劣らないのですが、泡もちの時間が短い点で劣ります。でも気負わず毎日淡々と快適に使って石鹸分はあっさりすっきり洗い流せます。

 これに合わせるシェービングソープは、今日は、イタリアのこれまた定番の「プロラッソの白チューブ」。固形石鹸ではなく、歯磨きペーストみたいなフォームです。これも、手軽な使い勝手といい、その軽い爽快な香りといい、毎日淡々とすっきり...に向いています。

2023/11/11

■ まなぶ - 単語集で楽しむ


またあの出題者の悪意の覗く単語集で語彙力を広げることにしましょう...。

 選択肢から選ぶ試験方式です。別な選択肢をあてはめて想像してみます...(訳は拙訳です);

問. It didn’t take her long to succeed as a salesperson because customers were attracted to her (  ) personality.

「彼女がセールスとして成功するのにそう時間はかからなかった。というのも、顧客たちは、彼女の(  )な人柄に惹かれたからだ。」

選択肢; 1. vibrant  2. ambivalent  3. belligerent  4. vagrant

 どの選択肢も、形容詞形で、名詞personalityの限定修飾語として成立するようです。

 1. を選びましょう;

「彼女がセールスとして成功するのにそう時間はかからなかった。というのも、顧客たちは、彼女の活力に満ちた人柄に惹かれたからだ」

...元気溌溂とした人柄のセールスなら、客も会社も頼りがいがありますね。

 2. を選びましょう;

「彼女がセールスとして成功するのにそう時間はかからなかった。というのも、顧客たちは、彼女のどっちつかずな人柄に惹かれたからだ」

…相反する感情を同時にもつ複雑な人は、セールスでない別なお仕事の方が...。

 3. を選びましょう;

「彼女がセールスとして成功するのにそう時間はかからなかった。というのも、顧客たちは、彼女の好戦的な人柄に惹かれたからだ」

…人に挑みかかるような攻撃性をもつ人は、競争社会にはたしかに向いていそうですが、顧客には好かれないかも...。大統領候補としては、いいかも...えっ? (;^^

 4. を選びましょう;

「彼女がセールスとして成功するのにそう時間はかからなかった。というのも、顧客たちは、彼女の路上生活者のような人柄に惹かれたからだ」

…自由気儘な放浪癖に、ですか? vibrantとvagrantの区別がどうしてもつかない人向けですか?  英単語的には、vagrant ≒ tramp ですが...、あ、aとuで一文字違うか(なんのことですか?)。

 3.や4.の単語を敢えてこの出題に置こうという出題者って...。


2023/11/10

■ まなぶ - 万年筆を始めた私 - 3


- 10/25の続き - これまで聞いた複数の方々のステキな体験を合わせて、お一人の方の体験としてまとめてみます(;^^w...私はパイロット関係者でも業界関係者でもありません


あらためて、初めての万年筆を、あの昔風な爪みたいな形をしたタイプから始めようと思う。調べると『パイロット エリート95』として売られているようだ。

やはりいまだに、一般的な万年筆のあの、ギラつくペンの先の金属が剣のように突き出した形は、これ見よがしにひけらかしている人たちの印象が強く、好きではない。職場で万年筆自慢の人たちは、それに反発する目というのもあるかもしれないとは、考えないのだろうか。

ただ、今から考えると、使ったことのない自分のこの心理は、万年筆が、なんだか知的な趣味であること、それをひけらかされている場面、という、一種のコンプレックスによるものかもしれないな、という気も、最近は、する。

しかし、まぁ、私の場合は、これから購入したとしても、職場や人前で使うことはなく、自分の部屋だけで使うから、気にしないで、おいおい慣れた方がよいのかもしれない。

いずれにしても、まずは、『エリート95』だ。購入方法としては今どきは、amazonなどのネット販売で安く買うというのが賢いようだ。注文の予備知識として、まずメーカーのウェブサイトを見る。すると、型番が『FES-1MM-B(ペン種)』などと書いてある。『ペン種』とは何だろうか。

気にせずamazonを見る。定価より2割ほど安い。だが、全く同じ外観だが『細』とか『M』などの末尾の記号が微妙に違って何種類かあるらしい...。何が違うのだろうか。ペン本体の大きさや太さだろうか。筆跡の細さのことだろうか。こないだ買ったカクノは何だったのかな、ろくに見もしなかったな。

うかつにネットでは注文できなくなった。実店舗で店員に聞いて確認しようか。といって、またあのショッピングモールの文具売り場に、カクノのようにぶら下がっているとは思えない。文具専門店に行こう。

さて、大きな文具店にクルマで遠路はるばるやってきた。今日は妻が所用で私は一人。この買い物は一人の方が気が楽だから、実は妻の所用の日を選んだりしたのだったが...。

万年筆のコーナーは、時計店や宝石店みたいにガラスケースにきらびやかに並んで、目もくらむようだ。気軽な感じがなくなって少し緊張する...。「1万円のエリートください」と今すぐに言い出す雰囲気じゃないか。とはいえ、時計店や宝石店の売り場担当者のような専門家風の紳士ではなくて、今いるのは私の娘より若そうな親切そうなお姉さんなので、いろいろ見て聞いてから決めるふりでもしようか。

「万年筆を見たいんだが...」

「いらっしゃいませ。贈り物ですか、ご自分用ですか。」

え、贈り物? なるほど、自分への贈り物、なんて考えるのも、ちょっとしゃれていて悪くないね。きれいに包んでもらえるかもしれないし。

「う、うん、贈り物にしようかなと...。」

「ご希望のお品はすでにお決まりですか。これからお考えですね。受け取られる相手の方は、男性ですか女性ですか、お若い方ですか、万年筆のご経験がおありの方ですか、(どんどん続く)...」

「えッ!? あの、そ、そうだな、男性で、まぁ若いっちゃ若くて(気持ちだけは)、万年筆は使ったことがあるようなないような...」

「お若い方で、未経験の方や初心者の方にでしたら、こちらが多く選ばれており、いちばんのお勧めです。軸も細目で、他の筆記具に慣れた方や、筆圧が高めの方でも違和感がないようですし、このように(と次々とガラスケースの上に出して並べてくる)お色も何色かありますので、相手の方に合わせてお選びいただけますし、(どんどん続く)...」

「あッ、あの、そ、そうだな、これはそもそも何ていう万年筆かな」

「パイロットのグランセといいまして、このように、何種類もそろえてありますので、さまざまな雰囲気やご予算でお求めになれ...、特に今の春の時期にはたいへんよく...、当店でも最もよくお求めいただいて...、(どんどん続く)...」

「こんなに種類があったらわからないな。金額の違いは何なの? デザインの違いだけにしか見えないんだけど...」

「おっしゃる通りデザインの点で、塗装の種類が、...、またペン先の材質が、...、さらにペン先のペン種が...、加えて、(どんどん続く)...」

「そ、そのペン種って、何のこと?」

店員は、この時点ではもうすでに、私が万年筆を使ったことがないのをあっさり見破ったようすだ。急に話し方がゆっくり念入りになった...。

他方で、私は、ペン種とはペン先の筆跡の細さ太さのこと、同じ銘柄では、軸の大きさや太さは、服のようにS, M, Lというサイズでは選べず、1種類しかないこと、ペン先の金属は、ステンレスか金の合金で、金には純度の設定がある銘柄も多いこと、日本の万年筆の構造はほとんどが「カートリッジ式」でトラブルが少なくコストが安いが、他方、ヨーロッパのものはほとんどが「吸入式」で手間と愛着が伴い高額なこと、などを知った。

さらに、話を聞きつつ、「試し書き」というのをさせてもらった。パイロットの「74」とかいう番号のシリーズがズラリと試し書き用にそろえてある。万年筆やクルマの名前を番号にするのはやめてもらいたいものだが...と思いつつ、1文字書いた瞬間に、お姉さんから、筆圧が強すぎるようだ、そんなふうに持たないでもっと人差し指を前に出して軽く握って...などと、次々と説教を食らう...。まるで母と少年みたいになってしまった...。また気づいたことだが、どうやら、先日初めて買ったカクノの一瞬で終わった短い一生は、私の無知のせいであったと哀しさと共に冷や汗が出てくる...。

「ここまで申し上げた点で、何かお聞きになりたいことは...」

もうかれこれ30分も説明してもらっている。最初はお姉さんの話しぶりがずいぶん煙たかったけれど、感謝の気持ちに変わってくる...。

「いいえ、よくわかりました。どうもありがとうございました。では、グランセのこれ、少し地味な色合いですが、相手は男性でまぁそうすごく若くもないし、となったら、金ペンでなきゃね、ハハハ」と鷹揚に構えて、ゆとりのある紳士のふりをする...。無駄に一万数千円の出費...。

「ありがとうございます。プレゼント用にお包みしましょう。包装紙とリボンの色はこの辺でいかがでしょうか、よろしいですか。」

内心、やった~と喜ぶ。プレゼントのふりをしてよかった。

「包装費用は110円を頂戴いたしております。」

あ、そう...。おや、ところで;

「あ、あそこにあるあの、『エリート』を、ちょっと見せてもらえますか。今はこの形のペン先が、あまり見られなくなりましたね(妻のセリフをマネしてみる)、懐かしい...(ふりをする。)」

しっかし、ショーケースのはるか隅っこ視界の外にある『エリート』が突然目に入って急に気づいたフリというのも、無理があるが...。

「あら、お客さまもお使いになられていましたか。昔はこれがたいへん普及していたようですね。」

はいはい、あなたのような若いお嬢さんは存在していない古い時代の話ですよ。といっても、私も当時は何の興味もなくてやはり知らないのだが、今は、学生時代に使って懐かしいフリをする...。

触ってみる。と、グランセより軽く安価で、ペン先も露出することなくつつましく、黒い胴軸に小さくキラキラと光り、書きやすそうだ。書いてみたい。キャップの中に胴軸が長く収まっていて、安心感がある。やはりコレは良いのではないか。妻の刷り込みで私の感情も移入したようだ。妻が懐かしがる気持ちに、共感できた気が一瞬した。

「これもいいですね。ください。」

「ありがとうございます。黒のFでよろしいでしょうか。こちらはご自分用ですか。」

「ええ、ぜひまた久しぶりに使ってみたいと思います。(実は初めてだが、でも使ってみたいと、本心からそう思った)」

「お会計、24,310円となります。本日はお買い求めいただき、どうもありがとうございました。」

売り場の方々みながいっせいに頭を下げる。たいへん良い気分だ。やはり実店舗に限るなぁ。

…って、一人、ひんやりしたクルマに着座して感じたが、なんだか、あきらかに無駄な買い物をしていないだろうか...。反省半分、でも楽しみも半分以上はありそうな気がする...。


2023/11/09

■ なおす - 除雪機整備 - 2


除雪機の話。おとといボヤいたHonda-SB690という、押して除雪するタイプのものが、ついに整備終了しました。

もう一台のHS-970とも、分解・潤滑・塗装・再組付けと、きっちり整備してもらって、長年のもやもやが晴れました。感激。まだまだしばらくは大事に使わせてもらいます。

 先月まで30℃超えて暑いと言っていたのですが、来月は除雪機出動ですか。でも今年は心のゆとりができました。


2023/11/08

■ まなぶ - 鉛筆をつかって - Hi-Uni 10B で単語集を書く - 7日目


英単語集の例文を、また書いていくことにして(11/1)、それで鉛筆とインクの減り具合を実感しているところです。

■ 11/1に、「芯の減りは速く、例文を10文(150語程度)書いたら、もう太くて書きづらいです。1本あたり1日150語ほどの使用で続けましょう。」などと書きましたが、10文では、太すぎるようです。

■  そこで、5文(約75語程度)を書いたら、尖らせることにします。

・  画像の上が、7月から9月に、Hi-Uni 2Bで書いたもの。

・  画像の中が、10月に10Bで書いたもの。この時点では2Bに比べるととても太く大きな字になるので、天地幅を10mmから17mmに変更して新たに用紙を印刷し直しました。

・  画像の下が、今朝。尖った芯の鉛筆のみ次々と使うことにしたら、快適です。字のサイズは、2B使用時に近いくらいに小さくなりました。

■  そっと撫(な)でるような感覚で、紙に触れるか触れないかのように書き進み、黒鉛の超微細な粉末が自動的に筆跡となって紙上に残るような、何だか宙に書いているような気がします...ちょっと経験がなかった快感です...(;^^ 

■  …これが「10B」の世界。...最高品質の最高濃度の鉛筆 Hi-Uni 10B...。

■  ほとんど自分だけの独自なあぶない世界に浸っているかもしれません。

■ 「鉛筆なんて使い捨てるただの道具」に過ぎない小中高生などの目の色を変えて勉強しなくちゃだめな若者には、わかってもらえないことでしょう。強い筆圧の彼らには、2Bが好適だと思います。それが本来の鉛筆の存在価値を全うすることなんだと思います。他方で、「鉛筆で書くこと」そのものが目的と化している今の私は、異常な在り方だと認識します。

■  さて、その2Bを、今日、久々に使ったら...。半世紀以上も生きて初めてこの6月に「鉛筆の2B」などという濃い芯を使ったあのとき(6/23)には、あれほど「濃くて柔らかい!」と驚いたのに、今日、2Bを使ったら、「薄い!硬い!ザリザリひっかかる!」と感じました!

■  Hi-Uni 10B にとり憑かれてしまいそうです...。とはいえ、6本の同時進行だと、削る頻度が頻繁です。2ダースくらい同時進行でなきゃダメかも(ますます人目をはばかるべき光景になりそうです)。

■  また、削る際に、芯も同時に削られますが、画像でお分かりのように、芯の太さが、異様な雰囲気を醸し出しています。削りかすには、木片より多い大量の芯が含まれていて、もしかして、筆跡として紙に残る量より、削って捨てる量の方が多いかもしれません (つけペンのインクも、同じ感じがします)。

■  自分史上空前絶後の書き心地といい、無駄になっていく芯の量といい、また一連のこれらに費やす時間や気分といい、「充実した生活」か「非生産的な退廃」かその善し悪しはまた別の価値判断として脇に置くとして、少なくともこれは一種の「贅沢な生活」といえるんじゃないだろうか...。

2023/11/07

■ なおす - 除雪機整備


除雪機の話。7/28に書いた通り、夏の間、毎年のルーティーンでバッテリのメンテもしたのですが、2台あるうちの1台、Honda-SB690という、押して除雪するタイプのものが、満充電バッテリを装着した翌日にバッテリ上がりとなります。リーク? バッテリ結線経路も点検して緑青もブラシ除去してるし、そもそも電装部品なんか無いに等しいのに...。オルタネータ? た、高くつきそうです...。

 20年毎年お世話になっているホンダ屋さん、近年は、除雪機が急激に普及し、整備が追い付かないようすです。年々、整備がたいへんそうで、昨年は10月に整備に出したところ、雪も積もった12月下旬に仕上がりました。忙しい中催促するのも...。黙って専門家にお任せしてきました。お手数をおかけしてなんだか申しわけない...。今回も相談したら、「不明な銘柄のバッテリを自分で交換しない方がよいかもしれない」とのことでした。

 セカンドオピニオンとして、クルマやオートバイのお世話になっている整備士さん(F. Garageさん;仮称)に泣きつき、今回初めて、2台とも持ち込み、そうとう入念に診てもらいました。ちなみに、このF.Garageさんには、ステキなクルマやオートバイが常に入庫していて、しばし現実を忘れて夢の国に迷い込んだ錯覚を味わえます。オーナーの皆さんから寄せられるブ厚い信頼感が漂います、が、邪魔にならないように遠くから眺めます。

 バラしてもらった除雪機を見て、現実に戻ります...。どちらも経年変化が激しくてツラいようです。

 うち1台の、シュータータイプ(雪を飛ばすタイプ)HS-970は、オーガ奥ブロアのメインシャフトなど経年によるガタつきが激しいものの、今回、入念に分解整備して何とか余命を保てそうです。

 他方、問題のSB-690は、バッテリやオルタネータを疑ったのですが、バッテリの健常性は2台とも問題ナシ。逆に12V規格バッテリがアイドリング時に16V以上を示すので、ますます疑問。ホンダ除雪機の専門家に問い合わせたら、電装品が存在しないので、オルタネータもそのレベルで正常カモとのこと...。素人の私の理解力ではじゅうぶん腑に落ちないけど、まぁ悪いことじゃなさそうですので、この問題はいったん解決。

 それとは別に、一般に「キャタピラー」などと登録商標で呼ばれる「クローラ」部分ですが、亀裂が入っています。数年ごとに定期的に交換してきたのですが、今回も、「コレまずいかな」と思って相談したら、「コリャまずい」とのこと。交換することになりました(画像;左側にあるメーカー製品(年式違いですが)の写真の角度から撮影した整備中のものが右側)。押すだけしか能がないこのタイプは、クローラにかなりの雪の圧力が加わるので、ゴム部品やプラ部品の芯には鉄を入れて強度を確保したパーツばかりだそうです。造りが、まるで、プラスチックを知らなかった昭和の時代の工業製品みたいです。作業にかなりの苦労をおかけしそう。金額も...。でもまだまだ使いたいので、この機会に。

 以上で、だいぶ納得がいきました。インフォームド・コンセントのある整備士さんは、ほんとうにありがたいです。もう来月から除雪機を使うのか...。でも、次の除雪期間は、これまでみたいに恐る恐る使わなくて済みそうです。

2023/11/06

■ こわすつくる - つけペンのペン先って錆びるんですか - 2


「つけペン」 のペン先が、インクのせいで錆びていくようすを、確かめてみたいです(11/2の続き)。

 その目的としては;インクのせいで、錆の生成が促進されるんでしょうか。また、錆びるとして、その速度はインクの種類により違うんでしょうか。

 例えば、通称「古典インク」=「没食子インク」は鉄イオン含有液体ですが、おそらく金属の腐食原因になります。これと顔料インクというコロイド溶液を混ぜたら、「万年筆は詰まりやすい」と言われますが、錆はどうなんでしょうか。悪者の古典インクが、顔料インクという悪い仲間と結託して最悪の結果をもたらすんでしょうか。それをチョっと確かめてみたいだけなんですよ。

 ま、日常生活レベルで目視できればそれでOKという、ゆるい話です。

 なお、つけペンで日本語を書く際に使うのは、私も、また一般的にも、もっぱら顔料インクのみです。なお、墨汁・墨滴・墨液も顔料インクの仲間です。

 今どきわざわざつけペンで日本語を書くようなヒトの中に、書いた後にペン先を拭かず洗わず放置するヒトはいないでしょう。でも、ふき取ったペン先なのに、数日後や数か月後に、ペン先のスリット(切り割部分)がサビているのに気づく、というのは、私も含めて広く経験されている事象です。

 インクの成分のせいで錆びる - インクの種類により、錆び方が違う - という仮説を立てて、これを確認します。



 手順としては;異なる種類のインクに漬ける - 数か月放置する - 目視で確認する、というだけです。

 漬ける際に、なるべく錆の生成を促進するため、液体(インク)に水没させたり浸漬させるのではなく、金属表面が、液体と空気につねに触れるようにします。そのために、ペン先を脱脂綿に置き、これにインクを滴下して放置します。綿繊維に接触させることで、金属・空気・液体の接触する表面積を広く確保できそうです。

 作業としては;綿棒とペン先の凹面を固定し、コットンパフ上に置き、インクを2mℓ(単体)~4mℓ(混合液)それぞれ滴下し、濡れた状態ですぐその上から再びコットンパフでサンドします。

 使ったインクは、下の画像の通り、水性染料「パイロットブルーブラック」、水性顔料「プラチナカーボンブラック」、古典(没食子)「ペリカン4001ブルーブラック」です。(上のトップ画像右の「パイロット顔料インク」は使っていません)

 比較対照(群)として、滴下する液体を水道水のみにしたものも、置きます。

 以上の試料すべてを、通気性のある蓋つきプラスチック容器に収納し、半年ほど放置します。

 以上、ただ放置するだけかよ、というショボい実験?の、単なる備忘録です。んじゃまた半年後に(;^^w



2023/11/05

■ まなぶ - 遠足でテレビ局の見学(3);大学入試センター試験英語 - 2005本試験第5問


※ 日本アイスクリーム協会 - 『懐かしの昭和アイス』より (画像商品と本文とは関係がないです)


センター試験の出題について、特に英語が、さまざまな方面から横槍が入る...上は歯科医師会(9/19)やお天気の専門家(11/4)から、下はどうでもいい末端の国民のウェブログ(10/8)に至るまで...なかなか気苦労が絶えないお仕事のことでしょう...って、案外、入試センターの内側の人も大学受験生たちも、そんな外野の野次なんか全然気にしていなかったりして。言い出す方も、楽しんでいる節が...。

 さて、センター試験を離れて、似たような体験のくだらないヨタ話を(というか、このウェブログ全体がそうなんですが)...

 おととい11/3の会話中で、最初の、ボビーくんのお話;

“ライト「みなさん、 ようこそWXRPチャンネル19へ。私はダン・ライトです。今日はみなさん放送局の中を見て回り、テレビで見ている番組をどうやって放送しているのか、わかってもらおうかな。」

ボビー「ライトさん、今10時なんですけど、僕はいまの時聞はたいてい『郵便配達のジャック』を見てるんです。郵便配達のジャックはここにいるんですか?彼に会うことはできますか? 』”

 …会えるわけないだろ (;^^

 …などと案内役のライト氏は横柄に却下するはずがありませんね。でも私たちはつい反射的にそうツッコミを入れたくなります。試験中の受験生も心の中でツッコミを入れたことでしょう。他方で、質問したボビーくんは、あこがれのスターに会えると真剣に信じ切って、きっと前の晩は興奮して眠れなかったに違いありません。...ところで、見学のみんなは何年生なんですか。こんな質問をするってことは7,8歳の小学校低学年でしょうか。その割には、話の後半で、カーラさんが天気図について14歳中学2年生デキる女子系みたいなやり取りをしていますね。

 これまた古い私の小学校低学年時代...また半世紀前の話かよ、ってなもんですが、たいへん記憶に残る似た状況を経験しました。

 私の地元の隣町の青森市の郊外に、かつては雪印乳業の大きな生産工場がありました。昭和の当時も今もその辺は、別に酪農地帯でも何でもなく、りんご畑の中を国道7号線や幹線道路が通り、青森市の市街地の縁辺として宅地開発されつつあった郊外です。現在は完全に住宅地が広がる街中となっており、雪印の工場はありません。

 当時、私の小学校、のみならず地元の多くの小学校が、ある学年のある時期には、その工場に見学遠足に行くのがお決まりのプログラムのようでした。「学校行事として見学に行けば、行った生徒全員が、帰りに『アイスもなか』をもらえる」という、昭和の小学生にとっては、途方もない豪華特典がついていました。

 ついに私たちの学年もそこに見学に行く日が来ました。

 往復の道中の記憶も『アイスもなか』をもらった記憶も、今となっては無いのですが、きっと盛り上がったに違いありません。それよりこんなやり取りが、昨日のことのような強い印象として残っています...。

 私のクラスのガキ大将格のシュンスケ君(仮名)、激しい議論と腕力でクラス全員を支配するヤツですが、彼が私の隣に並んで歩く形で工場に入りました。

■ 皆で工場に着いて、工場側から案内のおじさんが登場し、整列した一同に、語りかけます。上のライトさんの引用をしますと;

工場のおじさん「みなさん、 ようこそ雪印乳業青森工場(仮称)へ。私は案内のおじさんです。今日はみなさん工場の中を見て回り、牛乳やアイスクリームがどう作られるかわかってもらおうかな。...」

...と言いかけたのをさえぎるように、シュンスケくんが、まるで全学年生徒を代表して発言するみたいに、大きな声でおじさんに話しかけます;

シュンスケくん「あのぉ、聞きたいんですけどぉ、牛乳とかアイスとかって、牛の乳からつくられるんですよねっ!」

おじさん「そ、そうだよ。よく知っているねぇ。」

シュンスケくん「あのぉ、さっきから探してるんですけど、牛、どこにいるんですかっ?」

 …コ、ココにいるわけないだろッ!(;^^A

 ドっと笑う周りの男子女子。目が点になるおじさん。シュンスケくんは、何か大きな誤りを犯したと気づき、恥ずかしさと怒りで顔が真っ赤になり、「な、なに笑ってるんだ」と、彼の周りにいた私や他の2,3人の男子をドツき始めます。

 おじさんが、乱闘をおさめるかのように、「あのね、実はね、ここの工場に、牛を育てる場所がないんだよ。だから、もっと遠くの山のひろい牧場で牛を飼っていて、しぼった牛乳をそこから毎日トラックではこんでもらうんだよ」となだめていました。

 おじさんがいい人でよかったです。さすが大企業の管理職、円満なお人柄と危機管理スキルに長けています。きっと彼は、今日の小学校の代表質問のレベルといい乱闘騒ぎといい、どんだけスゴい家庭の...皆、国会議員や地方自治体の議員の子弟に違いない...と思ったことでしょう(;^^w

2023/11/04

■ まなぶ - 遠足でテレビ局の見学(2);大学入試センター試験英語 - 2005本試験第5問


昨日の問題の設問のうち、一部は、昨日のトップ画像右下の通り。「曇り」を表す天気用図記号は、日本と違いますね。大学受験生の皆さんが中学2年のときに履修した天気用図記号の知識があれば、雨と曇りのマークが、かえってまぎらわしいです。つまり国によって記号が違うってことですね。

※ 現在の日本の中学校2年で履修する「天気用図記号」- 検定教科書 学校図書 829「科学2」より

 さらに、今日の上のトップ画像の別な設問で、お天気お姉さんのコールさんの説明に合う天気図を判別せよと言い出しました。大学受験の英語問題で、なぜ地学の気象分野を解読しなきゃならないんだ、自分は理科では地学を選択していないんだ、とボヤく受験生は...たぶんいないか...。昨日のお姉さんと、ボビー君やカーラさんとのやりとりをよく読もう。

 ところで、この出題の直後2005年1月19日の東京新聞に、気象予報士の森田正光氏が疑義を呈した『センター試験 英語の正解--理科なら×』という挑発的な見出しの記事が現れました。

 このお天気お姉さんの天気図に対して、要約すると「地球の自転に伴い、北半球では、寒気は北西側から侵入するはず、仮に南半球だとして、寒気は南極に発する南寄りの風向となるが、お姉さんの説明と矛盾する。コリオリ転向力を無視した、気象学的にはあり得ない寒冷前線が現れている天気図だ」との主張のようです。

 地学選択の受験生の中に、気象学知識と目の前の英文との板挟みになって試験中にウンウン苦しんだヒトがいたのでしょうか。あんまり考えられません。たとえば、この天気予報番組が、欧米に特有の極端に狭いエリアに気象学用語を用いる分析で、地元の風向には地形的特徴も影響するエリアかも、だとして図外に強い高気圧が存在するかも、...。などと、私が今から質問し返してもムダな話ですが、ま、お気楽な想像です。

 やっぱりセンター試験は、さまざまな分野の方々が注目していて(9/19もご参照)、あら捜しの標的 綿密な検証の対象になるものなのですね。きっと、受験生以外で、ひそかに読んで楽しむ日本国民の皆さんが、実は多いに違いありません...(^^w

2023/11/03

■ まなぶ - 遠足でテレビ局の見学;大学入試センター試験英語 - 2005本試験第5問


軽いお話を読んで楽しんでみましょう。とはいえ、大学入試問題です。だのに、軽いとか楽しむとか、受験生に対して不謹慎なことを言って、ごめんなさい。ま、しょせん大学受験とは縁のない一般庶民が、低レベルで読んで楽しむだけですので、大目に見てください。

 1997年の第8回センター試験から2014年までは、センター試験の英語問題の後半には、短かめのお話で、本文または選択肢に、解答に必要なイラストや図表がありました(9/19歯医者さんの話)。現在の共通テストは、そのような出題形式を大幅に採り入れたモデルチェンジ版という感じです。

 ひとまず、読んでみましょう...と言っても、英文をそのままここに写し取っても読みづらいかもしれないので、私の拙い訳で恐れ入りますが、今日はサっと内容を見るにとどめましょう。

出題者に、敬意を表します。

---...---...---

小学生が、土曜日の午前、あるテレビ局にて見学中。

ライト「みなさん、 ようこそWXRPチャンネル19へ。私はダン・ライトです。今日はみなさん放送局の中を見て回り、テレビで見ている番組をどうやって放送しているのか、わかってもらおうかな。」

ボビー「ライトさん、今10時なんですけど、僕はいまの時聞はたいてい『郵便配達のジャック』を見てるんです。郵便配達のジャックはここにいるんですか?彼に会うことはできますか? 」

ライト「実はね、ボビー、ここのスタジオは小さすぎて、その番組を作ることができないんだよ。代わりに『郵便配達のジャツク』は、ペイトン市にあるもっと大きいスタジオで番組のビデオを撮って、こちらに送ってもらってっているんだ。今ちょうどその録画を流しているところだけど、そんなわけで、おうちでは番組を見ることができるんだよ。でも、その録画を流しているあいだに、地元の天気予報の生番組の準備をしているんだ。どんなふうに天気予報をやっているか、スタジオに見に行こう。」


生徒たちがスタジオに入ると、青いスクリーンの前にひとりの女性がいるのに気づく。

ライト「あと30分したら、ここにいるコールさんが、うしろにある青いスクリーンのあちこちを指して、天気の話をすることになってるんだ。みんなに今見えているのは、何も書いていない青いスクリーンだけなんだけど、でも、こっちのテレビ画面で見ると、別のものが見えるよ。見てごらん。」

カーラ「わぁ、天気図だわ。しかもコールさんは天気図の前に立ってる!」

コール「その通りよ、カーラ。みんながおうちのテレビで実際に見ているのがこれなの。今みんなに見えているこの天気図は、今朝8時の、州内のこの地域のものよ。私たちは、いまジョーンズタウンにいるわよね。ここ、私たちから見て南に、アクセルロッド湖、北西にはブルーヒルズがあるわ。ペイトン市は北東よ。」

カーラ「ぺイトン市の隣にある丸で囲んだ文字と、ジョーンズタウンとぺイトン市の間にある黒い三角のついた線はなんですか?」

コール「この線は『寒冷前線』と言って、丸で囲んた‘R’は雨を表しているの。今朝、ぺイトン市では雨が降っていたのよ。」

カーラ「なるほど。じゃあ、丸で囲んだ ‘C’は「曇り」の意味でしょう?」

コール「うまい考えね、カーラ、でも違うの。それについてはあとで話すわね。」

ボビー「こっちでもこれから雨が降りますか? 」

コール「たぶんね。というのも、風が北東から吹いていて、寒冷前線が今晩までにはアクセルロッド湖を越えて来そうですからね。もし雨が降らなかったとしても、ジョーンズタウンはこれから寒くなるわ。」

ボビー「ジョーンズタウンの上にある丸印は何のことなんですか?」

コール「それは晴れを表す記号よ。今朝みなさんが来たときには、空は晴れていたでしょう? もし曇っていたならね、カーラ、この記号は中が塗りつぶされていて大きな黒いボールみたいになっていたの。さて、例の寒冷前線は、今もこちらに向かつて移動しており、数時間後には曇りか、場合によっては雨になるでしょう。」

2023/11/02

■ こわすつくる - ペン先って錆びるんですか - 1


「つけペン」を使うと、鈍ったペン先がどんどん溜まる話を、8/24 にしました。

 金属リサイクルごみに出すことによって捨てるのですが、その前に、これを使って、ちょっと確かめてみたいことが。

「万年筆が書けなくなる症状」のうち、インクに由来する「固着」「詰まる」症状のせいで、書けなくなった経験は、ここ50年ほど定期的にあります。半世紀近くも前の中学高校時代には、洗ったのに、漬けたのに、回復しない、もうだめだ、と思って見限ったものが何本かあります。「しばらく使っていなかったから不調なんだ」「内部がゴミやホコリや錆びで詰まったんだ」などと漠然と思いました。

 物理や化学を学んだハズの後の大学生以降も、その知識を、現実生活(書けなくなった万年筆)に適用してみようだなんて思いも寄らない話です。別に万年筆でなくても、たとえば、「ポカリスエットやアクエリアスを冷凍庫に入れてもなかなか凍らない。おかしい。ペットボトルに水を入れて冷凍庫に入れたらすぐ凍るのに」「スパゲッティをゆでようと思って、鍋に水と塩を入れて、がんがん加熱してるのに、今日はなかなか煮立たない。おかしい。ふだん同じ量のやかんの水はすぐ煮立つのに」ってのが、どちらも、混合物の沸点上昇凝固点降下現象という化学の最初の知識だなんて、やはり思いも寄らない話で、「なんでだろうな、焦っているからそう感じるだけか」ってなわけです。明日からは、湯が沸騰してから塩を入れようかな。

 ウェブサイトでゴマンと拝見する万年筆に詳しいようすの先達の皆さんのアドバイスから学び知るところによると、「1) 万年筆のドライアップには気をつけよ。染料インクだけなら、ドライアップしても、水やぬるま湯にひと晩つけておけば回復するが、顔料や古典は、ドライアップさせたら回復不能。また、2) 使うインクには気をつけよ。インク同士を混ぜてはならない。化学変化が起きて詰まるかもしれない」。

「万年筆が書けなくなる症状」のうち、インクに由来する「固着」「詰まる」症状の類型は、大きく2種類;1) 乾燥、2) 変質、ということなんですか。

  1)は、水分が蒸発して粘性が上がり、固体(固形成分)がペン芯やペン先など流路に固着して、液体(インク)の流動を阻害するという意味なんでしょうか。

  2)は、その化学変化ってナンなの、新たな生成物はナニなの。

 などと、上級者の方々のウェブサイトを拝見するたびに興味がわくのですが、詰まる物理的メカニズムや具体的な化合物混合物や化学的機序を教示してくれる説明に、なかなか出会えずにいます。

 ま、疑問は果てしないとして、手もとにある捨てるだけの鉄製ペン先なら、書けなくなる症状のうちの1つ、「インクのせいで錆びる」のかどうか、簡単に判別できそうです。もっとも、高額な万年筆ならペン先は"ひどすぎる借金"のおかげで錆びないんだけど。

 鉄ペンなら、表面に防錆加工はしているけれど、使ってすり減ったらどうでしょう。また、インクによって錆びかたが違うのですか。悪者の没食子インクが顔料などと一緒にさらに悪者になるのですか...。つけペンのペン先をいろんなインクに漬けて放置してみましょう...。どう試してみましょうか。

2023/11/01

■ まなぶ - 鉛筆"Hi-Uni-10B"と万年筆インク"強色"をつかって - 英単語の例文をかく-1


また今日から、7月に続いて、英単語集の例文を書いて、鉛筆とインクの減り具合を実感してみたいと思います。

 鉛筆は、新品の三菱鉛筆「Hi-Uni 10B」を6本、ポケットシャープナーで削り、開始します。

 万年筆インクは、新品の、パイロット万年筆の水性顔料インキ「強色(つわいろ)30ml 黒」「同 ブルーブラック」の2本から、インクを同時に2本の空(から)カートリッジに入れ、それを、パイロット万年筆 742 (S)に挿して書き始めます。

 鉛筆と万年筆とで、それぞれ英文を50文ずつ、計100の例文、単語数にして約1500語を、筆記体で書き始めます。

 使う英単語集は、7月のものと同じ(2100語=2100の例文)、書き進む量も同じです。これで少しは減り具合の比較を客観視できると期待します。

---...---...---

 さて、今日の分の100文(001番~100番)を書き終えて、感じたのは;

1). 鉛筆は、かなり尖らせてスタート。芯の減りは速く、例文を10文(150語程度)書いたら、もう太くて書きづらいです。1本あたり1日10文150語の使用で続けましょう。

2). 初めて使ったインク「強色」の黒は、使い慣れているプラチナ万年筆製「カーボンブラック」と比べて、滑らかさは遜色ないかそれを上回るかもしれません。色の黒さと滑らかさの点で、太字万年筆だからこそハッキリ実感できるのですが、同じパイロット製の定番品である水性染料インクの黒を大きく上回ります。

3). 同じく初めての「強色」のブルーブラックは、同じパイロット製の定番品である水性染料インク「ブルーブラック」と比べると、青の色合いとしては、染料の方が明るいです。強色は、より黒みがかった紺色で、深みがあって、書いた直後はごくうっすらと緑がかっている気がします。この点で、おなじパイロット製の水性染料インク「色彩雫-月夜」と相通じるニュアンスがあります。

 以上の1)も2)も3)も、比較対照したこれまで経験のある品よりも、大いに気に入りました。特別に高級なお買い物をしてうきうきしているって状況じゃないけれど、良い品質のものを使っている感触と充実感に満たされます。明日からまた少しずつ淡々と書きこなしていきたいと思います。