2023/11/19

■ なおす - 砥石を砥ぐ

 修正砥石(上)で凹面に摩耗した砥石(下)を研磨中

「刃を砥ぐ」のではなくて、「砥石を砥ぐ」ことにします。

 砥石は、使っているうちに、表面が摩耗して凹面形状になっていきます。少しでもそうなっちゃったら、刃がまともに砥げないか、砥ぐ効率が顕著に落ちます。たまにフラットに修正しなくては。

 方法としては、コンクリートやアスファルトになすりつけるのが一番手近な解決法ですが、妙な体勢で力をかけるので、うまく平面にならなかったりうっかり割ったりします。すべての世帯で包丁は使っているでしょう。みんなどうしているのかなぁと、いつも思います。

 春に実家整理をした際に、砥石が7,8個出てきました。ほとんどが、ホコリ・カビ・蜘蛛の巣・土だらけで、もう使えないような、割れたり小判型な、小さい石コロになっちゃったりしていました。

 でも、本来、砥石は貴重で高価なものです。わが家でも代々捨てていなかったのではないかと思われます。もしかしたらこの7,8個は先祖代々の石かもしれず、丸くて小さいものが祖先の誰かが使ってきた天然砥石かもしれません。日本の伝統技能である刃物 ー 刀剣甲冑から包丁、果ては津軽塗や輪島塗にいたるまで、地元に純良な砥石があってこそ花開いた文化なはず...など、ゴミみたいなわが家の砥石から、話がエラい大風呂敷になりました。とはいえ、私の技術では天然砥石も小さい砥石も使いこなせません。といって全部まとめて捨てるには忍びないので、ひとまず、うち3本ほどかろうじて直方体らしき形状を維持したものを、拾い上げておいたのでした。

 研ぐ人により、湾曲のしかたには特徴があります。3本のうち、もっとも古く角が面取りされてまってしまっているような個体は、砥ぐ際に気を遣っていたようで、弧のRが大きく均等に湾曲しています。父が使ったものだと思います。比較的新しい2本(といってもカビ・土だらけですが)は、正面正中に縦長に置いたとしてその右辺奥側が、放物線頂点のような凹面弧の急な落ち込みが、不規則に、しかも両面にあります。母だと思います(下の画像)。本来は私が砥いであげるべきでしょう。へぇオマエならウマイのか? というのは置いといて、...心にちくりとささる棘となりました。


 上の画像は、砥ぐ前の湾曲しているようす。砥石面に曲尺を当て(最も手前と最も奥はピタリと接触しています)、画面左からLEDライトの光を照射しています。もしも平面ならば、画像の中央部から(縦の筋状の)光は漏れないはず。盛大に湾曲しています。

 画像右に見える「修正砥石」を使って、1時間弱かけて、砥石の両面を砥ぎ出しました。下の画像。すこしマシになりました。


■ あと2本、もっとやっかいなのが...ということはあと2時間以上...。き、今日はここまでにします(;--A