2023/11/02

■ こわすつくる - ペン先って錆びるんですか - 1


「つけペン」を使うと、鈍ったペン先がどんどん溜まる話を、8/24 にしました。

 金属リサイクルごみに出すことによって捨てるのですが、その前に、これを使って、ちょっと確かめてみたいことが。

「万年筆が書けなくなる症状」のうち、インクに由来する「固着」「詰まる」症状のせいで、書けなくなった経験は、ここ50年ほど定期的にあります。半世紀近くも前の中学高校時代には、洗ったのに、漬けたのに、回復しない、もうだめだ、と思って見限ったものが何本かあります。「しばらく使っていなかったから不調なんだ」「内部がゴミやホコリや錆びで詰まったんだ」などと漠然と思いました。

 物理や化学を学んだハズの後の大学生以降も、その知識を、現実生活(書けなくなった万年筆)に適用してみようだなんて思いも寄らない話です。別に万年筆でなくても、たとえば、「ポカリスエットやアクエリアスを冷凍庫に入れてもなかなか凍らない。おかしい。ペットボトルに水を入れて冷凍庫に入れたらすぐ凍るのに」「スパゲッティをゆでようと思って、鍋に水と塩を入れて、がんがん加熱してるのに、今日はなかなか煮立たない。おかしい。ふだん同じ量のやかんの水はすぐ煮立つのに」ってのが、どちらも、混合物の沸点上昇凝固点降下現象という化学の最初の知識だなんて、やはり思いも寄らない話で、「なんでだろうな、焦っているからそう感じるだけか」ってなわけです。明日からは、湯が沸騰してから塩を入れようかな。

 ウェブサイトでゴマンと拝見する万年筆に詳しいようすの先達の皆さんのアドバイスから学び知るところによると、「1) 万年筆のドライアップには気をつけよ。染料インクだけなら、ドライアップしても、水やぬるま湯にひと晩つけておけば回復するが、顔料や古典は、ドライアップさせたら回復不能。また、2) 使うインクには気をつけよ。インク同士を混ぜてはならない。化学変化が起きて詰まるかもしれない」。

「万年筆が書けなくなる症状」のうち、インクに由来する「固着」「詰まる」症状の類型は、大きく2種類;1) 乾燥、2) 変質、ということなんですか。

  1)は、水分が蒸発して粘性が上がり、固体(固形成分)がペン芯やペン先など流路に固着して、液体(インク)の流動を阻害するという意味なんでしょうか。

  2)は、その化学変化ってナンなの、新たな生成物はナニなの。

 などと、上級者の方々のウェブサイトを拝見するたびに興味がわくのですが、詰まる物理的メカニズムや具体的な化合物混合物や化学的機序を教示してくれる説明に、なかなか出会えずにいます。

 ま、疑問は果てしないとして、手もとにある捨てるだけの鉄製ペン先なら、書けなくなる症状のうちの1つ、「インクのせいで錆びる」のかどうか、簡単に判別できそうです。もっとも、高額な万年筆ならペン先は"ひどすぎる借金"のおかげで錆びないんだけど。

 鉄ペンなら、表面に防錆加工はしているけれど、使ってすり減ったらどうでしょう。また、インクによって錆びかたが違うのですか。悪者の没食子インクが顔料などと一緒にさらに悪者になるのですか...。つけペンのペン先をいろんなインクに漬けて放置してみましょう...。どう試してみましょうか。