■ 古本を、よく買います。
■ 買いたい本や書籍のジャンルがあったら、かつては、その本、またはそのジャンルの複数の本を、1) 書店で立ち読みする、2) 古本屋を巡る、という楽しみがありました。特に都心に住んでいた頃は、神田古本屋街まで、自転車で10分程度の距離でしたので、大きな楽しみの一つでした。
■ もちろん神田古本屋街のどの店舗もこの業界最強のプロですから、例えば文学・哲学・音楽・美術などの芸術系の本は、"絶版だけど目当てのもの"は、向こうも客の需要を把握していて、定価より高かったりします。著者・訳者・表現・口調・それらへの論評・活字・印刷・紙質・装丁などが、一体となって、新たな市場価格として値付けされ直した芸術作品ですネ!
■ 逆に、法律・経済系、また、ジャンルを問わず岩波やレクラム以外の文庫本など、二束三文。有斐閣法律叢書も早川ミステリーも、店頭ワゴンにホコリや落ち葉と一緒にゴチャゴチャに投ぜられ、よりどり3冊99円の世界です。
■ 泣いた記憶や笑った記憶はいくつもあるのですが、うち一つを。イギリス文学W.S.モーム(Maugham)の"南洋もの"といわれるジャンルの、とあるタイトル。初期の中野好夫訳の中には、定価100円程度だったものが、100倍程度の価格になっていた(いる)ものがあり(今も)、どこの店を巡っても同水準でした。が、とある、文学とは関係ない系の本屋の店先のワゴンセールに、"3冊99円"のうちの1冊として紛れ込んでいたことがあり、ギョっと目が飛び出したことがあります。心臓が高鳴り、汗が出て、他にどうでもよい2冊と組んで、辺りをキョロキョロ見回して、暗い店内のレジのおじさんに、震える手で差し出したときの、あの緊張感!
■ ま、私にとっては古き良き時代。今でも神田古本屋街は、玉石混交、夢いっぱいの"美しい蓮の花咲く泥沼"であることを願っています。
■ "書店"という業態。地方の中小書店は絶滅の危機に瀕しているとのこと。私も個人的にここ数十年、身に覚えがあります...(🔗
6/5)。
■ 今の境遇で、欲しい本があったとしても、上記の"1) 立ち読み, 2) 古本屋"はもはや不可能。図書館という手もありますが、こちらの欲求とあちらの蔵書が合わない限界は早いうえに、"書き込み不可", "返却期限"という大きな制約があります。
■ たとえば、あなたや私が、むかし学んだ語学や専門分野の知識を、また少し学び直したいとして、どの本を買えばいいか、中身を確認してから買うことができない以上、あてずっぽうで"売上No.1"と称する新本を買っても、難しすぎた、簡単すぎた、語り口が/説明の仕方が/レイアウトが自分には合わない、という事態になりそうです。
■ 私のここ十数年の手は、"ネットで古本、しかも同じタイトルで複数あったら、1円とか10円とか100円の最低価格のもの。汚損も辞さない。送料はたいてい300円から。計500円程度で。"という作戦です。
■ 受け取って、1日で目を通して、付き合えそうなら、翌日以降、時間をかけて読みます。逆に、"あぁ失敗..."ということも往々にしてあります。が、金額が低いし、まったく使えないということはないので、損害は小さいと思うことにします。
■ ここ2,3日で受け取った3冊の本。新本価格の15%程度の出費で済んだ、と言えばくだらない自慢ですが、しょせんどれも版は古いです。内容的には、こちらのレベルや需要にマッチしていることを確認。知識としてはじゅうぶん使えます。ステップアップしたければ、次に新本を買えばよいだけです。
■ 今回、困ったのは、うち2冊のタバコ臭。
■ 何度も経験済みなので、私の脱臭法のレシピは、次の2点です;
■ 1) 1日かけて天日干し。これでだいぶ消えます。
■ 2) どこのご家庭にもある輸入シェービングソープのサンプル品を、本とともに、ジッパ付き密閉袋に入れ、数日間は、本を袋から出し入れする。
■ 何度も袋から出し入れしているうちに、数日で、元のにおいは気にならなくなります。
■ 1)だけ何日かかけてやってもだいぶ効果的ですが、脱臭し切れず、かすかに、しかしずっと、元のにおいは残り続けます。
■ いきなり2)だけでもよいのですが、ほのかに香りが混ざり合って第3の妙な香りになりがちですので、1)を先にすべきです。
■ "コーヒー豆の出がらしや重曹をお茶パックに入れて"も試しましたが、効果があまり感じられず、コーヒーは乾燥させるのが思いのほかたいへん、しかも空気中の湿気により、お茶パックのような不織布に、コーヒーは色の滲出、重曹は溶融(融解)があり、書籍と同居させたい気分になりません。
■ "牛乳石鹸®"などの固形の浴用石けんでじゅうぶんなのですが、シェービングソープのサンプル品だと、容器入りだし、サイズ的にもベストなことと、香りが抜群に良いがゆえに「袋を開きたい」という気分になることから、私はそうしています。