■ スパッツ(ゲイター/ゲートル)のジッパーの雪詰まりです。
■ 登山ギアで言う"スパッツ(ゲイター)"とは、ひざ下から足首までをナイロンの防水布で覆い、シューズの上部から雪や小石が入り込むのを防ぐ装備です。藪をあるくときの蛇・蜘蛛・ダニ・鋭利な葉や小枝除けにも好適です。
■ 購入したのは、記録によると、2012年1月16日購入のようです。2年後にも同種製品を購入し、2セット交互に使い回していますので、こんにちまで使えています。
■ トラブルが起きるのは、決まって、氷点下・吹雪の日です。
■ シューズ履き替え後のスパッツ装着時に、ジッパーを締め上げるためにまず上の図の"箱"に"蝶棒"を差し込みますが、その際、"箱"の中に詰まった雪を、"蝶棒"で押し込み、圧縮させてしまい、箱の中で氷のように固まらせてしまいます。結果、蝶棒がじゅうぶん差し込まれないまま、永遠にジッパーを閉めることができない事態に。
■ ジッパーは精密なので、1mmでも、いや0.5mmでも差込が甘いと閉まりません。
■ 氷点下、雪が吹きすさぶ中で、詰まった氷雪が融けることはありません。
■ 解決するには、箱の中の氷片を、細い針状のものでかき出すことですが、吹雪の氷点下でそんな器用な道具や動作などありえません。
■ ベストなのは...、ちょっと憚られるのですが、箱を口の中に含んで、体温とだ液で暖めて溶かすことです。その後、フッと強く息を吹きかけます。ほぼ100%解決します。
■ ただし、改めて装着する時、足元にて作業する性質であることから、再度、雪詰まりを起こしてしまいがちです。
■ 症状と解決策をココに書いてしまえば、あなたは、「なんだ、大したこっちゃないな」と思っていらっしゃる通りです。が、このトラブルは、経験がなければ、なぜジッパーが閉まらないのか、見た目ではわからず、視界も悪く寒さつのる吹雪の中で、焦って意地になって力づくで、やり直せばやり直すほど、何度も無駄に強く押し込み、かえって雪を強く詰め込み、氷片を圧縮するだけで、事態は悪化する一方です。結果、吹雪の中で泣いてしまうしかないです。もしそれが冬山でのできごとだったなら...。
■ と、今日で、ここまで、5日間、5種類ほどの「モンベルのジッパートラブル」の実体験を書き連ねてきました。どの一つも、冬山で初めて遭遇したら、ただちに生命の危険に瀕すると思います。
■ これらの点で、モンベルの工業デザイナーの中には甘い坊やたちもいるんだなという気もします。そう恨みながら冬山で意識が戻らなくなった人がいないことを祈っています。
■ ジッパー1つを例に挙げてもこうですので、たとえ低山であっても、ウェアやギアは、スノーフィールドでじゅうぶんに経験を積んで、使いこなしたいものだと、つくづく思います。
■ とは言え、モンベル製品を貶めるつもりは全くないです。かの製品は、あらゆる同業他社の製品と比較して、「安全」「慎重」な設計に重心を置いているのは、70年代から使用して、じゅうぶんに実感しています。これからも信頼して選び続け、経験を重ねて、自分にとって最適な使い方を見つけ出して、感謝して使うつもりです。