2024/02/12

■ まなぶ - - オーディオ機器の話 3 - 大学入試センター試験2014年本試験 英語第6問


昨日の続きです。昨日は...

(1)...1段落目;オーディオ機器の黎明...蓄音機の発明と改良は、1) より気軽に、2) より良い音質で、の2つの目標を追求してきた。

(2)...2段落目;うち、1)の方向性に位置づけられるのは、1920年代の自動車搭載ラジオ、1980年代の歩きながら音楽をヘッドフォンで聞くという発想の実用化と普及がある。

(3)...3段落目;また、2)の方向性に位置づけられるのは、音質を追求することだ。可能な限りナマの演奏に近いHi-Fiなサウンドをめざす努力をしている。

…といった内容でした。

 今日は、第4段落~第6段落(最後)まで訳してみます;

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(4) 今日、電器店に足を踏み入れると、消費者は、驚くほど多様なオーディオ技術を目の当たりにする。 ポータブル・システムを探している人は、何百という種類の、色、形、サイズの、さまざまなイヤホン、ヘッドホン、デジタル・プレーヤーの中から選べる。 他方、オーディオファイル(audiophiles)、つまりハイファイであることを最優先する音楽ファン、のため、店内の別の売り場では、大型のスピーカー、CD プレーヤー、アンプなどの重量級コンポーネントを展示しており、往々にしてこれらは高額である。 音楽ファンたちは、これらすべてのテクノロジーとこれほど多くの選択肢に直面して、多くの場合、自分のリスニングのニーズに適した機器を調べたり決めたりするのに、多大な時間を費やしてしまうこともしばしばだ。

(5) 機器を購入した後ですらなお、オーディオ技術の進歩のせいで、消費者の注意は、音楽そのものからどんどん離れ続ける。 ポータブル・システムの利便性のおかげで、公園でのジョギングや通勤など、他のことをしながら音楽を聴くことができるのだが、このような状況では、音楽の一部が、周囲の騒音に埋もれてしまい、リスナーが音楽に集中することは困難になることもある。 また別の場合、オーディオファイルたちは、最高水準のハイファイを達成しようとして、自分のコンポーネントの組み合わせを試したり調整するのに、かなりの時間と労力を費やしてしまいがちだ。

(6) これほどまでに多くのテクノロジーが利用できるようになると、実際に音楽を聴くことが、二の次の問題にされてしまうように感じることもありうる。 お気に入りの録音を電車に持ち込んで通勤できるのは幸せなことだが、自分の注意がどこか他のところにあるときに音楽を聞いていると、音楽の力の多くは散逸してしまう。 同様に、高品質の機器を利用できるのは良いことだが、完璧なハイファイを達成しようと腐心しすぎるあまり、テクノロジー自体が、自分と音楽との間に割って入るような事態となる。 音楽は驚くべき力強い芸術形式である。 最も大切なことは、おそらく、座って、聞こえてくるモノを、味わう時間をつくることだ。 エジソンやその他の発明者の才能のおかげで、音楽の美しさがこれまで以上に身近になった。 手を休め、真剣に耳を傾けるかどうか...、それは私たち次第なのだ。

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 (4), (5), (6)とも、1) 利便性 = ポータブル・オーディオ、2) 高音質 = 重量級オーディオ機器、の2つの方向が、技術進歩により進化しているのは歓迎するものの、この2方向に、私たち消費者が振り回され、「音楽を聴く」という本来の目的が失われていく恐れがある点、本来の目的に立ち返るよう促してくれます。

 一方の、1) ポータブル・オーディオを身につけて、聞き流しながら何か別なことをするのは、散漫だし、場合によっては危険だったりします。この事例は、今となっては誰でも納得できる場面を思い浮かべられそうですね。

 他方の、2) 重量級の高級オーディオ機器は、あまりなじみのない世界という人が多数派でしょう。

  CD1枚を自宅備え付けのステレオ・システムで聴く場合を想定しましょう。① プレーヤーのトレーでCD盤を受け、回す機構 → ② CD盤からデジタル信号を読み取る機構 → ③ 信号をアナログ信号に変換する機構 → ④ アナログ電気信号を物理的運動エネルギーに増幅する機構 → ⑤ 振動させ音波に変換して再生する機構 → ヒトの耳の鼓膜に到達

  通常の普及価格帯製品は、①と②と③が1つの箱に入って「CDプレーヤー」。④が「アンプ」。⑤が「スピーカー」。

  他方、高級品の泥沼は...、トップ画像は、私が十数年前にちょっとよろめいて(?)所有した機器ですが、ま、マニアの方々から見れば、ヒヨッコのようなかわいい方でしょう。でも、私にとっては泥沼に「はまる」レベルですらなく、それ以前に、沼を発見して怖気づいてさっさと逃げ帰ったレベルでしょうか。

  高級品は、①&②と、③が別の筐体(箱)で、かつ③が左右チャンネルに別れたハコの場合もあります。④の「アンプ」は、CDプレーヤー以外の入力機器などをセレクトし、信号の大きさ(音量など)を制御する「コントロールアンプ(④-1)」と、その制御後の信号を増幅する「パワーアンプ(④-2)」に、筐体が分かれます。多くのパワーアンプは、左右別の筐体です(④-2Rと④-2L)。⑤のスピーカーは、ステレオなので左右別の筐体ですが、大画面テレビ附属のシアターシステムなど、スピーカーのハコだけでが5個以上だったりします。ステレオの場合は、正面に丸い「ユニット」が、高音・低音の2ツついてますよね(2way)。場合によっては加えて中音ユニット(3way)、さらに周波数を細かく分断した4way, 5wayなどもありえます。高音ユニットと低音ユニットを、別々のパワーアンプから電源供給して駆動する強者もいます。この時点で、CD1枚聴くのに、ハコが最低9個以上のものものしさに囲まれることになります...。①から⑤までの筐体は、どのハコの1ツをとっても、大人一人で持ち上げるのは困難なものがほとんどで、どの1ツも、お車1台分の価格で...買え...ないかもしれません...。また、これを繋ぐケーブルやコード(つまり電線)も、やはりお車数台分で...どうかな...。またこのレベルではもはや、おうち建築やおクルマ修理や医療や企業会計と同様、自分一人で何とかするのはムリで、専門家の介入が必要です。参考までに、下↓の画像は、上で挙げた「パワーアンプ(④-2Rと④-2L)」のみの画像と価格...。趣味の世界の話ですので、埒外の私たちがコメントする意味はないのですが...。

Phiwave Audio 2008年10月 - https://www.phileweb.com/news/audio/200810/03/8393.html

  本文で “audiophile”という単語を使っている時点で、執筆者自身がオーディオマニアだと思います。でも、必要なのは、何かしながら音楽を聴いたり、どんな機械がイイとかつべこべ考えるよりも、まずはきちんと音楽を聴こうじゃないか、という、あたりまえの結論となりました。この文のタイトルがそもそも『- - 聴く際の利便性と音質 - 他に優先事項はあるだろうか? - -』ですが、利便性よりも音質よりも、最優先事項は「音楽を聴くこと」だと言いたいんですね。第1段落の最終文『音楽そのものを、これらすべてのテクノロジーの中に埋もれさせてしまわないようにすることが重要である。』 また、第6段落の最終文『最も大切なことは、座って、聞こえてくるモノを、味わう時間をつくることだ。 たちどまって、真剣に耳を傾けるかどうか、私たち次第だ』というのが結論だったんですネ。あたりまえの結論ではあれど、私には耳が痛い話で、執筆者の見識に諫められて、大いに反省し納得しました。音楽にいちばん感動した原体験って、もしかして、中学1年生の時の「カセットラジカセ」だったりします。

2024/02/11

■ まなぶ - オーディオ機器の話 2 - 大学入試センター試験2014年本試験 英語第6問


昨日の続きです。昨日の話は...

(1)...1段落目;オーディオ機器の黎明...蓄音機の発明と改良は、1) より気軽に、2) より良い音質で、の2つの目標を追求してきた。

(2)...2段落目;うち、1)の方向性に位置づけられるのは、1920年代の自動車搭載ラジオ、1980年代の歩きながら音楽をヘッドフォンで聞くという発想の実用化と普及がある。

…といった内容でした。

 思うのですが、上のうち、前者は、真空管の普及により、素人でもラジオが製作できるようになり、1920年代にMotorola-#5T71ラジオキットが、自動車所有者個人が取り付けるカーラジオとして初めて発売されたことを指すでしょう。また、後者は、1979年のソニー-ウォークマンのことだと思います。

 どうでもいい話ですが、私も、1983年に初めてウォークマンを買いました。もちろん再生できるのはカセットテープのみです。ヘッドフォンからの音漏れも盛大でしたが、この頃流行ったのは、山手線や中央線に大音量でドンシャリ再生した状態でさっそうと乗り込んでくる...。そんな、まるで自分のテーマ音楽とともに現れる若者がカッコいい時代でした...。今となっては「音漏れ公害」扱いですネ(笑。私はそんな派手なコトは怖くてできませんでしたが、初めてウォークマンを装着して、人通りのない夜の通りに足を踏み出し、しかもその時聴いたのはバッハの『マニフィカト』(BWV 243)だったりしたので、そのE♭管のノンヴァルヴのナチュラル・トランペットの超高音にビックリ仰天、地に足がつかない状態で歩いていた、あの日を覚えています。

 今日は、第3段落を。

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(3) 音楽の楽しみに影響を与えるもう 1 つの要素は、そのサウンド・クオリティ(音質)である。 1950 年代、「原音忠実 (Hi Fidelity)」、または短縮した「ハイファイ(Hi-Fi)」という用語は、企業によって一般的に使用されていた。その目的は、可能な限り高い品質のサウンドの再生を提供するレコーディングやオーディオ機器を宣伝するためだった。 フィデリティとは、忠実性を意味し、ナマの演奏にできるだけ近い音楽を、録音し再生することを指す。 理想的には、録音された交響曲を、目を閉じて聴くと、あたかもコンサートホールにいるかのように感じられるということだ。 1950 年代以降の技術の進歩により、リスナーがハイファイの目標に、きわめて近づいていけることができるような、最新の録音技術と再生機器が誕生した。

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 “50年代の技術進歩”とは、ステレオ録音技術の普及のことだと思います。

 ステレオ再生は、19世紀後半(1881年)のパリ万博以降、業界では認識されていたようですが、一般に普及した技術となったのはその70年後の1950年代というわけですね。その間は試行錯誤の状態だったようです。だのに、その1950年代からさらに70年後の現代、じゅうぶんに成熟したハイファイ技術に私でも手軽に近づくことができるのは、なんと良い時代に生まれたことでしょうか。そのおかげで、人生変わったり、生きる希望を得たり、などということがあり得たのではないかと思うと、このオーディオの歴史をチョっと顧みただけで、今に生きている生かされているという感謝と感激が、ひとしおです。

2024/02/10

■ まなぶ - 「オーディオ機器」を話題にした入試問題 1 - 大学入試センター試験2014年本試験 英語第6問


コンシューマ(民生)用オーディオ機器の歴史と位置づけ、みたいな話が、大学入試センター試験の英語に出題されたことがあります。

 おそらく日本人の英語。出題者は、...以下は、まるっきり外野の憶測にすぎないのですが...、おそらく、センター試験英語科の統括責任的立場の方、2008年頃から2020年(最後のセンター試験)まですべての本試験の最終問第6問と追試験の第6問の多くを担当(すべて論説文)、試験問題の、本文(英文700語弱)も設問も、自ら執筆、趣味はオーディオと音楽と読書(小説)...、ではないかしら...と思っています。

 この方の個人的趣味の話題(音楽と小説)に、センター試験受験生50万人がお付き合い申し上げたことが、少なくとも、本試験で3回程度(音楽)、追試験で2回程度(小説)の複数年度にわたります。

 文体は、...私ごときが申し上げる立場にないところ...、十数年のすべての出題にわたって、高3段階での履修レベルを考慮に入れた上で、表現・使用単語・言い回し・一貫した論理構成など、推敲に推敲を重ねた練られた模範的な英文です。

 この担当者の方の出題になった2008年のセンター試験以来、当第6問には、段落番号がふられるようになりました。今日は、2014年本試験第6問のうちの最初の2段落だけ、幼い和訳を試みてみようかな...(というのも、MS-Wordの契約を終了して以来(1/20ご参照)、Libre WriterもGoogle Documentも、ベタ打ちしてすぐの細かい編集(個人のクセです)の、使い勝手に慣れず、泣いている、という、個人的事情...)。

 オーディオ機器を取り上げた英文で、まるっきりこの方の個人的趣味 執筆者の知見あふれる話題です。スマホとヘッドフォンでおキラクに音楽をエンジョイなさる18歳の受験生が読んでも、オーディオにはウルサい 偏屈な 一家言あるオーディオ・マニアのオジサン 諸兄がお読みになっても、それなりに楽しめる話ではないかと...(Libre Writerの操作に指が慣れず、ミスタッチが多くお見苦しい点お詫び申し上げます)。

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 - - 聴く際の利便性と音質 - 他に優先事項はあるのだろうか? - -

(1) 1877 年、トーマス・エジソンは、音を録音し、再生できる新たな装置である『蓄音機』を発明した。人々は、初めて、フルオーケストラの演奏を、自宅にいながらにして楽しめるようになった。 数年後、ベル研究所は、新たな蓄音機を開発した。それは、より良い音質を提供する、つまり、声と楽器が、よりクリアに、より現実に近く響くものだった。 これらの初期の製品は、オーディオ技術の開発における2 つの主たる焦点を象徴している;すなわち、「カンタンに聴けること」、「聞こえてくる音楽のサウンド・クォリティを向上させること」である。 両方の分野において、長年にわたるその進歩は目覚ましいものがある。しかし、音楽そのものを、これらすべてのテクノロジーの中に埋もれさせてしまわないようにすることが重要である。

(2) 蓄音機のおかげで、音楽を聴くことは、はるかに便利になった。だが、それはほんの始まりにすぎなかった。 1920 年代に、カーラジオの出現によって、路上でも音楽を楽しめるようになった。 1980 年代、ポータブル・オーディオへの関心が、現実のものになり始めた。というのも、通りを歩きながらヘッドフォンで音楽を楽しめるパーソナル・ミュージック・プレーヤーが開発されたのだった。 近ごろでは、小さなデジタルプレーヤーに何百ものアルバムを入れて持ち歩き、ごく小さなイヤフォンでアルバムを聴くことができる。

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 「オーディオ機器」のそもそもの黎明期の話からスタートですネ。『蓄音機』は、かつてのイギリスEMI = HMV (His Master’s Voice)のトレードマーク、亡き主人の生前の声に驚いてじっと耳を傾けるニッパー犬が印象的です(トップ画像は私の1986年頃のHMV盤LP)。

 この2段落では、オーディオ機器とは、

1) 演奏会場に行かなくても音楽が「良い音で」聴ける...「ナマの音を追求する」

2) 音楽を、自分の好きな時に好きな所に「持ち運べる」...「聴く利便性を追求する」

の、2つの軸を求めて、進化しつつある話が始まります。