■ 昨日の続きです。昨日の話は...
(1)...1段落目;オーディオ機器の黎明...蓄音機の発明と改良は、1) より気軽に、2) より良い音質で、の2つの目標を追求してきた。
(2)...2段落目;うち、1)の方向性に位置づけられるのは、1920年代の自動車搭載ラジオ、1980年代の歩きながら音楽をヘッドフォンで聞くという発想の実用化と普及がある。
…といった内容でした。
■ 思うのですが、上のうち、前者は、真空管の普及により、素人でもラジオが製作できるようになり、1920年代にMotorola-#5T71ラジオキットが、自動車所有者個人が取り付けるカーラジオとして初めて発売されたことを指すでしょう。また、後者は、1979年のソニー-ウォークマンのことだと思います。
■ どうでもいい話ですが、私も、1983年に初めてウォークマンを買いました。もちろん再生できるのはカセットテープのみです。ヘッドフォンからの音漏れも盛大でしたが、この頃流行ったのは、山手線や中央線に大音量でドンシャリ再生した状態でさっそうと乗り込んでくる...。そんな、まるで自分のテーマ音楽とともに現れる若者がカッコいい時代でした...。今となっては「音漏れ公害」扱いですネ(笑。私はそんな派手なコトは怖くてできませんでしたが、初めてウォークマンを装着して、人通りのない夜の通りに足を踏み出し、しかもその時聴いたのはバッハの『マニフィカト』(BWV 243)だったりしたので、そのE♭管のノンヴァルヴのナチュラル・トランペットの超高音にビックリ仰天、地に足がつかない状態で歩いていた、あの日を覚えています。
■ 今日は、第3段落を。
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(3) 音楽の楽しみに影響を与えるもう 1 つの要素は、そのサウンド・クオリティ(音質)である。 1950 年代、「原音忠実 (Hi Fidelity)」、または短縮した「ハイファイ(Hi-Fi)」という用語は、企業によって一般的に使用されていた。その目的は、可能な限り高い品質のサウンドの再生を提供するレコーディングやオーディオ機器を宣伝するためだった。 フィデリティとは、忠実性を意味し、ナマの演奏にできるだけ近い音楽を、録音し再生することを指す。 理想的には、録音された交響曲を、目を閉じて聴くと、あたかもコンサートホールにいるかのように感じられるということだ。 1950 年代以降の技術の進歩により、リスナーがハイファイの目標に、きわめて近づいていけることができるような、最新の録音技術と再生機器が誕生した。
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■ “50年代の技術進歩”とは、ステレオ録音技術の普及のことだと思います。
■ ステレオ再生は、19世紀後半(1881年)のパリ万博以降、業界では認識されていたようですが、一般に普及した技術となったのはその70年後の1950年代というわけですね。その間は試行錯誤の状態だったようです。だのに、その1950年代からさらに70年後の現代、じゅうぶんに成熟したハイファイ技術に私でも手軽に近づくことができるのは、なんと良い時代に生まれたことでしょうか。そのおかげで、人生変わったり、生きる希望を得たり、などということがあり得たのではないかと思うと、このオーディオの歴史をチョっと顧みただけで、今に生きている生かされているという感謝と感激が、ひとしおです。