2025/02/12

■ なおす ■ モンベルのジッパートラブル 5

雪が詰まって引き上げられなくなったスライダー

スパッツ(ゲイター/ゲートル)のジッパーの雪詰まりです。

 登山ギアで言う"スパッツ(ゲイター)"とは、ひざ下から足首までをナイロンの防水布で覆い、シューズの上部から雪や小石が入り込むのを防ぐ装備です。藪をあるくときの蛇・蜘蛛・ダニ・鋭利な葉や小枝除けにも好適です。

montbell: Gore-Tex Alpine Spats (2012)

 購入したのは、記録によると、2012年1月16日購入のようです。2年後にも同種製品を購入し、2セット交互に使い回していますので、こんにちまで使えています。

 トラブルが起きるのは、決まって、氷点下・吹雪の日です。

YKK Website 

 シューズ履き替え後のスパッツ装着時に、ジッパーを締め上げるためにまず上の図の"箱"に"蝶棒"を差し込みますが、その際、"箱"の中に詰まった雪を、"蝶棒"で押し込み、圧縮させてしまい、箱の中で氷のように固まらせてしまいます。結果、蝶棒がじゅうぶん差し込まれないまま、永遠にジッパーを閉めることができない事態に。

 ジッパーは精密なので、1mmでも、いや0.5mmでも差込が甘いと閉まりません。

 氷点下、雪が吹きすさぶ中で、詰まった氷雪が融けることはありません。

 解決するには、箱の中の氷片を、細い針状のものでかき出すことですが、吹雪の氷点下でそんな器用な道具や動作などありえません。

 ベストなのは...、ちょっと憚られるのですが、箱を口の中に含んで、体温とだ液で暖めて溶かすことです。その後、フッと強く息を吹きかけます。ほぼ100%解決します。

 ただし、改めて装着する時、足元にて作業する性質であることから、再度、雪詰まりを起こしてしまいがちです。

 症状と解決策をココに書いてしまえば、あなたは、「なんだ、大したこっちゃないな」と思っていらっしゃる通りです。が、このトラブルは、経験がなければ、なぜジッパーが閉まらないのか、見た目ではわからず、視界も悪く寒さつのる吹雪の中で、焦って意地になって力づくで、やり直せばやり直すほど、何度も無駄に強く押し込み、かえって雪を強く詰め込み、氷片を圧縮するだけで、事態は悪化する一方です。結果、吹雪の中で泣いてしまうしかないです。もしそれが冬山でのできごとだったなら...。

 と、今日で、ここまで、5日間、5種類ほどの「モンベルのジッパートラブル」の実体験を書き連ねてきました。どの一つも、冬山で初めて遭遇したら、ただちに生命の危険に瀕すると思います。

 これらの点で、モンベルの工業デザイナーの中には甘い坊やたちもいるんだなという気もします。そう恨みながら冬山で意識が戻らなくなった人がいないことを祈っています。

 ジッパー1つを例に挙げてもこうですので、たとえ低山であっても、ウェアやギアは、スノーフィールドでじゅうぶんに経験を積んで、使いこなしたいものだと、つくづく思います。

 とは言え、モンベル製品を貶めるつもりは全くないです。かの製品は、あらゆる同業他社の製品と比較して、「安全」「慎重」な設計に重心を置いているのは、70年代から使用して、じゅうぶんに実感しています。これからも信頼して選び続け、経験を重ねて、自分にとって最適な使い方を見つけ出して、感謝して使うつもりです。

2025/02/11

■ なおす ■ モンベルのジッパートラブル 4

中央のジッパーは、金属製の"引手"が破損脱落し、金属リングに

スライダーの"引手"が破損・脱落する故障です。金属製なのに...。

YKK Websiteより

 山岳ガイド用マウンテンパーカー(🔗2023/12/27)、2013年に購入し、酷使してもう12年目。生地や縫製には何の劣化も傷みもなく、吹雪でも豪雨でも強風でも、まるで頑丈なテントの中にいるような信頼感があります。

 引手の代わりに、金属リングを入れています。

 下のシューズの画像は、モンベルではないです。サロモン(SALOMON)のオントラック競技用のクロカンスキーシューズです。

 冬の新雪の野山の散策には、その使用する細板とともに、薄く硬くキツくて、向かないシューズなのですが、競技用の細板だと、ルートを折り返して自分が刻んだトラックを辿って帰る際に、スピードが非常に速くて快感です。

 用途の性質上、きわめてタイトなので、脱着に不便だし、休憩して楽しみたい気分にはなれず、先を急ごうとするタイプなのですが、結局、多用しています。これはもう20年ほどたっています。数年前に生活環境が変わって、特に除雪作業の辛苦から解放された昨シーズン以降、登板回数が飛躍的に増えました。今日もイマこれ、使用し、その後乾燥しているところです。

 この引手は、何とプラスチック製でした。いかにも貧弱でした。YKK製ではありません。予想通り、2,3年で折損し脱落ました。早々にリングにしました。


 二重リングだと、つかみやすく、どんな角度で引いても速くてスムーズです。そのまま使うとチャラチャラと音がするのですが、もう競技に出ないし、新雪の野山の散策の際には必ずスパッツ(ゲイター)を着用し、内部にピタリと収納されるので、音はしません。

 いずれも、さらに長持ちしてくれればと願って使っています。

2025/02/10

■ なおす ■ モンベルのジッパートラブル 3


ジッパーそのもののトラブルではないのですが、ジッパーのスライダーについている"ジッパープル"。

 ジッパーの引手(ジッパー各部の名称については🔗2/8)に取り付けて、引き手を掴みやすくします。

 十数年ほど前までは、クニャという感触の柔らかい樹脂で先端プラグがやや長めでした。ロゴが凸状になっていて、ひっかかりもよく、特に手袋をした状態でジッパーを操作するときなど、とても使いやすかったです。モンベル製品のうち、ウェア類に取り付けられていました。


 が、劣化も速かった。


 現行品は、硬いプラスチックで先端プラグが小さく、感触がイマイチでつかみづらくなりました(トップ画像)。また、バッグなどのギヤ類と共用するようになったようです。

 "ジッパープル"は、劣化したら交換すればよいだけなのですがネ。補修パーツとしても、何種類かのサイズや色で販売されているし、他社製でもよいし、また自分で素材や形状を工夫して取り付けてもよいのですが...。

 でも、劣化してちぎれたときの感触はやはりいやなものがあります。でも以前の柔らかい長いタイプがいいんだけどな...。