■ 薄曇りで暑いのですが、乾いた風が吹いています。三陸沖の太平洋上に低気圧が遠ざかっていて、今日は、この内陸の田園地帯にも、ヤマセと混じったようないかにも海風という、強い東寄りの爽やかな風を感じます。
■ 先週このサイトに海の光景を載せました (🔗 → 6/17 )。実は1年間ウェブログを続けて、初めての「海の画像」。海は、内陸平野部の農耕民族のエリアに生まれ育った(?)私には、その光景、音、香りが、一体となって、漠然とした大きな開放感と大きな恐怖感があります。
■ 初夏から夏にかけては、少し親し気な表情があるので、積極的に浜辺の風に吹かれてみたい気がします。
■ 先週も感銘を受けましたので、今日も海の景色のある休日の雰囲気を味わってみたいです。
■ 昼過ぎに山岳部を越えて1時間半、陸奥湾沿岸の町蟹田に出ました。25年ほど前に1度来たことがあるだけのなじみのないエリアです。
■ 海岸線に沿う細い国道を北上すれば、津軽半島北端の竜飛岬です。今日はそこまでいかなくても、沿岸部の漁港のある小さな町をいくつかゆっくり通り抜けて帰りたいと思います。
■ 平舘(たいらだて)漁港の北側に、江戸風情のある浜辺の松並木の旧道があります。その一角に、灯台があります。
■ 灯台は、私には、なじみのないエキゾチックな非現実の構造物です。いきなり別世界感に包まれます。
■ この灯台は、120年前の創建です。北海道全域や青森といった、津軽海峡から日本海にかけては、明治後期に、対ロシア全面戦争を視野に、国家的事業として大掛かりに近代的な灯台が次々と設置されていきました。
■ 灯台の敷地に、霧笛、正確には、「霧信号所」がありました。私は、人間の理性や知恵を信頼できるようなこういう装置には、心躍るものを感じます(cf. 🔗→ 1/1 )。当地のものは、明治36年(1903年;日露戦争前年)の、日本初のダイヤフラム(電磁力)式ホーンです。
■ 陸地に備え付けられる霧信号所は、18世紀以来の300年近くにわたり、霧砲、鐘、蒸気汽笛、圧縮空気汽笛など多様な発明がなされましたが、この20年間で電波航法システム、レーダー、GPSなど航海計器がいきなり新たなパラダイムに昇華したので、これら300年の歴史を誇る航路標識システムが一瞬にして退役し、霧笛を聴くことは生涯不可能になりました。
■ もしも現場で現実に聞いたら、さぞ...恐怖のどん底に陥るでしょう、私などは。ちょっと残念。
■ 遠い憧憬のまなざしで、想像しつつ眺め、後にしました。