2023/10/17

■ まなぶ - 一方的にしゃべる - 青森県立高校入試 - 2009 (H21) 年 - 社会 第4問 (歴史)

青森県立高校入試 2009(H21)-社会第4問

私の地元の県立高校の入試問題を読んで楽しんでみます。なお、私は中高生のいる家族でもなく学校関係者や業界関係者でもありません。末端の庶民が外野席からお気楽に眺めるだけです。

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下の文章は,さおりさんとしんごくんが江戸時代以降の日本と外国とのかかわりについて話し合ったものである。次の(1)~(5)に答えなさい。(18点)


さおり:江戸時代の日本は鎖国をしていたけれど,18世紀後半にはロシア船が来航し, 19世紀になると,アメリカやイギリスの船も日本に近づくようになったのよね。

しんご:19世紀中ごろには,日米和親条約を,数年後には,アメリカやイギリスなど5か国と修好通商条約も結んだよ。

さおり:明治時代になると,政府は,右大臣岩倉具視を全権大使として欧米に使節団を派遣したわ。この使節団の経験をもとに日本の近代化がおし進められたのよ。

しんご:日本は第一次世界大戦後に設立された国際連盟には最初から加盟し,中心的役割を果たす国の一つになったんだ。

さおり:昭和時代には,世界恐慌や第二次世界大戦があったりしたけれど,ようやく復興して今のようになったのね。


 あのさ、設問は、『さおりさんとしんごくんが江戸時代以降の日本と外国とのかかわりについて話し合った』って書いてあるんですけれど、この会話、二人は自分の主張を一方的にしゃべるだけで、『話し合った』な状態に、全然なってない気がするんですけど…。

 青森県教育委員会が県立高校生に求める理想の生徒像って、こうなのですね...。

2023/10/16

■ きく - シベリウス 弦楽四重奏曲二短調 Op56 「内なる声」- グヮルネリ弦楽四重奏団 / テンペラ弦楽四重奏団


あなたが幼いころから慣れ親しんだの地元の郷土料理を、東京のお店で食べてみたことはありますか。あるいは、あなたのお母さんの得意の手料理を、レシピをまねて他人が作ったとして...。

津軽のいなか者の私は、東京で暮らしていたときに一度、『津軽郷土料理の店』に人に連れて行ってもらったことがあります。

マンガ『美味しんぼ』の第100巻が『味めぐり-青森編』でした。県のお役人の案内で次々と県内を巡り、あらかじめ地元名士や婦人会に大掛かりに用意させておいた郷土料理を次々と食べ歩き、都内のホテルで青森郷土料理どうしを対決させる...。私の地元の料理の内容を見ると...。

 感想。「ど、どれも、ち、ちがう...」

 東京の「郷土料理の店」やマンガ『美味しんぼ』で供出されるのは、良く言うと「洗練されて」います。良い材料を用いて、誰の口にも合う、しかもちょっと特別で高級な仕上がり、というベクトルに振って調理を仕上げているのではないでしょうか。東京のような大都会で営業する以上は、そのような付加価値があっても、納得がゆきます。否定すべきものじゃなくて、「東京における各地の郷土料理」という分野も、また一つの新しい解釈だし、洗練された文化になっていると思います。

 しかし、それは、昭和のいなかの庶民が幼少時に毎日口にしたはずの家庭料理とは、かけ離れています。明らかに劣った材料を使って、その家の人の口にしか合わないようなえぐみがあるはずです。

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 北欧(フィンランド)の作曲家シベリウスは、交響曲には中学校の頃聞いた2番以来、大学の頃に聴いたバーンスタイン/ヴィーンフィル(DG)の「スーパーロマンチシズム解釈」に至るまで、ずっと親しんでいたものの、その印象が災いして、弦楽四重奏曲は、何十年もこの1曲しか知らず、しかも「暗くて地味」というイメージを持っていて、積極的には食指が動きませんでした。

 とはいえ、どの弦楽四重奏団も、その演奏は美しいです。うち、グヮルネリSQの1989年録音盤(Philips 246-286-2;画像右)を。

 ジャケットは、年配のアメリカ人紳士の写真です。レパートリーも広くディスコグラフィも多く、40年にもわたって同じメンバーで国際的に活躍した尊敬すべき弦楽四重奏団でした。技術的に確実で、その演奏は、年配紳士の写真にとらわれてはいけないのですが、溌溂として軽やか。アメリカの弦楽四重奏団というイメージから寄せる期待に応えてくれます。

 他方、テンペラ弦楽四重奏団(画像左)は、まったく知らなかったのですが、BISレーベルから2007年頃に『The Sibelius Edition』という組み物が発売されて、これを機に、弦楽四重奏曲も聴いてみたいと思い、購入しました (BIS CD-1903/5)。第1巻-室内楽1は、CD6枚セットですが、うち、シベリウスによって完成された「弦楽四重奏曲」はCD3枚に渡るたった4曲しかなかったので、あ、そうなのか、と理解しました。うち3曲は、このセットで初めて触れました。いずれもこのフィンランドの四重奏団の演奏です。

 CDセットの1枚目の嬰ホ長調の冒頭を、一聴して仰天しました、彼女らの演奏には。天衣無縫。水を得た魚。水しぶきが次々と飛んでくるようです。

 このフレッシュさは、フィンランド人のシベリウスの曲が、フィンランド人の彼女らにとっては、自家薬籠中の十八番、毎日曲芸のように振る中華鍋でつくられた、ここでなくてはできない料理、というたぐいの見事さです。

 今は、「暗くて地味」というイメージを抱いてしまっていた二短調の、緩徐楽章(Adagio di molto)を見てみましょう。

 全体に、緩徐楽章でありながらリズムの揺れが激しく、拍子記号が数小節ごとに変更され、ご覧の連符のリズムの抑揚もめまぐるしいです。こんな楽譜は、一人で演奏して前に進むのも困難なところ、合奏で進むのはよほど高い技能を要するでしょう。

※ 楽譜 1

■ 楽譜1のこの箇所は、四声部それぞれが、たゆたう波のように浮いては沈む全体の雰囲気を代表して一部抜き出してみました。グヮルネリSQは、楽譜には忠実で、マルカート記号やクレシェンド記号も、全体としてバランスよく、安心して身を委ねられるような規則正しさで、すっきり軽やかに進みます。下手をすれば、やすらかさは眠さに交代しそうです。

 テンペラSQは...。ゆったりと、いやねっとりと、彫りが深く、夢見るように、4本の弦がうねります。1stVnの高音はシャッキリ鋭く、Vaの中音域は太くじっくりとした擦弦音の触覚や振動が、まさに手で触るかのようです。

※ 楽譜 2

 楽譜2の後半、この楽章のクライマックスですが、テヌート付きのクレシェンドで上行しながら、p (ピアノ) < (クレシェンド)  f (フォルテ) と、極端な遠近がつけられた箇所。グヮルネリSQは、遠い憧憬を思い出すかのように、手前に増幅せずに、はるか遠くに焦点を合わせるかのような音作りです。

 対して、テンペラSQは、いっさい迷いのない強いボウイングで、点のようなミクロのp (ピアノ) から、ぐぅ~ッと拡大したf (フォルテ)に、一気に視野いっぱいに音像を広げます。

 グヮルネリは、国際的に活躍し、世界中に舌の(耳の?)肥えた客を抱える弦楽四重奏団です。対して、テンペラSQの立ち位置は、地元の作曲家、地元の演奏、地元の聴衆。こってりとしたえぐみさえある演奏で、このシベリウスは、他の演奏家にはとうてい近づけない世界ではないか、と、いつも、充足感に満ちて大きなため息をつきます。

2023/10/15

■ なおす - 万年筆の洗浄-2-洗浄剤を使って

※ 洗浄液の中で溶出する顔料インク

昨日の続きです。手もとの万年筆のうち、最もよく使うのは、太字系の4,5本です。メンテナンスの統一性から、すべてカートリッジ式の、パイロット社製品のみです(ペン種は、Broad, Broad-Broad, Signature, Coarse)。

毎回の水洗いに加え、年に1,2回程度、プラチナ社製の「万年筆洗浄剤」を使って漬け置き洗いをします。加えて、年に1回程度、パイロット本社PDG(ペンドクターグループ)に送って、洗浄・ギャップ調整・流量調整などを有料でお願いします。大げさですか。実は以下のように、インクの使い方に問題があるとわかっていながら使うからです。

インクのうち、最もよく使うのは、

・古典インク...ペリカン社製4001のブルーブラック

・顔料インク...プラチナ社製の黒(カーボンブラック)と青(ピグメント)

いずれも、上の万年筆に入れ替えて使っています。...危険な使い方です。

なお、中字&細字系万年筆は、使用頻度が少なく、また、パイロット社製かペリカン社製の染料インクのみで使い回しているので、ふだんの水洗いのみで、あとは何の手間も心配もしないことにしています。

 同じペンで、顔料インクと古典(没食子)インクを入れ替えて使っていると、昨日書いた水圧洗浄?の作業を毎回必ずはさんでいるとはいえ、半年程度で、インクフローが渋く細くなるのを実感します。ちょっとくらい筆跡が細くなってきても、どうせ太字ばっかり使っているんだし、毎回よく洗っているんだし...と自分に言い聞かせてはいましたが、あるときやはり、何か化学的なソリューションを試みた方が良いかもと思いました。

世紀の大発見アスコルビン酸洗浄もよさそうです。が、今の私の場合は、それにより還元される没食子酸鉄成分以外に、顔料インク対策も必要です。

 アスコルビン酸は、1) 顔料粒子の除去が、化学的機序として見込めないこと、2) 使う分量(ごく微小)に比して買う際の分量(けっこうまとまった量)との差が大きく、保存方法と費用の点でアンバランスな感じがあること(数か月かけて飲んでしまえば健康に良いのかもしれないんですが...。美白なお肌づくりと没食子インクのみ使う万年筆の定期的お手入れを両立させたい方に向いているでしょう...か?...)の2点の懸念。

したがって、この際、古典インクも顔料インクもずっと商品ラインナップにあるプラチナ社が推奨する万年筆洗浄専用品の「洗浄剤」を使うことにした、という経緯がありました。

この洗浄液を使う直前に、いつもどおりきれいに洗っているのに(昨日の画像のカクノみたいに)、すぐ洗浄液に漬けてみたら、数分程度すれば上のトップ画像の黄色枠で囲んだ箇所の通り、顔料系のインク(カーボンブラック)が、ペン芯のフィンの間から、ゆ~らゆらと筋状に、水に溶出してくるのが目視できます。ふだんの水や水圧だけの手入れだと、完全には除去できていないという事実が納得できる瞬間です。

ってなわけで、定期的に、このプラチナ社製のクリーナで漬け置き洗いをしています。

ところで、このプラチナ社製の洗浄液は、成分表示がなく、謎の液体です。原液は、視覚感知では, 無色透明、嗅覚感知では, 常温で無臭, 温めた容器に滴下するとほのかに有臭、触覚感知では, スプーンにとって触ると指にヌルヌル感があります。

※ 左;原液 / 右;10倍希釈溶液

シェービングソープや石けんを自作製造する際に使っている万能試験紙で、以前にも確認したことがあるのですが、今日は、備忘録として、画像にしておきます。原液のpHを視認判別すると、ほぼpH値11濃紺くらい(画像左)。40℃のぬるま湯を用意して室温のステンレス製計量カップ内で指示通り10倍に希釈します(原液10ml→水溶液100ml)。と、9濃緑くらい(画像右)でしょうか。ヌルヌル感や、ごくほのかな硫黄臭から、何か硫化水素イオン化した溶液を想起しますが、しかしペン先金属表面への侵襲を配慮しているだろうと考えると、それとは違う物質でしょう。

 アルカリ度だけからすれば、これも石けん自作に使っている水酸化ナトリウム(固体(粉末))や、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キッチンハイター)など、何か身の回りに代用品がありそうです。が、侵襲性や濃度調整の滴定値を考えると、素人としては、万年筆を恙なく使い続けられるよう、おとなしく万年筆洗浄専用品を購入して指示に従うことにしています。

 24時間の漬け置き後は、よくすすいで乾燥させてまたインクを通して使い始めると、もう明らかに、インクフローの良さの点で、洗浄後の効果を実感できます。プラチナ社製の専用品を使い続ける理由は、ココです。