2023/10/09

■ なおす - 起床時間

※ 左;the façade of the church at the Monte Cassino (Wikipedia (En))   /  右;モンテ=カシノ修道院とその日課の例 -『流れ図世界史図録ヒストリカ』(山川出版社)

「朝1:30頃に起きるだなんて、不健康。」と助言をいただいたことが何度か...。「早起きも行き過ぎると不健康」「昼に寝て夜に起きる夜型に近い」「ちゃんと明るくなってから、起きて活動しなくては」など...。ご心配をいただいて、感謝しています。

 きっかけはこうです。冬期に、除雪車がこの狭い小路にも夜半過ぎに来て、わが車庫や倉庫の出入口が硬い雪に閉じ込められます。膝や腰の高さくらいまであります。夜が明けると近所の人たちが起き出して除雪作業をし、排雪溝に短時間に集中して雪を捨てます。と、すぐに詰まって捨てられなくなります。通学時間になると、この狭い道を、徒歩の小学生と高校生が、また彼らの間をすり抜けるように抜け道として使う自動車が往来し、危なくて、道幅を少しでも広くするために、朝暗いうちに早く除雪してしまいたい、という、人に先んじようとするさもしい根性があったというわけです。

 この作業は、ここ約25年間ほど、早朝真っ暗な時間帯、起き抜けに、氷点下で、いきなり心拍数が200近くなるような激しい運動だったりしたます。手押しの除雪機を得て少しはマシですがラクラクになったとは思いません。実家や倉庫など3棟分を4時間くらいかけていました。夜が明けて明るくなると、ぐったりと疲労して...。これは人生の消耗そのもので、たしかに不健康でした。

 去年あたりから、無雪期も、除雪車の来るようなこの時間帯に起きて、机に向かって何か簡単な作業をすると、チョッと気分が良いことに気づきました。「夜は勉強の効率が悪いけど、朝は、起きれさえすれば、むしろ良いかもしれない...」とは、十代の頃から気づいていました。特に夜を楽しめる人間でもないことだし、若者みたいに9時間もぐっすり眠れなくなっているし、いっそさっさと眠って早起きして...という気持ちがあるかもしれません。冬は、ほんとうについ半年前までの25年間ずっと、命の危険を感じているのですが、除雪作業がなければ、むしろ、いいじゃないか、これで、などと感じるようになりました。

 ホントに(生理学的に客観的に)いいのかはよくわからないです。朝型夜型や睡眠時間は人による、時期による、暮らす環境による-緯度や日照時間や温度や湿度、と、一般論はない気もします。(一般社団法人 日本睡眠学会-サマータイム制度に関する特別委員会『サマータイム - 健康に与える影響 (2012年3月)』)

 病院の入院患者は?...;夜9時前後には消灯、朝6時前後には起こされます。十代後半以降の若者が夜9時に消灯されたら眠れるかというと難しいでしょうが、入院しちゃったら、自分のからだを治すためですから、従うしかない...冬至の頃は、6時という起床時間は真っ暗ですが、起きなくちゃだめですよね。それがからだの生体リズムに合うということでしょうか。

 僧院のお坊さんたちは?...;カトリックの修道院のうち、最古の存在は、諸説あれど、ベネディクト会のモンテカッシーノ寺院(6世紀)としましょう(画像)。ここ1,500年間来、今でも、起床後の朝課(Matins)は朝(?)1:00~2:00頃からです。とはいえ、高緯度地方にあるヨーロッパは、その南部に位置するローマですら、緯度は札幌と同じですから、英仏独の緯度になると、通勤通学の時間はまだ真っ暗だったり、その半年後は朝1時すぎればもう真昼の明るさだったりしますので、主の降誕(冬至の頃)か洗礼者聖ヨハネの祝日頃(夏至の頃)かで、修道院聖務日課の時間帯は、年間を通じて多少のズレはありそうです。でもたいていの修道会はこれに続く朝3時台までが、修道院の一般的な起床時間でしょう。日本でも、仏僧の僧院や(高野山大学などの)学僧院も似たような起床時間帯ではないかと思います。

 上の図の右の、高校「世界史」の副教材を見ると、この修道院は、夕方5:15に就寝、明け方2:00に起床となっています。

 だからそのストイックな修道僧の時間帯が末端の庶民のお前にも合うと言えるのか、というのが、自分の疑問。ちょっと似てるんだけどな...。夏至の頃に夕方5時に就寝するのは...、ち、ちょっと...惹かれたりします...え(;^^?...い、いや、もう少し、試したり調べたりしてみたいと思います。

2023/10/08

■ まなぶ - ミミの初めてのデート [3] 大学入試センター試験 - 英語1999本試験第6問

※ 月齢カレンダー (Website; かわうそ@暦さん作成)の月齢出没計算より

ここ2日ほど読んだこのお話の、今日は、揚げ足を取ってみましょう...え? (;^^A

1) 登場人物の名前なんですが...;

“Mimi” という西洋人の名前は、わりと一般的です。それにまとわりつくイメージとしては、「庶民の娘」という役回りです。私には真っ先に思い浮かぶのが、アンリ・ミュルジェールの小説『ボヘミアン生活の情景』、というよりむしろプッチーニの『ラ・ボエーム』の方が通りがいいですか。パリの下町の裏通りのアパルトマンの屋根裏部屋で、クリスマスイヴの晩なのに寒さに震えて明かりもなく、貧しいお針子仕事で肺結核を病んでいて...。

“Robert Rover”という名前ですが、英語な気もしますが、 “Robert Rovère” とフランス語表記も可能です。いずれにしてもいかにも絵に描いたような貴族風な名前です、 “武者小路実篤” “近衛文麿”みたいな...。

話を初めて読み始めようとしたときには、なんだか、身分違いの恋、庶民の娘が貴族にもてあそばれる話...みたいなうんざり感が一瞬脳裏をよぎりました...、す、すみません。18歳の人がマジメに大学入試に向かうセンター試験にそんな話はないですよね。

ついでに “Montcalm street”という地名も、 “Montcalme”(モンキャルム)というフランス語風です。

いかにも西洋のおしゃれな雰囲気を、わざわざ鼻につくように、意図的に設定してくれているってぇわけですね。

2) リンバーガ―チーズについては;

もう10/5以来ここ数日でお話を味わうにはじゅうぶんな知識をお互い得ましたね。「誰だよ、ここで靴を脱いだヤツは?」と思わず問いただしたくなるようなかおり...。

ご参考までに、Wikipedia (Jn)によると;「リンバーガーやその他ウォッシュタイプのチーズを発酵させるために使われるバクテリアは Brevibacterium linens(リネンス菌)であるが、このバクテリアは人間の皮膚表面に生息し、人間の体臭の原因の一つとなっている。このバクテリアが使われる理由としては、リンバーガーを作ったリンブルフの修道士が、もともとは足で踏みつけることによって牛乳とカード(凝乳)を混ぜていたのが起源であろうと言われている。」

3) 赤毛の少年;

「誰だよ、...?」と問い咎めた登場人物は、「一人の赤毛の少年 (a readheaded boy)」でした。

小説・お芝居・ドラマなどの西洋のお話では、登場人物として、1) 主役 = 金髪(ブロンド), 2) 脇役 = 黒髪・栗毛 (ブルネット), 3) ライバルや悪役 = 赤毛、という図式があります。「そんなのは偏見に基づく人種差別だ」などと今どきは苦情がでそうです。まぁ昔からのステレオタイプな価値観ですので、あきらめましょう。ってことは、貴族的な存在のロバートは金髪(ブロンド)に違いない...(;^^

4) 三日月;

お話のハッピーな最後、「ミミとロバートがダンスホールを出たとき、通りは静まり返っていた。彼らは合わせて踊った曲をハミングしながら、身を寄せ合って歩いた。いまや月は高く、薄切りにしたようで、楽しげな小舟のように、彼らの頭の上に揺れていた。(The moon was high now, sliced thin, riding like a cheerful boat above them.)」

ダンスホールを出ると通りは静まり返ってたってことは、かなり夜も更けた時間? このお月様って、高いところにあるってことは、南中付近? で、かつ、薄くスライスしたような形で頭上に揺れているってことは、三日月のブランコみたいなチョいとロマンチックな...? 

天体観測的見地からは、ありえない事態となってしまいました...(;^^。10/3にいっしょに見た通り、三日月は夜更けには観測できないハズ...。画像は、今月2023年10月の、下弦の月から朔を経て上弦の月までの月齢出没時刻ですが、今月10日の「二十六日月」と17日の「三日月」の南中時刻は、それぞれ朝8:14と昼過ぎ1:09…。通りが静まり返る時間帯どころか、朝の通勤通学時と昼休み終了後にまた動き出す時間帯です。(...ココがまさに揚げ足取りという所以である...←なんてウルサいヤツ)

でも、三日月って、あっけらかんとまん丸い満月よりも、いかにも「神秘的な夜」のイメージがありますね。

 でも、ステキなお話でしたね!

■ 今晩10/8の月は、月齢23の有明の月。月の出は23:49に東北東59°。南中は朝6:49。天気は晴れ。今晩も明るい「三日月」を仰ぐことができそうです。

2023/10/07

■ まなぶ - ミミの初めてのデート [2];大学入試センター試験-英語1999本試験第6問


Limburger Cheese - Wikipedia(En)

お好みでしたら、上の設問をクリックするとチョっと拡大します。

本文に引き続いて、今日は、設問の一部を解いてみましょう。

 昨日のお話の中で、ロバートの心理的変化としては;

 ・ チーズのにおいが気になる(ロバートの最初の発言「そのチーズ、におうね」) 

→・ 次第に彼は、 “ミミが、においのことをひどく気に病んでいる”と、気づく。

→・ “ミミの気持ちを考え、チーズのことには触れないことにし、チーズが存在しないものとしてふるまうと心に決める”...この点を読み取らなくちゃ、というお話だったんですね。


問4 Why did Mimi hold her breath when the redheaded boy asked Robert about the smell?

① She was afraid that Robert would mention the cheese.

② She was worried that Robert would look bored.

③ She feared that Robert would notice the terrible smell.

④ She couldn’t stand the smell of the cheese.


問4 赤毛の少年がにおいのことをロバートに尋ねた際、なぜミミは、息を止めたのですか。

…検討しましょう;

① 彼女は、ロバートが、(自分が持っている)チーズのことに触れるだろうと思って、不安になった。

…コレでいきましょう。

② 彼女は、ロバートがうんざりしたように見えるだろうと、心配した。

…彼がどう見えるかをミミが心配するというのは、ちょっと妙な気がします。

③ 彼女は、ロバートが(チーズの)ひどいにおいに気づくのを恐れていた。

…あのぅ、とっくに気づいているんですけど...。

④ 彼女は、チーズのにおいに耐えられなかった。

…あまりの悪臭に、息を止めてガマンしてたんですね...。


問5 When Mimi heard Robert say “What cheese?”, how did she probably feel?

① She was happy because she realized that Robert really did care about her.

② She was afraid she wouldn’t be able to have a date with Robert again.

③ She was pleased because Robert had forgotten about the cheese.

④ She was happy because Robert wanted to know what type of cheese it was.


問5 ロバートが「何のチーズのこと?」と言ったのを聞いたとき、ミミはおそらくどう感じましたか?

…検討しましょう;

① 彼女は、ロバートが本当に自分のことを気遣ってくれているとわかって、うれしかった。

…コレでいきましょう。

② 彼女は、ロバートとはもう二度とデートなんてできないだろうと思った。

…このひと言からそこまで読み取るのはムリではないかな。それとも彼はミミとの今日の出来事全ての記憶を消し去るつもりだとでも...(;^^?

③ 彼女は、ロバートがチーズのことなんか忘れ去っていたので、喜んだ。

…お気楽なおまぬけカップルで、それなりに幸せそうです...。

④ 彼女は、ロバートが、それはどんな種類のチーズなのか知りたがったので、うれしかった。

…チーズソムリエ検定試験を受験なさるお二人ですか...。その後マニアな蘊蓄で盛り上がったにちがいありません...。


B 本文の内容と合っているものを、①~⑨から三つ選べ。

① It was the first time ever for Mimi to have a date.

② Mimi only reluctantly agreed to do the job for her mother.

③ Seeing Robert dancing with his eyes closed, Mimi felt uneasy.

④ Robert never complained about the cheese the whole evening.

⑤  Mimi washed her hands, but the smell still remained.

⑥ The redheaded boy thought the smell came from the shoes he found.

⑦ Robert explained to Mimi in a whisper why he had said he didn’t smell a thing.

⑧  Mimi’s mother didn’t like Robert, so she gave Mimi some Limburger cheese.

⑨ The moon looked exactly like a slice of Limburger cheese.


検討しましょう;

① ミミがデートするのは、これが初めてだった。

…コレを選びます。

② ミミはほんとにいやいやながら母の代わりにその仕事を引き受けた。

…コレも選びます。

③ ロバートが目を閉じて踊っているのを見て、ミミは気持ちがそわそわした。

…コレもOKです。

④ ロバートはこの晩ずっと、チーズのことには何も不満を言わなかった。

…上でロバートの心理変化について書いた通りです。

⑤ ミミは手を洗ったが、それでもにおいは残った。

…手を洗いたかったけど、ロバートがまっすぐダンスフロアの方へ連れて行ったのでした。

⑥ 赤毛の少年は、自分が見つけた靴からにおいが来ているんだと思った。

…脱ぎ捨てた靴、は存在しなかったです。リ、リンバーガーって、そんなふうなにおいなの...。

⑦ ロバートはミミに、なぜ自分が何もにおわないと言ったのかを、そっと説明した。

…特別なふうに微笑みかけてくれたけれど、自分の言動に関する解説なんてなかったです。

⑧ ミミの母はロバートのことが好きではなかった。そこで彼女はミミにリンバーガ―チーズを渡した。

…娘につく悪い虫に、リンバーガ―爆弾をお見舞いしてやろうかという特別軍事作戦ですね。

⑨ 月は、まさしく一切れのリンバーガ―チーズのように見えた。

…ミミは、においのせいで、もうノイローゼになって精神を病んで幻覚が見えているという、ホラーな結末の物語だったのですね...。

センター試験の出題者も、ずいぶん楽しんでお仕事をなさっているようすです...。