2025/06/18

■ まなぶ ■ 縄文期の石器


三内丸山遺跡の常設展と特別展(縄文草創期)の展示。こころ惹かれて、自分の存在を時間と空間に紐づける意識が遠のいていきます。


 宝石のギャラリーででもあるかのよう...。発掘・洗浄・接合・復元・実測・拓本・報告書作成・表示プレート・配置静置法・紫外線評価・照明...どの石や土製の展示物の、どの1片をも、三内丸山遺跡の常設展は、宝石のように美しく展示しています。どの博物館でもそうですが、気が遠くなる労力で、いま、5000年前の石や土の、2cmのカケラ、2mmの太古のゴミが、美しく再現されています。

ホントの宝石も
5000年の時間を越えて目の前に...

 大学受験の日本史(現在の共通テスト「日本史探求」/旧「日本史B」)を履修すると、大きな感動を呼ぶ知識群となるまずトップバッターは、何と言っても、石器時代の (それが縄文期草創期と重なるかは諸説あるものの)『黒曜石交易文化圏』ではないでしょうか。


 石器時代に日本列島付近に棲む"ヒト"は、現代人と何ら変わらない移動・航海・商取引を行っていたのみならず、この、猛烈に硬く鋭く、鱗片状に組織が破断する性質をもつ"黒曜石"ひとつのせいで、すでにユーラシア大陸とは分離していた島であるニッポン人の起源まで論争を起こします。

 その実物を目の前にして、感慨深いです。

 その原石。ひとかかえほどのサイズで、43kgだそうです。当時の人にとっては現代人にとっての"金塊"と"最新最強兵器"を同時に実現した貴重品でしょうか。注意書きにもドッキリ。


 狩猟用石槍ブレードの、黒光りしているはずの上の画像、いまいちニュアンスが伝わらないので、下に石匙なども。非常に鋭利に研ぎだしています...。



 特別展の石器群からもひとつ。あの大好きな海岸(🔗2024/7/1)に至る途中にある蟹田町の山側にある大平山元遺跡所蔵品です。これは縄文期という概念が始まりかけた頃の1万5千年程度前の石器(中央下は土器片)群...。


 その、小さくてぞっとするほど鋭利な工作物...。砥ぎ出したヒト。使ったヒト。1万年後になって、「コレ1万年も前のものだ」と認識して掘り出したヒト。復元したヒト。どのヒトも、時空を超えて、その想像を絶する存在感と能力に、こころをうたれずにはいられません。

 ついでに、チョっと"土器"を。不思議すぎる魅力で満ちあふれた"板状土偶"。