2024/03/24

■ まなぶ - 鳥の渡りを扱った入試問題 - 東北大学入試二次試験2011年 - 英語第1問 (2)


雁行 flight formation of geese;集団の先頭にいる個体には、最も大きな空気抵抗がかかり、短時間で体力を消耗するので、若い屈強な個体群が担当し、かつ、短時間スパンで先頭交替を繰り返します。集団後方は風の抵抗がなく、幼い個体や老いた個体。雁行によって集団全体が長距離を高速で安全に航行できます。なお、上のフリー画像は進行方向上下空間にV字に広がっているけど、リクツを無視していてヘンですネ。

自転車ロードレースのチームタイムトライアルでの雁行フォーメーション。主将(キャプテン)のタイムがチーム全体のタイムに反映されるので、スタートからラスト直前まで、チーム歩兵格が先頭交替して進み、主将格は常に後方で体力を温存し、最後に集団から射出されるようにラストスパートをします。(パリ・ニース2023;このクラシックレースもヨーロッパに春を告げる風物詩のイメージがあります)

昨日の続き。「鳥の渡りの不思議」のうちの、ナビゲーションの不思議。鳥は何を手がかりに、毎年数千kmも迷わずに移動するのでしょうか。昨日の話では、陸地の上空を飛行中であれば、視覚・嗅覚であるとのことでした。では、茫漠たる海上を飛行中なら? 視覚も嗅覚も役に立たないでしょう。他に何か手がかりはあるのでしょうか?

 続けて和訳してみます;

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(海洋上を飛ぶ鳥たちにとって、道しるべとなる手がかりは)「きわめて多い」...それが答えだ。 視覚的には、日中は太陽があり、夜は月と星がある。 鳥たちが、ある程度の時間感覚を持っていて、特定の時間に太陽や月がどこにあるはずか知っているのでない限り、これらを有効に活用するのは困難だ。が、鳥たちにはたしかに時間の感覚がある。

ヒトも天体を手がかりに航行するが、私たちはそれに関して素晴らしい科学を活用している。 19 世紀までは、航海士のスキルは、世界中の海軍で最も複雑な技術の 1 つであり、高く評価されていた。その後、危険にさらされた船員らは無線で自分の位置を知ることができるようになった。伝統的な長距離航海者は、自分の位置を把握するために、望遠鏡と海図、そして何ページにもわたる航海図を必要とし、それらの助けを借りることで、自分たちの位置を算出していた。 鳥たちは、飛行中に、これらすべてを頭の中で、脳の中で、行わなければならない。 この問題は、たとえば、魚を食べる海鳥の潜水行為について、鳥たちはいかにして常に適切なタイミングで羽を折りたたむのかにつき、議論する際に遭遇する問題と、考える上では同じである。 それぞれの場合において、計算は、いったん詳しく説明するとなると、非常に複雑だ。 しかし、おそらくは、鳥は翼を羽ばたかせているだけであり、数学に馴染んでいるわけではないので、詳しい解明などしていない。 彼らは、太陽、星、月から与えられる手がかりを、目的に合う行動のための指示に即座に変換する実践的なルールをいくつか持っているに違いない。

この場合も同様に、何かヒントを与えてくれるように思われる手がかりがある。 たとえば、多くの種類の鳥たちは、星の位置関係を活用していることが知られている。 ヒナ鳥たちは、生後数週間、巣にの中にいて夜空をよく見ている。が、その生後数週間が曇りがちだと、やや混乱しがちだ。 とはいえ、ヒナたちは、ヒトのアマチュア天文学者のように、個々の星座の学習、つまりオリオン座の見分け方や、頭に思い描いたおうし座の輪郭の辿り方などに時間を費やすわけではない。 夜が進むにつれて動かない部分に引かれているのだ。それが、北半球では北極星を意味する。 十分な時間をかけて眺めていると、夜が更けるにつれて、巨大なオリオン座や頭に思い描いたおうし座も含め、空の星はすべて、あたかも巨大な車輪の中心部分のように中央に位置する北極星の周りを回っているように見えることがわかる。いったんその巨大な中心部分を認識するようになれば、最も根本的な問題は解決する。 これができる生き物は北がどこにあるかを知っており、それ以外のことはすべて把握できる。 南半球にこれに相当するものがあるのかは不明だが、存在するのは間違いない。 空を飛ぶのに、天文学の詳細な知識は必要ないようだ。

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入試問題としての本文はココで終わりです。オリジナルの文には、さらに長い続きがありそうですね。設問は5問あり、うち2問は下線部和訳、2問は日本語で要約、1問は前置詞か接続詞の空所補充3箇所です。和訳と要約は、時間がかかりそうなやや難問な気がします。

 生まれたての小さなひな鳥が、広大な夜空を見つめて過ごす、その知識が生涯にわたる毎年数千kmの大洋や大陸間の渡りの海図となり天体星座盤となる...、だなんて、またここでも大きなスケールの話をまなんだ思いです。

2024/03/23

■ まなぶ - 鳥の渡りを扱った大学入試の英語 - 東北大学入試二次試験2011年 - 英語第1問


今日は、予報通り(3/13)、気温が10℃まで上がり、風も凪いで、昨日までとはがらりと雰囲気が異なるおだやかな昼となりました。明日はもっと春めいた良い天気になりそうです。昨日までは湖面にいた鳥たちが、今日は上空でさかんに声を掛け合って雁行フォーメーションのトレーニング中。

 「渡り鳥」には、その不思議さゆえに、大いに惹かれます。

 第1に、熱の産生です。子どもごころに、冬の湖面に浮かぶ小さなからだをみて、寒くないのかなと、見るたびに心配でした。(実は、近づくと巨大。オオハクチョウは全長1.6m、両翼開長は2.5mでヒトのサイズくらいある。雁もマガンは全長0.7mあまりで立ち上がればヒトの腰くらい。翼開長は1.6mくらいあります) 中学理科で恒温動物を学び、高校生物で生物の熱産生を学び、特に気になって意識した鳥類ですが、産出量と消費量はリアルタイムで均衡し、ゆとりがないことを知りました。同時に、生命維持に決定的な熱の保有を犠牲にしてまでも、捕食者たる四ツ足獣の侵入できないエリアを選ぶ過酷さを感じました。

 第2に、渡りの不思議さです。これも物心ついた頃から、

1) 冬の入りに、今日にも雪が降りそうな鉛色の空に、冬到来の声が聞こえます。え、もう来たの? と、寒々しい冬の到来を告げてくれるので気が重い思いをしました。

2) 他方で、今ちょうどこの時期3月中旬以降、田んぼに残雪と見間違う白鳥の大群、眼を向けるととその周辺に様々な種類の雁のさらに大群が見られ、しかもあちこちで多くの集団が飛行訓練をしてさまざまなフォーメーションで乱れ飛んでいます。湖面でみんなで大騒ぎしているのが真冬のさ中であるのに対して、上空からあのよく響く声が聞こえると、春の訪れ、にぎやかな皆さんが一斉に別れを告げる日の近づいたことを知ります。日差しが春めいたまだまだ冷たい風の朝、上空からあの声が聞こえ、見上げると、驚くような大群が、V字形やW字形を組んで、北帰行に旅立つのを目撃します。明るい暖かい陽射しと入り乱れて、切ない思い。思わず数千kmの旅路の無事を祈ってしまいます。

 第2の渡りの不思議さを細分すると;

第2の1、渡りの航続距離の長さ。

第2の2、航続中の雁行編隊飛行(フォーメーション)の秩序正しさ。

第2の3、渡り行動中の個体のエネルギーの産出量。

第2の4、渡りのナビゲーション。

いずれも中学時代頃から知り、高校になると刮目するようなスケールを学んで実感し、大学は文系でしたが、教養課程で「生態学-鳥の渡り」という講義を、たった2単位でしたが食いつくように聴きました(その際、上野動物園で観察実習があり、私は隣接する不忍池に雁を観察に行きました。人なれしていたので驚きました)。あの小さなからだをした雁に、一種の畏怖の念、いつくしむ気持ちすら生まれます。

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 鳥の渡りの不思議さを扱った、学校の英語教材は、数多いです。思いつくもののうち、2011年の東北大学二次試験(英語科目の出題は全学部共通問題)を、拙訳で申しわけないのですが、見てみましょう。上の、渡りの不思議さの第2-4、渡りのナビゲーションの不思議を扱った話題で、800語程度の英文です。今日はその3分の1程度を。

 大学二次試験にしては、内容&英文表現とも平易に作問され簡潔にまとめられています。とはいえ、問題を解くのがカンタンですぐ高得点という意味ではないです。13年前の出題ですので、解答解説目当てでこれを読む人はいないでしょう。単純に読み物として楽しみます。一般に、入試問題や各種検定問題の英語は、日常生活においては触れないような、さまざまな話題や専門的な話題を、わかりやすくかみ砕いて簡潔にまとめ上げてくれている点が、読み物としてちょうどよいと思っているワケで、ここで何度も取り上げているのは、「入試の解説や講評」などという意図は全く無く、「楽しみとしての読書」という発想です。

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渡り鳥はどうやって目的地を見つけるのだろうか? まず考えなければならないことは、どんな手がかりがあるのかということだ。 鳥たちが陸の上を飛行しているならば、眼下に、川、道路、森林、海岸線などの、はっきりとした、年を経ても変わらぬ特徴が存在する。もちろん、鳥は目を使っていることだろう。 鳥がまさにそうしている証拠は数多い。たとえば、多くが、海岸線をたどり、海峡や山道を縫って進む。

到達しようとする場所に近づくとき、鳥たちの多くは、嗅覚を使う。 伝書鳩がそのヒントを与えてる。(ただ、「帰巣」は渡りと同じではない。ハトが電車やトラックで遠く離れた場所に連れて行かれ、その後放されると、家に帰る道を見つけられるという意味だ。しかし、帰巣には渡りと同じメカニズムがいくつかあることは確かだ。) ハトは自分の巣に接近すると、鳥の住まいを示す一般的な匂い、おそらく一般的にアンモニアのようなひきつけるような匂いを最初に感知するようだ。 近づくにつれて、匂いはよりその鳩に固有のものになる。 最後に、鳩たちが巣のごく近くまでくると、自身の空間における自分たちの群のもつ特定の匂いを認識する。 人間であっても、たとえ意識的に認識していなかったとしても、匂いについて素晴らしい知覚を持っている点、しだいに多くの証拠で明らかになりつつある。汗などの原始的な物質に応じて、特定の男性または女性に対し、魅力または嫌悪感を感じている。人類はそのようなものを乗り越えた存在だと考えたがる人にとっては、冷ややかな考えではあるが。 通常、私たちは、鳥類が匂いを重視する生き物だと思っていないのだが、多くの鳥はさまざまな状況で匂いを重視する。

だが、鳥たちが、明らかに見渡す限りの海の上にいるとき、視覚的な手がかりは何の役に立つだろうか? めざす場所から千マイルも離れた場所にあるとき、匂いにはどのような価値があるだろうか? 他には何か手がかりはあるのだろうか?

2024/03/22

■ あるく - 廻堰大溜池

ガンのみんなは、私の気配を察知して、ゆっくり背中を向けて移動し始めます...

 あいかわらず真冬の寒さと強風です。明日の気圧配置は明らかに違いますので、明日になればきっと暖かくなるでしょう...。溜池にいるハクチョウやガンの渡りの時期が近いのですが、今日はみんなおとなしくしているかなと思い、行ってみました。

 おや、今日はめずらしく、池のこのくぼみ地形にガンの皆さんが集まっています。例年だと、ココのエリアは最後まで湖面が凍結していて、その頃には剪定のトラックがとっくに往来していますので、ガンは最後まで近づかないエリアです。今年は、雪も氷も湖面になく人影もないので、風をよけているところですね。

 一般に、渡り鳥は、湖面にいても田んぼにいても、すぐ近くをクルマがそれなりの速度で通りかかっても、意に介さないようすです。が、ヒトがゆっくり近づくと、とたんに集団はパニックとなり、あたふたと逃げ惑います。高速で移動するクルマという生き物は捕食者ではないが、ゆっくり近づくヒトは悪者に決まっていると先祖伝来学習しているワケですね。

 クルマを降りて、そっと近づきますが、1羽2羽に気づかれたら、あっという間に群れ全体に察知されて、数百羽の皆さんを驚かしてしまいました...ごめんなさい!みんな一気に遠ざかっていきます...逃げなくていいんだよ〜。