2025/09/25

■ まなぶ ■ 教科書を読む - 中1国語『筆順』


 漢字の「正しい筆順」については、国が定めた"めやす"があるようです。

 文部省が、1958年(昭和33年)に、「筆順指導の手引き」を発刊して、小学校で学ぶ漢字881字について定めました。が、"美しい漢字を効率よく書くための一般的な基準"にとどまるようです。以来今日まで、改訂版などは発刊されていないようです。

 中1教科書(『新しい国語 1』東京書籍 令和3年)のこの設問について、私は、7"興"、8"飛"を間違えました。小学校時代、習字とともにかなり正確に覚えたつもりだったのに...。

『新しい国語 1』東京書籍 (R3)

 一生懸命覚えたというくだらない思い出にそれますが、高校時代に、学校で、全校生徒学年無差別で、月に1回、"漢字テスト"が執り行われ、1年間の総合得点で上位者が表彰されていました。高1の当初は何の興味も無かったのですが、そのうちムキになり、毎回満点を重ねるつもりでバトルに参入。

 結果、高2、高3と、全校生徒で2位、1位になったのですが、高3に1位になったときの賞品が、"明治の板チョコ5枚"という、まるで意味不明物だったので、あまりにも激しくガッカリした強烈な記憶が残っています。賞品は、漢文の先生の個人的好みで選んだのだそうです...。

 20代の頃にペン習字を始めた際、漢字"上"の筆順が違っていたことに、衝撃と憤慨(?)とともに気づき、何度も本を見、納得がいかなくて区立図書館で調べました。

朝日新聞社
"どっちが正解?正しい書き順が複数ある漢字"

 小学校1年の最初に習う漢字を正確に覚えていなかったのか...小学校入学以前の実力だな...。

 その後、"同じ漢字でも、世代により、小学校教科書で教えられる筆順に違いがあるのが日本の教育"だとわかりました。

 あまりこだわらなくてもよかったんですね。そう思うと、自分の覚えていたつもりの筆順との違いを見つけて「へぇ」と驚き笑うのが少し楽しいです。

 書家の田中鳴舟先生の美しい手による『硬筆新辞典 - 学文社(2020年第8版)』を見ましょう(トップ画像も)。

 左欄の筆順は、現代のものになっています。

 行書体の赤い①②は、私が付しました。の筆順は、昭和世代の小学生が習った「ヨコ画が第1筆」、の筆順が現在の「タテ画が第1筆」。

 ついでに草書体は、と親和性を感じますが、どうなのでしょうか。


 "臣"は、上のヨコ画から、と覚えていたのですが、タテ画が先のようです。行書体も当然のようにそうなっていますネ。が、草書体(赤文字は私が付しました)は、いずれも横角が第1筆です。

行書も草書も、楷書の筆順や文部省の意向などもともと何ら頓着しない世界ですので、国の方針に合うかどうかなんてどうでもいい話です。そう考えると、中1の皆さんは、この教科書の問題を何個か間違えたくらいであまり思い詰めないことにしましょう...。