2025/06/26

■ まなぶ ■ 万年筆のネーミング 3:プラチナ-3


まだ続ける気? の、このシリーズ。どれも「ステキだ」という個人的感想よりも、「なんだか斜に構えた見方」で、自らわざわざ気が重い話を続けて...ごめんなさい!このくらいにしておきます。

 十数年も前の話ですが、あの"#3776 シャルトルブルー"(🔗6/22)に引き続いて、1,2年経た頃に、"#3776 ブルゴーニュ"が新発売されました。きれいに透き通る赤い軸です。

 赤いペンは、透き通った青い軸のシャルトルブルーのようには、自分では惹かれないです。そもそも軸の色で万年筆を買いたくなることは無いです。むしろ黒以外は、書く際に気が散るので敬遠するたちです。

 ここでも、プラチナ社は、その色を、「赤」と表現せず、「ブルゴーニュ」と表現。

「赤」より、たしかに少し暗みがかった「紅」「赤紫」...、いやそれじゃぁ商品として売れそうにもないので、シャレたワインの表現でしょうか。んじゃ、「ワインレッド」じゃだめなのかな。やはり月並みですか。

 Wikipediaのチャートを見ると、たしかに、色の名前として「ワインレッド」「バーガンディ("ブルゴーニュ"の英語読み)」「ボルドー」は、違う色としてJIS規格が定められています。

Wikipedia

 でも、「この万年筆の軸の色はむしろJIS慣用色名"ワインレッド"に近いんじゃ?」なんて、そんなこたぁどうでもいい話で、 要はイメージが大事だということでしょうか。

 また、おひざ元のフランスのアマゾンで見てみましょう。関係ないですが、送り先は隣国ドイツにしました。(コレ設定しないと"国内の住所コードを入れろ"と言われて次に進めないので)

Amazon Fr

 やはり"#3776 シャルトルブルー"と同じく、商品名は英語で"3776 Century Gold Trim Bourgogne"で、その色名は、"rouge(赤)"と表記されています(青い下線は私が引きました.
トップ画像も)。

 う~ん、やはりもやもやしてきました...。(← もう付き合いきれないでしょうから、個人的なこころの病だと思ってください)

 さてところで話は変わりますが、ワイングラスをチョっと見てみましょう。いまどきは、どこの百均ショップでも、じゅうぶん高品質でステキなワイングラスが220円もあれば購入できます。が、あえてココで見栄を張って(?)、リーデル社製を見てみましょう。

Riedel Website

 ↑の左がブルゴーニュ型ワイングラス、右がボルドー型ワイングラスです。これはリーデル社の製品に限った話ではなく、ワインの特質からくる形状の違いで、世界中で共有する型式の分類です。...左のブルゴーニュタイプを見るとつい甘い香りが漂ってきたり、右のボルドータイプを見ただけで渋みでつい両頬がキュっと痛くなってくるような人は、いいかげん、酔いを醒まして、本心に立ち返り、人生の正しい道を歩んだらどうですか!? (...これを"ブーメラン発言"と言うとか...。)

 ここで、プラチナ万年筆センチュリー#3776ブルゴーニュの、販促画像を見てみましょう;


 ステキなイメージですね。おや...


 グラスが、こうで...


 うっ......

 思わず目をそむけてしまった...、のが、発売当初の十数年前...。

 プラチナ万年筆センチュリー#3776"ブルゴーニュ"の背景画像は、"ボルドー"グラス...。

 ム、ムリです、もう...。まるで、漆塗りの汁椀に、抹茶と砂糖とミルクを入れてスプーンでかき混ぜて飲む人がニッポン文化を語るような違和感があります(どういう譬えだ!?)。

 "シャルトルブルー"や"ブルゴーニュ"などと言ったネーミング...。いずれ破綻をきたしそう 波乱が立ちそうなのは、自分的には明らかでしたが...。

 プラチナ社は、インクのラインナップは実直で良心的だと思うのですが、やはり50年近くも前の高校時代から、その万年筆に付着させたイメージに、あの、その...。うぅ、ここでも、またしても...(🔗6/16)。

 万年筆のネーミングの悲惨さ壮大さと言ったらもう、プラチナだけの問題、国産3社の勘違いなセンス、というわけじゃなく、たとえばリーディングカンパニーであるモンブラン社製でも、そのトップブランドの#149や#146のさらに上に、富裕層やコレクター向けの特別限定版として、「パトロンシリーズ」「女優シリーズ」「作家シリーズ」などという、ごてごてと  目玉の飛び出るような 驚くほど壮麗な貴金属宝飾を施したシリーズがあり、なかなか魑魅魍魎な世界のようすです。

 でも、メーカー側で付けてよこした名前なんかにいちいち拘泥せずに、自分の労働の対価として得たお金のいくばくかをさき、手に入れ、日々実用に供し、手入れをし、長年愛用している、という人こそ、やはり、色だ形だ値段だのにかかわらず、人類としては、もっとも天国に近い人だと思います。私などは、今月だけで5回もつべこべボヤいていますので、地獄の沼から蜘蛛の糸にすがって、極楽の蓮の池の底の水の輝きを永遠に眺めている立場だな、とボヤけばボヤくほど、自分の情けなさを実感するありさまです。