2025/05/18

■ まなぶ ■ 体感できなかった「コーヒー礼賛」

Espresso Hand Machine
La Pavoni Professional 
2013/4/29撮影
Sigma F1.4 30mm; at f/2.8

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借りていたパネルリムーバ、どうもありがとう。🔗5/12 おかげで役立ったよ。...おや、なんか眠そうだね。

▲ うん、きのうは兄弟姉妹の家で飲み過ぎてしまって...。

▼ えぇ!? キミがかい? 珍しいね。冬は1滴も飲まないキミが(🔗2024/12/3)、気候も良くなって、お酒がつい進んじゃったのかい?

▲ あ、ごめん、お酒じゃないんだ。

▼ なんだって!? じゃ何を飲み過ぎてダルいなんて言うのさ。

▲ うん、お茶とコーヒー。

▼ はぁ!? いったいどれだけたくさん飲んだら、翌日体調を崩したなんて言うんだい?

▲ え、と、昨日は、午前中に楽しくおしゃべりしながら、コーヒー1杯と、お茶3杯かな。

▼ ばかなこと言うなよ。たったそれだけかい。

▲ うん...。でも、ここ何年も、コーヒーもお茶も、1年に数回、1回に1杯程度しか飲まなくて...。昨日はそれに比べれば1度の摂取量が多かったので、まるっきり眠れなくてさ。けっきょく睡眠不足のままいつもどおり起床しなきゃだめで...。

▼ そんなにちがうものなの? 

▲ うん、ハッキリとカフェインの覚醒効果があった。

▼ 元からカフェインに弱かった、というか、カフェインがよく効くタイプなのかい?

▲ いや、コーヒーは、小学生の頃から生意気にもペーパードリップを覚えて楽しんでいたよ。高校大学のときは、インスタントを夜にがぶ飲み状態で勉強していたし、その後は、レギュラーコーヒーをネルだサイフォンだ、いやエスプレッソだ、ポッドだタンパだ、と使い分けてたよ。エチオピア産の農園とグレード指定のモカや、パヴォーニの競技用エスプレッソハンドマシン(トップ画像)も使ってた...。

▼ ぎょっ、そんなディープなヤツだったのか...。たしかに、考えてみたら、ボクもキミのあのエスプレッソは、すごく苦かったけど、砂糖でたっぷり甘くして、楽しみだったな。キミなんてよく砂糖もナシで楽しめたね。で、どういういきさつで、コーヒーがダメになっちゃったのさ。

▲ じっくり振り返ってみたんだ、50年後の今。美点は、なごむ香り、これがいちばんの魅力だと思う。味はたしかに良くて、銘柄や産地によってデリケートな違いも千差万別だけど。他方で、トイレが頻繁、夜型生活、心臓が苦しい、胃が痛い、という短所に目を瞑ってきたと思うんだ。で、あらゆる魅力を蹴散らしたのが、「空腹感が激しい」ってことだよ。

▼ どういうことさ。腹が減りやすいって。

▲ 生理学的機序はわからないけど、なんというか、コーヒーを飲んだ直後は、いい気分、やる気を感じるけど、その後、なんだか極端な空腹感や気分の落ち込みや倦怠感を感じて、しまいにはめまいやしびれを感じたりするんだ。

▼ キミの場合は、砂糖の効果ってことないしね...。

▲ うん、砂糖を入れてたのは学生時代までだよ。コーヒーにも紅茶にも、砂糖もミルクも全く何も入れない。

▼ じゃ単純にコーヒーだけの効果なのか。

▲ たぶん、コーヒー抽出液自体に、血糖値の乱高下効果があって、飲んでスグは血糖値がうなぎ上りで、直後に低血糖状態までごく短時間で一気に急峻に落ち込むんじゃないのかな。

▼ キミ、DM(糖尿病)の気(け)があったっけ?

▲ いや、検診結果などでも、DMの気配はまったく無いけど。ただ、コーヒーを飲んで数時間、自分が、攻撃的な人格やすぐ結果を求める短絡的な人間になっていくようで...。そういえばコーヒー好きをあえて標榜する人がなんだかそういう共通的性格がある気までしてきて...。コーヒーなどのカフェイン飲料って、怖い、というのが、今の気持ちなんだよ。

▼ そこまで思うとはね。ディープなマニアの行き着く先はそこなのか。ずっとインスタントで満足のボクは、味の違いなんかさっぱりわからないな。インスタントなら、そんなレギュラーみたいな極端な効果は無いってことなんだろうね。

▲ う~ん、いや、インスタントとレギュラーは、健康的効果や体に及ぼす効果はまったく同じだと、リクツでは主張されているんだけどね。

▼ じゃぁ、ぼくだってコーヒー飲んでいるのに、キミみたいに感じないのは、飲む量によるってことだね。

▲ それも論者や専門家によってまちまちなんだよ。1日1杯までにとどめれば健康だという疫学的調査結果がある、いや2杯までならとするデータが複数ある、いや3~4杯なら心疾患予防効果は最大値だというのが今日の知見である、いや、1日8杯を越えようと飲めば飲むほど健康だ、とか...。こんな主張をしているのは、ネット上で、切り貼り解説サイトを除けば、特に開業医の個人的ブログなどで、都合の良いデータを見せ合うような珍妙な"コーヒー杯健康オークション"を、絶賛開催中みたいだよ。




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笑ってしまうね。そのうち高値更新しそうだね。「自分は4杯が正しいと思う」みたいにどれかを信じて実践してトイレに駆け込んでいる人が、なんだか哀れに思えちゃうじゃないか。じゃさ、AIにいじわるして"1日に0杯"ならどうなのさ。

▲ それもまたいっそう健康になるらしいよ。


▼ ふざけるなよ。飲めば健康になり、飲まなければまた健康になるのかよ。なんだか外野から見ると、"コーヒー健康説"って、新興宗教だね。

▲ うん、まさにそう思う。コーヒー礼賛の"疫学的調査""医学的研究"なんて、掃いて捨てるほど存在するのに、コーヒー抽出液のどの成分がどう健康や生命予後に作用するのかという化学的機序については、医学的な仮説ばかりだし。

▼ 現代の医学をもってしてもそうなのか。

▲ この"コーヒー礼賛"論者の『コーヒー』という単語をさ、19世紀イギリスなら『アヘン』に、18世紀以前の中世ヨーロッパなら『瀉血』に、平安期の日本なら『祈祷』に、単語を置換しても、いずれも立派な、当時"最新の現代医学"として通じるね。

▼ どうすりゃいちばんいいのさ、じゃぁ。

▲ ボクが50年続けたコーヒーをやめる、キミは50年変わらずにこれまで通りインスタントコーヒーのひとときを楽しむ、っていうのが、ベストな結論だと思うんだ。