■ 3). 「自転車を自分で組んで、日帰り旅行やキャンプ旅行」に興味を持ち始めたのも中学時代ですが、すべての情報は、その後20年以上も、雑誌『サイクルスポーツ』のみでした。当然、雑誌には、ヨーロッパの『三大ツール』が掲載されます。知識だけは詳しくなるのですが、一般道を閉鎖しての自転車ロードレースなど私の生活圏ではあり得ない話なので、架空の世界でした。が、1995年に、友人の部屋のTVで、初めて映像を見ました。雑誌の写真でしか見たことのないプロのロードレースの編隊が、実際にフォーメーションを組んで「動いて」いる! ピレネーやアルプスの、呼吸も困難な、急峻な、周辺各国にとっての幹線国道を、しかも国境を越えて、完全に封鎖して、自転車レースに使っている、など、想像を絶する興奮で涙ものでした。Cさん、今でもずっと感謝しています。どうもありがとう!
■ 4). 大学入試のために東京にしばし滞在。その際、高校の友人が滞在している千葉にある彼の親戚宅というところを訪れました。
■ 平日昼に訪ねていくと、その家には、彼一人しか居らず、留守番状態。いろいろと受験のヨタ話をしているうちに、彼が「すぐ近くの店にチャリでおやつと飲み物を買ってくるから、ちょっとTVでも見て待っててくれ」ということで、私だけがその家に取り残されました。
■ TVを見ますが、平日昼の時間帯、おもしろくもなく、チャンネルをあれこれ替えますが、どれも何の興味もありません。電源オフにした方がいいくらいですが、彼に悪いかなと思って、いちばん刺激の少ない静かなNHKの番組にチャンネルを合わせておいてそのまま放置します。でも、することもなく、内容などまったく無視したまま、いろいろと考え事をします。
■ ところが、そのうち、何年も見たことのないTVは、私の眼球にとっては、いわば照明を直視している状態となっており、TVの視聴に慣れない私の目はどんどんムズがゆく、ついには痛くなり、ごしごし手でこすると、いっそう悪化して、涙もボロボロと出てきて、予想外の事態となりました。どうしてよいかわからず、ただただ手で拭っているところに、友人が帰宅。
■ 彼は、TVを見ておいおい泣いている私を発見します。「ど...どうしたんだ?」と恐る恐る声をかける、と、同時に、私が対面しているTVの番組を見ます。NHKの経済解説員が、「日本政府とEC(ヨーロッパ共同体)代表団との貿易不均衡是正の交渉が暗礁に乗り上げている」点につき、貿易額のチャートやグラフで解説しています...。「あ、あのさ、お前さ、コレ見て、な、泣いてる?」と、腰が引けた状態で、私に声をかけようと必死です...。
※ 左;j-stage_77『日欧経済摩擦の現状と展望』1979梅津和郎, 右;NHK放送史1981
■ 誤解が解けたときには大笑いとなり、後日、学校でも皆に広まって「あいつNHKの経済番組見て泣いてたって」「世界経済を憂慮して泣いてたって」「ヘンなヤツだと前から思っていたけど、やっぱり」...学校中に噂や爆笑を招いてしまいました...。だからTVって嫌いなんだ (ioi) ...。
■ つづく...← えぇ!?