2024/01/02

■ なおす ■ 天変 - 恢復を祈ります

20024/1/2。1月の光景としてありえない...。

地震...元旦にくるのはやめて...というわけには...。雪がない元旦はやめて...というわけにも...。

 昨日の揺れは、横に長い周期で揺れて、やはり12年前のあのときを一瞬思い出して、凍りました。「停電・津波・原発」と、次々とフラッシュバックしました...。被災地の方は、年末のドカ雪に続いて、どれだけつらいことでしょうか。

 ドカ雪に続いて、晴天すらある雪のない新春。子どもの頃に体験した年、私も家族も口々に違和感を唱えました。ですが、5,6年前にも雪のない冬があって、おそるおそる夏タイヤの2座幌型のクルマ(軽トラに荷台シートってわけじゃないんですが...)で冬中ずっと通勤して、何か後ろめたい不思議な違和感があった記憶は新しいです。

 冬の自然な穏やかなありようは、地震がなくて雪があったほうが...。早く元に戻ってくれることを祈ります。

2024/01/01

■ なおす - クラシックシェービング - 今日


新しい年。良い年になりますように。

 日本に存在しない産業の製品を、消耗品を含めて、複数、毎日使っているのが、このクラシックシェービング。だから、シェービングをするときはいつも、平和な国際社会であることを実感し、それを祈る時間となっている...とは、クラシックシェービングを始めた当初には思いも寄らなかった意外な事態です。

 国境や宗教や民族に関係なく、精神を解放して気楽に軽いため口をきき合えるのがこの世界(2023/10/18をご参照)。

 他方で、お互い少しでも意思の齟齬や独自の主張を貫いたら、直ちに生命・身体・財産を互いに失う関係や状況にあるならば、やはり、国境や宗教や民族に関係なく、調和と秩序を構築し合おうと相手の価値観を思いやるでしょう。人間の偉大さはここにあると思います。

■ 事例は多く、有史以前から今日まで洗練されつつある「国際海事法」、国内だろうと異民族間だろうと取引に必要な決済手段を洗練してきた現在の「ジュネーブ統一手形法」、海事法の類推でさらに危険度の高い「国際民間航空条約(シカゴ条約)」など、自分の主義主張だけを通したら、お互いに大惨事だと知っているからこそ、秩序が構築されてきました。

 他方で、「ゲーム理論」で利益の総体が最低値となる結果をもたらす「暴力」も、人類の歴史とともにつねに繰り返されています。

 手形法の人類と、武力行使の人類が、同じ生物とは思えないです。

 やすらかな気持ちでクラシックシェービングを楽しめる世界になるよう、祈ります。

2023/12/31

■ まなぶ - 万年筆を始めた私 - 4

Pilot 742 (S) ...「74」や「743」と、ぱっと見て区別はつかない...。

- 11/10の続き - これまで聞いた複数の方々のステキな体験を合わせて、お一人の方の体験としてまとめてみます(;^^w…
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 さて、初めての金ペン万年筆パイロットのエリートとグランセの2本を買って、自宅に帰ると、クルマを見て、妻が帰宅している他に、娘夫婦が来訪とわかる。娘夫婦には小学生の孫娘がいるが、今日は娘夫婦のみのようすが、車内をさっと見てすぐわかる。孫は部活かピアノのレッスンか...。なごむキャラがいないので、ちょっと緊張感もある...。

 この婿殿は、ここだけの話だが、私は実はなかなかニガテである...。それは、娘をさらっていった男という、嫁に出す父に一般に潜在する感情論もある。私のようなまあふつうのサラリーマンと違って、こちらが畏まってしまう立派な社会的地位の婿殿というコンプレックスもある。ゴルフもシングル2桁でおクルマも輸入車という悔しさもある。しかしこのぶつかるような感情の外殻にあるのが、彼が、娘によると、万年筆100本だか200本だかの一家言ある男だということだ...。私がもう何年も何度も、万年筆を職場でひけらかす人たちに反発を唱えてきたのも、このことがきっと意識下にあったからだと今では自分を分析できる気がする。もちろん、人柄は穏当で上司から信頼され部下に篤く円満な家庭人である事実の前には、私の劣等感は我ながらハッキリくだらないと認識しているので、口に出したりそぶりに出したりはしない点、十分わきまえている。

 イマ買った万年筆は、いったんひっそりクルマの中に置いて、自宅に入る。笑顔で挨拶をかわし、一通りのおしゃべりをする。万年筆などというちっぽけな事は忘れ去って、素直にうれしいひとときだ。

 「ところで、お義父さん、カクノを試されたんですって?」婿殿は屈託なく聞いてくる...。妻のやつが娘に告げ口し、それが婿殿に伝わったに違いない。とっさに妻を見る。妻はいつものようにあっちを見る。娘は笑う。「わが家では***(彼の娘=私の孫の名前)も透明軸のを使っていますので、『お揃いだ』と喜んでいましたよ。今度もって遊びに来るそうですよ。」...小学生の孫が使いこなしているカクノを私はまるで使う能力がなかった。私は小学生以下か...。けれど、その話を聞いてすなおにうれしい!自分が笑顔でいっぱいになるのが、くやしいけれど、わかる。単純な自分。婿殿の、話題の振り方や持って行き方が実にツボを得たウマさがあって、如才ない男だ...。

「どうでしたか? 次に何かステキな輸入品などお考えとかですか?」

「いやとんでもない。カクノと同じパイロットで私などにはじゅうぶんすぎるくらいだと思っているんですよ。」

「じゃ次の金ペンは、74か742で試してみますか。いやでもお義父さんくらいでしたら、グレードの高い743からスタートでもよいかな。でも同じペン先で、漆の軸になった845は、最初に手にしたら一生満足できそうですよ。」

次々と勧めてくれる。あの店員さんみたいだ。「そ、その番号って、何だか、よくわからないんだ。」

「そういう万年筆とか輸入車とか高そうなモノって、名前がホントに番号ばっかりで、マニアックで、ついていけないわよね。...。」と娘がやや私の側に割って入る。まぁその通り、と、私のみならず、婿殿も頷く。

「たしかにそうですよね。パイロットの製品は、基本ラインナップのグレードのヒエラルキーがこんな感じなんですよ。」

表示はすべて税抜き

「なるほど。なんでこんな番号なんだろう。1番、2番っていう名前じゃないんだね。」

「たとえば『742』は、パイロット社創設74周年に発売した2万円バージョンという意味らしいです。」

「創立年ごとに新製品があるのかい。だったら膨大になるじゃないか。」

「現在の基本ラインナップは、『74シリーズ』だけで、他には、8**、9**の番号のものが2,3あるだけです。この基本から、たくさんのバリエーションが派生しているようですよ。それは主に、ペン先の材質や筆記線の太さじゃなくて、軸の装飾です。」

「なるほど、エボナイト製の軸や、蒔絵の装飾軸がたくさん出ているらしいからね。...セーラーやプラチナはどうなんだろう。」

「セーラーは、基本ラインナップが、葉巻をつぶしたような楕円形をしたバランス型『プロフィット』の4階層と、それにぴったり並列して、葉巻の両端をスッパリ切ったみたいなベスト型『プロフェッショナルギア』の2本立てです。基本ラインナップはパイロットより安くて21金を使っていてお得なんですが、軸の装飾が華美な高額高級品がとても多いです。」

「プラチナは、基本的に、チョイ高めが『プレジデント』、一般向けが『センチュリー』の上下2種だけです。これらのペン先首軸を使って、軸の高級バリエーションがとても多く出ています。」

「そうだったのか。カタログなどを一見したたけでは、私たち門外漢には、目がくらんでどれを選べばいいかわからないけど、基本の構造を縦に並べて基準にすると、少しわかりやすいね。あとは、軸に凝らした趣向が、自分の今の好みや財布の状況に合うかということなんだね。」

「たしかに、数字によるネーミングはわかりづらいかもしれませんね。考えてみると、プラチナの『プレジデント』『センチュリー』は、数字じゃないだけに、わかりやすいな。でもお義父さんなら『プレジデント』を手にしても違和感はないけれど、自分はまだまだ全く『プレジデント』な立場じゃないから、そんなことを考え始めると、持つのはちょっと気が引けたりするネーミングです、アハハ。」

プラチナ #3776センチュリー 
左;シャルトルブルー / 右;ブルゴーニュ

「言われてみれば、『センチュリー・シャルトルブルー』の青い透明プラスチック製のペンに、『フランスのカトリック教会の世界遺産シャルトル大聖堂のステンドグラスのブルーです』って言われても、すごい大げさにも聞こえるね。」と私も気づいて笑う。

「プロテスタントの人とか牧師さんたちは、持つのに気が引けちゃいそうだわね。親戚のAさん(お寺の住職)だと、欲しくなってもネーミングを見て買うのヤメちゃうかもね!?」と、娘も、マニアックな話題ではないと気づいて、気楽な冗談を盛り上げる。

「じゃ、『ブルゴーニュ』っていうこの赤い色の方は、ボクら普通の日本人ならちょっとおしゃれな雰囲気を感じるけど、かえって職業的ソムリエの人や、ブルゴーニュワインもボルドーワインもふだんからなじんでいるワインにウルサい人だったら、むしろ買う気が萎えるよね、このペン。」と、ワインにうるさそうな婿殿をチラっと見て、チョっと茶目っ気を出して言ってみる。

情報通の婿殿はサっとかわして「そういえば、この『プラチナ・センチュリー・ブルゴーニュ』が出たとき、ある自称『万年筆マニア』の個人の女性が、出てすぐ買って、自分のウェブサイトで速攻で自慢げに紹介して, “この赤い色は、深~い赤で、レッドというよりボルドーな色をしています” とパッケージを開けた第一印象を述べていました。」

「へぇ、『プラチナ・ブルゴーニュ』の色は『ボルドー』なのか!?」と皆くつろいで笑う。

「そんな、シャルトルだのブルゴーニュだの、あなたたちみたいな深い勘ぐりなんか誰もしないわよ。色がキレイなのに惹かれた日本人に、ついでにそれにチラっと日本人ならそそられるような西洋風なシャレたイメージを乗っけて売ろうっていう、メーカーの売り方戦略なんでしょ」と、妻までおもしろがって評論家として加わる。

「じゃぁさ、次の製品は、金色の軸で『トーダイジ・ゴールド』『ダイブツ・ピカピカ』とか、カクノの透明軸を使って『セイシュ大吟醸・トランスペアレント』とか、おもしろいねぇ、あはは...」と私が図に乗って放言すると、娘の「ダサ...」のつぶやきを合図に、いっきに盛り下がってしまった...。孫だったらウケてくれたのに...。