2024/01/03

■ まなぶ - 甘いものは有害? - 大学入試共通テスト 2021年第1日程 - 英語第6問目B


 第1回「共通テスト」、第1日程の英語の最終問題で、白砂糖の抽出以来、人類がつくった甘味料に、ほぼ表題の結論に向かって受験生50万人を誘導するかのような英文が...。実施された日2021年1月16日の時点で拝見して、もうこりゃ火の手が上がるのは必至だろうと...。

当該箇所の英文(第6問B)は、7つの段落、計555語からなるのですが、第0, 5, 6段落は全文を拙訳で、他の段落は私が要旨を簡単にまとめてみます。一緒に見てみましょう。

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6B 次の英文を読み、問い(A・B)に答えよ。

第0段落 (英単語数は24語);全訳;

あなたは保健の授業で栄養学を勉強している。さまざまな甘味料についてより多くを知ろうと、教科書の、以下の文を読もうとしているところだ。

第1段落 (109語);要約;

植物から白砂糖が作られて以来70年、現在では、科学者はさまざまな人工甘味料を開発している。

第2段落 (91語);要約;

全米健康栄養調査によると、アメリカ人のエネルギー摂取量の14.6%は「添加物たる糖分(added sugar)」による。それは、「自然のままの食品(whole foods)」に由来しないものをいう。ここで、たとえば「バナナ」はwhole foodだが、「クッキー」はadded sugarを含んでいると言えることにする。大量のadded sugarは、過剰な体重増加や他の健康問題など、私たちのからだに悪影響を及ぼす可能性がある。

第3段 (54語);要約;

白砂糖の代替品として、「低カロリー人工甘味料(LCSs)」が人気だ。これらは人工的に化学合成したものだ。

第4段落 (76語);要約;

 これらのうち、アスパルテームとエースKは、砂糖の200倍甘い。ステピアは300倍甘く、スクラロースはステビアの2倍の甘さ。さらに新しい甘味料のうち、ある日本の企業の「アドバンテーム」は砂糖の2万倍甘い。

第5段落 (121語);全訳;

甘昧料を選ぶ際、健康問題をよく考えることが大切だ。たとえば、白砂糖をたくさん使ってデザートを作ると体重増加を招きかねない高力ロリーの料理となる。まさにこの理由でLCSsの方を好む人たちがいる。だが、力ロリーはおくとして、人工甘味料のLCSsを摂取することを、さまざまな健康問題と結びつける研究もある。LCSsの中には.ガンを引き起こす疑いのもたれる強い化学物質を含むものもあれば、記憶力や脳の発達への影響を示すものもある。したがって、それらは、特に幼児、妊娠中の女性、高齢者には、危険である可能性がある。キシリトールやソルピトールのような、あるていど自然に近い代替甘味料もあって、これらは、力ロリーは低いのだが、残念なことに、体内をきわめてゆっくり通過することから、多量の摂取により胃の障害を起こしかねない。

第6段落 (79語);全訳;

何か甘いものが欲しいとき、これらすべての情報を得ていたとしても、砂糖のような高カロリーの一般的な甘味料にこだわるか、それともLCSsを使うか、決めるのは難しい。多種多様なガムやキャンディは、今日では、人工甘味料を、1種または複数種類含んでいる。温かい飲み物に人工甘味料を入れないように心がけている人であっても、そうした品物をやはり買うかもしれない。個々人それぞれが、選択できるものを比較検討し、自分にとっての必要性や状況に最適な甘味料を選ぶ必要がある。

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段落ごとの語数のウェイトからして、後半に全体の2割の分量を占める第5段落が、言いたいことの核心でしょう。4段落までは、第5段落の主張に説得力をもたせて読者に納得してもらうための前提知識を与えてくれているようです。ついでですが、第0段落で、「これは栄養学の教科書の記述である」という設定になっています...。第6段落は、「どんなに情報を得ていようと、今日では、いかなる甘い茶菓にも、知らず知らずのうちに人工甘味料が使われており、購入時に消費者は人工甘味料を回避することはできない」との趣旨ですので、最後の1文は取って付けたような違和感満載の「円満な結論」に見えます。

 すると案の定、業界団体「日本食品添加物協会」を初め、各種団体とその周辺の専門家や大学教授らが、次々と...。新聞でも格好のネタとなったようです。うち、「食品安全情報ネットワーク」は、この英文を「過去問題として授業で使われたり、参考書に載ったりしないよう措置を講じることを求める」と、大学入試センターに対し、その言論・出版など表現の自由に圧力を加えているようです。

「英語を読む」「大学入試の問題を解いてみる」のはいったん置いといて、この「砂糖を初めとする甘味料の問題」って、あなたも私も、イマここでは行司でも奉行でもなく外野見物客なので、この文だけをもってどちらかに対して正誤など判定しづらいのですが、他の「食の安全性」の問題同様、他者に自説を声高に主張しないまでも、自分の選択を自分の責任で決意しなくてはいけない問題だと思いました。

■ 自説と異なる立場の相手に対して威圧や抑圧という手段にうったえたりせずに、自由な研究を進め、自由な議論を尽くせるような社会であってもらいたいとも感じました。それが、あなたや私の、さらに良い判断に、また最終的にはすべての人の幸福に、つながると思います。

2024/01/02

■ なおす ■ 天変 - 恢復を祈ります

20024/1/2。1月の光景としてありえない...。

地震...元旦にくるのはやめて...というわけには...。雪がない元旦はやめて...というわけにも...。

 昨日の揺れは、横に長い周期で揺れて、やはり12年前のあのときを一瞬思い出して、凍りました。「停電・津波・原発」と、次々とフラッシュバックしました...。被災地の方は、年末のドカ雪に続いて、どれだけつらいことでしょうか。

 ドカ雪に続いて、晴天すらある雪のない新春。子どもの頃に体験した年、私も家族も口々に違和感を唱えました。ですが、5,6年前にも雪のない冬があって、おそるおそる夏タイヤの2座幌型のクルマ(軽トラに荷台シートってわけじゃないんですが...)で冬中ずっと通勤して、何か後ろめたい不思議な違和感があった記憶は新しいです。

 冬の自然な穏やかなありようは、地震がなくて雪があったほうが...。早く元に戻ってくれることを祈ります。

2024/01/01

■ なおす - クラシックシェービング - 今日


新しい年。良い年になりますように。

 日本に存在しない産業の製品を、消耗品を含めて、複数、毎日使っているのが、このクラシックシェービング。だから、シェービングをするときはいつも、平和な国際社会であることを実感し、それを祈る時間となっている...とは、クラシックシェービングを始めた当初には思いも寄らなかった意外な事態です。

 国境や宗教や民族に関係なく、精神を解放して気楽に軽いため口をきき合えるのがこの世界(2023/10/18をご参照)。

 他方で、お互い少しでも意思の齟齬や独自の主張を貫いたら、直ちに生命・身体・財産を互いに失う関係や状況にあるならば、やはり、国境や宗教や民族に関係なく、調和と秩序を構築し合おうと相手の価値観を思いやるでしょう。人間の偉大さはここにあると思います。

■ 事例は多く、有史以前から今日まで洗練されつつある「国際海事法」、国内だろうと異民族間だろうと取引に必要な決済手段を洗練してきた現在の「ジュネーブ統一手形法」、海事法の類推でさらに危険度の高い「国際民間航空条約(シカゴ条約)」など、自分の主義主張だけを通したら、お互いに大惨事だと知っているからこそ、秩序が構築されてきました。

 他方で、「ゲーム理論」で利益の総体が最低値となる結果をもたらす「暴力」も、人類の歴史とともにつねに繰り返されています。

 手形法の人類と、武力行使の人類が、同じ生物とは思えないです。

 やすらかな気持ちでクラシックシェービングを楽しめる世界になるよう、祈ります。