2023/10/30

■ あるく - 廻堰大溜池


いつもの、りんご畑に囲まれた廻堰大ため池の周回道路。歩くとさすがにもうひんやりとしますが、週明けの今日は良いお天気です。

 早生種は、もうあらかた出荷が終わり、そろそろ残るのは、主力品種の「ふじ」だけになってきました。

 今年は、収穫間近に大雨や台風に見舞われることもなく、きっと大いに良い出来でしょう。農家の皆さんの、春先からの努力が報われますように!

2023/10/29

■ まなぶ - インクの使用量を知る


鉛筆や油性ボールペンやゲルインクボールペンは、「どのくらい使えばどのくらい減るのか」について、長年漠然とした疑問だったのが、この6月以来、けっこう執拗に(?)ここに書いてきました。

 その記述のしかたは、なるべく客観性をもてるようにしました。ある程度は、私以外の人の目安にもなったでしょう...などというとおこがましい限りですが、私が想定する「私以外の人」とは、「数か月後の自分」「数年後の自分」という、第三者です。その第三者が私の今年の記述を見て、「よくわからんな、こりゃ」と思ったらアウトです。「メモの取り方」と同じ発想です。

『オレのこの鉛筆は小学校以来ずっと使っている』『ワタシが日記を毎日書いたら、サラサは1年もった』などの場合は、本人にはワカるのでしょうが、計量できる客観的性がないのであまり参考にならない気がします。ので、ここでは、7/1の鉛筆実験(?)以来、客観的に、筆記量・期間など、なるべく多くの数値(筆記具・期間・英単語数・文字サイズなど)を記述してきたつもりです。

 なお、つまらない話ですが、私が使った英単語集は、1語あたりがちょっと長い気がします。え、そんなことよりオマエのブログ記事が長すぎるって...? ...(;^^A

 アメリカの言語学者Peter Norvigが、Google Books Ngramsにある約97,565の異なる単語(文字のみで23GB相当)を分析したところ、アメリカ語で1つの単語に使われる平均的な文字数は4.79文字だとしています。 (https://norvig.com/mayzner.html) 

 そこで、私も、7月から使ったあの単語集の例文について、PCにテキストを全文入力していますので、文字と単語をカウントして検証してみたら、入力数は、スペースを除いてアルファベット161,642文字で、単語数は31,138語ですので、1語あたり平均5.2文字となります。やっぱりチョイ長いかな...。

 鉛筆やボールペンは、誰でも同一製品を容易に入手できる点で、減り具合の記述が、ある程度検証可能な客観性を保てるけど、同時進行でずっと考えていたのが、万年筆インクの減り具合です。開封して何年も減らない気がするものもあれば、スグなくなっちゃった、と実感するものもあります。

 …ならば、け、計量してみましょう(`ω´;  ...強引なヤツだなぁ...┐(;・ω・`)┌

 「万年筆インクの減り具合」の計量が困難な特殊事情は、何といっても、万年筆本体のインク吐出量は千差万別であることです。太字細字の違いはもちろん、同じ「太字」でもメーカーによるし、同じメーカーの「太字」でも、製品によるし、同じ製品でも、個体によりペン芯とペン先の密着度やスリットの開き具合で、まるっきり違うでしょう。

 でも、あくまで「自分が使う目安」が主目的で、学会で発表し検証に耐える客観性などはもちろん、あなたのお役に立つことすらあきらめさえすれば、一定の追跡再現可能なルールを作って記述しておけば、あとで検証できるかも...。しょせん自己満足なひとりごとのウェブログですよ。

 そこで、段取りを構想します;

1). インクにつき、一般に入手可能な小瓶容量30ml(30cc)を使い切るまでの、英単語数を知る。

2). 万年筆は、計測中は、当然、同じ物を使う。

3). 毎日、ほぼ同じ分量を書くことによって、インクを消費する。

 詳細を検討します;

1). インクは、手持ちのどれでもいいが、1種類、「プラチナ万年筆製カーボンブラック(水性顔料)」とハッキリ決めましょう。30ccを全量ピペットで正確に測り取って別容器に移します。

これを、シリンジでコンバータかカートリッジに供給することにします。正確性の観点から必要なはずの、使用する液体(インク)での共洗い処理は、30mlの吸入時にのみ実施し、毎回の万年筆への補給の際のシリンジには、実施しません。その分、歩留まりは悪く不正確だけど、日常性を考慮すれば、じゅうぶん自分の今後の参考になるでしょう。

2). 万年筆は、手持ちの「パイロット万年筆製カスタム Custom 742 S (Signature)」を、2本同時に使うことにします。

1本だけだと、その1本の個性が、極端にインク吐出量が多いまたは少ない個体だったりするリスクを平均化する意図です(といっても、手持ちの2本の742 Sは、2本とも、吐出量の多寡は感覚的には区別できないです)。

このSignatureというペン種は「縦の線は極太字、横の線は中字 (パイロット万年筆のウェブサイト)」だそうですが、SU(Stub)ほど極端に縦横は変わりません。インク吐出量は多い方で、「太字(Broad)」と同じか少し多いかもしれませんが、「極太字(Broad-Broad)」ほど多くはないです。

なお、パイロット社製万年筆のすべてのペン種は現在16種類ありますが、私は、すべてのペン種を使ったことがあります(「キミは万年筆屋さんなのか」と詰め寄りたくなりそう...)。さらに付け加えると、同じベーシックラインナップのカスタムシリーズ内であっても、74と742と743と912では、同じペン種でも、弾力性など書き味が明らかに違います。(たとえば、甚だしく書き味が違うのは、3グレードに渡る同じペン種「FA(フォルカン)」)  

さらにまた、プレミアムなラインナップのCustom Urushiの30号ペン先は全く異次元の書き味です。

その経験から言えるのは、この742 Signatureのペンポイントの研ぎが、欧米文筆記体を、もっとも滑らかに書けます。というわけで、個人的な好みですし、今後も多用するでしょう。

3). 毎日、英単語集の例文を50文、英単語にして約750語 を筆記体で書き進みます。

使う英単語集は、7月-9月に使ったものと全く同じです(6/28)。これだけ繰り返して書くんだから、きっとこの悪いアタマでも少しは英単語を覚えるでしょう。

 三菱鉛筆ハイユニ (Hi-Uni) 10Bと、同時進行で、11/1から計量を開始します(^^w…って、と、途中で挫折したら...?  笑ってごまかそうかという魂胆です。

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 追;インク変更。

1)’. インクは、「パイロット;強色(つわいろ);黒 30ml」「同;青黒(Blue Black);30ml」(水性顔料)に変更となりました。

 当初案の「30ccを正確に測り取って別容器に」の方法ですが、手持ちのホールピペットを使いましたら、日頃慣れていない素人のどんくささゆえの哀しさで、うっかりピペットの先端を金属にあててしまい、敢え無く欠損しました。他に手持ちの駒込ピペット10mlを複数回では正確性に欠けるか、ホールピペットとピペッタを買い直せば1,000円~2,000円くらいか、でももうホールピペットなんか日常使わないんじゃなかろうか、買い直すんだったら、いっそその2,000円で、新品のインク30mlを買おうかな、と思いました。

 画像は、昨日購入してさっき到着した新品のパイロット製インキです。パイロット水性染料なら余裕で2本買えますが、興味があって使ったことがなかったパイロット顔料を購入しました。なお「インキ」はパイロット社の一貫した表現で、一般には「インク」と表記します。

 いつもこのウェブログの下書きは、前日か前々日に書いているんですが、昨日10/28明け方に上の本文を書いて、昨日の朝のうちにピペットを割り、すぐインクを発注したら、さっき到着したというわけです。11/1の開始に間に合ってよかった!日本のすばらしい物流システムに感謝。

 その新品のインク瓶の内容量がぴったり30.0mlあるのかについては、やはり検証のしようがないので、そのまま信じることにして実行します。また、30mlを2本同時に使ってみますので、計60mlで確かめたいと思います。え、なんで...って? 1枚の紙に1行とばしで書く奇癖のせいです(7/3)。

 2本の同じ製品の万年筆を用いて、新品のインク瓶60mlを使い切るのは、予想としては、半年後の来年春頃でしょうか。無事にたどり着けるかな...。

2023/10/28

■ まなぶ - 『うるしの話』松田権六 (岩波文庫)


漆器の話を10/22に書いたのは、岩波文庫で、松田権六『うるしの話』と再会したからです。

 この本は、私が大学の頃の80年代に読んだのですが、そのときには、旧仮名遣いで縦長判の岩波新書だった気がします。岩波文庫版になって、しかも表記が現代仮名遣いに直されて、たいへん読みやすくなっていました。

 漆器独自の存在感に気づいたのが、10/22に書いたように、この大学生の頃。チョっと調べてみたい気になったのですが、書店の雑誌の特集などでは、目が飛び出るような価格の高級漆器を、きれいな写真と「使っている有名人」の笑顔で勧めてくれるだけで、漆器の写真を、陶磁器や高級時計にすり替えてもこれらの雑誌はそのまま売れそうで、その存在価値が不明です...なのはともかく、図書館で調べようと思いました。ですが、専門的なモノばかりでした。そのとき、表題のタイトルどおり、すっきりわかりやすいこの書を手に取ったわけでした。

 そのときに興味があったのは、あの独自の触感というか「指ざわり」の秘密、漆の木、漆液、漆器用の塗料になるまで、といった、素材の素性を知りたかったのでした。

 この本は、話がそこ(樹液)から始まります。その後、蒔絵・螺鈿・平文などの製作の話。いずれも、たったこれだけの本なのに、非常に詳しくまたわかりやすいです。本の最後3分の1くらいの分量で、これは予想外でしたが、松田権六が、少年時代から今日に至るまで歩んできた人生を書いています。

 石川の農家の三男が、7歳から漆職人に仕えて、人間国宝に叙せられる以前の時点までの自叙伝です。私としては、漆の技術的な面に興味があって手に取った本だったことから、最初は興味がなかったのですが、軽妙な語り口でどんどん引き込まれます。ただ、その内容は、つまり歩んだ人生とその蘊蓄は、さすがに、ずっしり重いです。

 さて、先日、岩波文庫で再会して手に取り、また楽しみに読み始めました。全部読んだはずですが記憶から欠落していたのが、『蒔絵万年筆の創始とその影響』という一節でした。初めて読んだ大学生の頃は、安い万年筆は割と頻繁に使っていたものの、「蒔絵万年筆」だなんて何の興味もなかったので、読んだ直後にもう記憶から脱落したのでしょう。いま読むと、実におもしろいです。

  並木製作所(今のパイロット万年筆)に就職する大正時代の終わり頃の話が、語り口の楽しさについ笑ってしまうのですが、深く心を打たれます。

■ パイロット創業者の並木良輔と初めて出会った話です。この時点で松田は、芸大の卒業制作が教授全員の合同評価にて前代未聞の「100点満点」評価で政府買い上げ品(現在も芸大収蔵品)となるなど、受賞歴を重ねていた上、当時大日本帝国が事実上植民地支配していた朝鮮半島の楽浪郡遺跡の大規模修復作業に深くかかわった実績を重ねていますが、本人によると「無職の貧乏暮らし」。日本の伝統芸能たる漆を寺社建築のみならず、家具や室内装飾にも応用することに深く関心を抱いていた頃、万年筆や喫煙用パイプなど外国向けの新しい漆芸に魅力を感じます;

『とにかく、いっぺんその会社に行ってみようと顔を出したのが、ちょうど、会社の大塚新工場の起工式の日だった。出席すると、常務取締役の並木良輔という人が従業員や会社関係の人たちを前にこんな大演説を始めた。「きょうは、専門家の話によると、1年中で一番悪い月難と、日難の日で、しかもまた、午後2時というただいまの時刻は、今日中でもいちばん不吉な時間だという。そのいちばん悪い時刻を見計らい諸君とともに起工式を挙げる以上、今後、この工場ではろくなことが起きないものと決意されたい。もし、いいことが少しでも起きたら例外として感謝し、悪いことが起きたらあたりまえで、禍いをかならず福に転じてみせるという気構えに立っていただきたい」云々。この並木良輔の演説には大いに共感を覚え、おもしろそうな会社と思って入社を決意したのだった。...』

■ 漆塗の万年筆の歴史も、パイロット万年筆の歴史も、このような意志ある人々によってつくられたのですね。エンドユーザーのさらに末端の私ですが、漆製ももちろんプラスチック軸でも、いっそう感謝して使うことにします。

■ 漆の小さな実が、今はちょうど葉が落ちて赤みがかっている頃でしょうか。見に行きたいなという気になりました。