■ 昨夜は月齢14の"十五夜"の月が煌々と灯り、眠っていられないほどでした。日の出前の闇夜の4時にはもう厚い雨雲に閉ざされてしまいました。
■ 明け方、黒い山塊となった岩木山に見えつ隠れつする配置となる、西に傾きかけた上弦から下弦にかけての月の風情が、年間を通して、個人的には美しいと思う月の姿です。🔗2024/9/19
■ それゆえ、中原の海辺の月の光景は、私はほぼ見たことがないです。が、"海にある月の光景"は、遠い憧れでもあり、うっすらとした恐怖でもあります。(🔗2024/10/12)
■ 中1でこの詩に出会ったら、ショックがありそうです。あった人がイマこれを書いているかもしれません。中3で寺山修司に会ったときも同じような...。
■ 言葉を、ていねいにじょうずに、しかし、人さまに向けたり、人の理解を得ようとしたり、"よそ行き"のために...というつかい方をいったん置いて、誰のためでもない、自分のためにつかって、できるだけいっしょうけんめい表してみたら、こうなのかもしれないな、とおもいました。
■ でも、その醸し出す、ほの暗いなかで、何かが月明かりで小さく光っている光景(それが"きれいな貝がら"なら凡百の駄作でしょう)...。いまいる背景が、"海","闇"という深淵だけに、2つの小さな明りがあるせいで、かえって"恐怖心"が、ほんのりと、でも大きな背景として、ひろがっている気がするんです。
- 月夜の浜辺 -
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。
それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
なぜだかそれを、捨てるに忍びず
僕はそれを、袂に入れた。
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。
それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
月に向かつてそれは抛れず
波に向かつてそれは抛れず
僕はそれを、袂に入れた。
月夜の晩に、拾つたボタンは
指先に沁み、心に沁みた。
月夜の晩に、拾つたボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?