■ 山あいの道をさんぽするのも、クマさんを怖がるようになったので、家にいて本を読むことにします。
■ 手元にたまたま個人的に購入した検定教科書が何冊かあるので、私でも理解できる範囲で、少しずつ読んでいこうかなと思います(私は学校関係者でも生徒の父兄でもないです)。
■ 『オオカミを見る目』 高槻成紀 (東京書籍『新しい国語1(令和3年)』)というお話です。
■ 要約;
- 私たちのオオカミに対する印象は、ヨーロッパ童話のような"ずるがしこくて悪い動物"。
-ヨーロッパでは、麦を栽培し羊を飼う農牧業。肉食動物のオオカミは羊を捕食し農牧業にとって忌まわしい存在。加えて、中世暗黒時代のキリスト教の影響で、羊や人まで襲うオオカミを悪魔のイメージと重ねた。
- ところが日本では古来、オオカミは神の使者のように敬われ、神社で祀られていることもある。
- なぜなら、古来日本は稲作菜食の農業国家。その生活基盤となる稲や畑を荒らすのは、シカやイノシシ。肉食獣のオオカミはこれら草食獣を捕食することから、日本においてオオカミは、農業を守り、ヒトの味方である存在だったからだ。
- イマ、日本人は、そのような目でオオカミを見ていない。むしろヨーロッパ的な憎しみに基づき、明治期には撲滅作戦が展開され、明治38年にオオカミは日本から絶滅した。
- オオカミに対して日本人が手のひらを返すような経緯になった理由は2点。
- 1. 江戸中期、海外から狂犬病が流入、オオカミが罹患すると、獰猛となり、それまで襲わなかったヒトにも噛みつき、全国に流行することとなった。
- 2. 明治期に、富国強兵策のもとで、欧米の価値観や教育が広く普及した。
- 以上の2点に加えて、感染症ジステンバーの流行、開発による生息地の減少、捕食できるシカなどの激減により、オオカミは絶滅した。
- 現在、増えすぎたシカによる食害などは、オオカミの絶滅が自然の生態系バランスを崩したことが一因だ。
- オオカミに対する日本人の見方が変遷した例によって、私たちは、人の考えや行いは、置かれた状況によって異なり変化するものだということを心に留めておきたい。
■ 内容に対する読後感や感想は、たいていくだらないものになるので、ナシで。
■ もしも教科書のココが定期テストの範囲に指定された中1の皆さんは、これを何度も何度も読んで試験に臨むことでしょう。1回読んだだけで感想を書いているブログの浅はかさにくらべると、何度も読んだら自然と深 く自分で考え・咀嚼し・栄養となり、それが中1の生徒さんの知性をつくっていくんですねぇ。あやかれるよう、本は何度も読んで音楽は何度も聴いて、考えるクセをつけたいと思います。