2023/07/05

■ あるく - 内真部眺望山


今日の「英単語集を書く」は、0401-0500まで。

鉛筆は、1ダースのうち6本を削って使っています。新品と長さが比べやすいかなと思って...。

そうそう、三菱鉛筆Hi-Uniは、削っている際も使っている際も、スギの良い香りがします。北米産のIncense Cedarのようです。さすが高級鉛筆。

この単語集は、5訂版で、2021年6月に発行、と昨日も書きました。爆発的に広がりつつあったコロナ禍の頃ではありますが、ロシアによるウクライナ侵攻は、その後の昨年2022年2月です。不足しがちな弾薬供給が喫緊の課題であり続け、常に西側に供給を仰がねばならないウクライナ大統領。10日ほど前の2023/6/24(JST)には、ロシアの傭兵会社創設者の乱がありましたが、その直接的なキッカケは、露国防軍の懈怠による弾薬支給の停滞が許しがたいという主張でした;

今日の例文431: One of the biggest issue facing the wartime administration is maintaining a steady supply of ammunition.

戦時の政権が直面する最大の課題の1つとして、弾薬の安定供給を維持するということがある。

...こ、この本は、単語集のふりをして、じつは旧約聖書のような預言の暗示書 “A bleak prophecy of war and ruin” なのでは...。

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津軽半島中央部は、南北に背骨状に標高の低い500m前後の山地が伸びていて、そのやや南麓は、日本三大美林の青森ヒバの産地です(「日本三大美林(天然林)」は、1) 木曽ヒノキ、2) 秋田スギ、3) 青森ヒバ」といったん措定しましょう)。

この山脈エリアを横切るようにして青森県道2号(屏風山-内真部(うちまんぺ;アイヌ語?))線が東西に通り、西側に位置する津軽平野と東側に位置する青森市などのむつ湾岸を結ぶのですが、山岳路は狭く急峻でカーブは見通しが悪く、営業用車両が抜け道として飛ばし気味に利用していて、地元の人も観光用としても、好んであえて出向きたい気持ちにならない道のようです。

昨年8月の大雨で山頂尾根付近の道路法面が崩れて以来ずっと、工事による長い片側通行区間が設置されているのに加え、この初夏の大雨で、2週間前の6月中旬からさらに別の箇所が2kmに渡り災害による全面通行止です。流通路としての経済的機能はもう休止しています。まったく同じ事情が、すぐ南側に並行する県道26号(天田内-飯詰)線でも続いていて、ほぼ全線の16kmに渡って昨年8月から無期限で全面通行止で冬期ゲート閉鎖状態です。

他面、これら2本のルートは、ヒバの森林帯のど真ん中を貫く道ですので、道端から景観をよく見ると、その樹相は、じつに見事です。このうち、県道26号線は今は全線に進入禁止ですが、県道2号線は、途中に工事による車線規制区間はあれ、こちら側(西側)からアプローチして分水嶺を越えてむこう斜面を降りかけたところに「眺望山自然休養林公園」があって、そこから先(東側)が全面通行止のようですので、むしろ、公園まで行って折り返すつもりならば(すなわち「山を登って向うに降りてまた帰ってくるようなヒマで酔狂な人」ならば)、交通量ががっくり減っているはずですので、この貴重なヒバ山を、晴れた平日にゆっくり堪能できそうです。

...などと猪口才なことを考えて、出向きます(ホントに行くんですかい(;^^)。

案の定、金木地区の集落を過ぎて県道2号の山あいの一本道に入ると、交通量はゼロに近いです。木漏れ日のさす森の快適な舗装道路が、完全に貸し切りです。とはいえ、カーブが多くミズナラやブナがおい茂り道路の見通しは良くないので、爽快に走ろう、などとは思わないことにして。

分水嶺を越えると、それまでのブナ・ヒバ混在の森林相が、いっせいに、原生林・二次林の相入り乱れたヒバ林のみに変わります。山頂付近のつづら折りが、向うにくだるにつれてゆるやかで伸びやかな道になります。

「公園」に近づいた頃、遠くに伐採樹木が置かれてあるのが見えました。近づくにつれて強烈なヒバの良い香りが漂います。一昨日までずっと冷たい雨が続いたところ、今日は晴れていっきに気温が上がって蒸し暑くなり、むせ返るようなこの香りが立ちのぼったのでしょう。思わず立ち寄り、深呼吸をして、リラックスしてからだをのばします。

それにしてもなんと良い香り!

5月初旬にクルマでフラリと行った南部地方と県境を接する岩手や秋田の山岳エリアは、いたる所でスギの良い香りを楽しみました。

が、今日のこのヒバの香りは、また格別です。遠い懐かしい香りのようでいて、同時に、乾いた明るく格調高い香りであるような気もします。

■ 忘却の淵に沈んでいた、懐かしい幼少期のお風呂の桶や湯もみ棒の香りでもあります。また、春に苦しんだ実家整理の際、何度も1F天井裏や2F屋根裏に上がりましたが、真っ暗闇の中に埃っぽいにおい。その背後にヒバのかすかな香りを感じたものです。何回目かに侵入して気づいたのですが、屋根裏の柱に「ヒバ材 〇〇号/ 青森県産 昭和41年」などの墨書が、暗闇の中ヘッドライトの明かりの前に浮かび上がりました。

もう忘れかけていた香りや記憶。なぜ懐かしいか、過去の具体的場面などは存在しないのですが、この懐かしさは、抽象的な記憶なのでしょう...。

 「...しばしとてこそたち止まりつれ  (西行;新古今(三)夏262)」

 少しだけ立ち寄るつもりだったのですが、あまりの爽やかさと懐かしさに、この森林の林道わきの開けた木材置き場に、だいぶ長居してしまいました。

「あるく」目的で一歩でも外に出ると、気持ちがくつろぎます。ちょっと日常から離れて外に踏み出しただけなのに、西行の、あの超絶的な高みを悠然とただようようなくつろぎ感に想いが飛びます。

また山のくねくね道を逆にたどって戻ることにします。