2023/07/29

■ なおす? - 1970年代の機械式タイプライター



春に、実家整理をした際に、画像の、高校時代に使った機械式(手動式)タイプライターを発見しました。

シルバー編機?製造の、シルバーリード(Silver Reed)720というモデルだと、いまだに記憶しています。

入手したのは中学のときでしたっけ。無理して大学附属中学校に入り、大都会に出てきて(?)、見るモノ聞くモノすべて別世界でしたが、中学校で衝撃を受けた光景は、英語準備室で先生方が使っていたタイプライターという物体でした。あ、英語準備室というのは、教育実習校だから教科ごとの教育実習生の出入りが多く、「職員室」は存在せず、科目ごとに職員室的な教員用の広い執務室があり、実習生らも控えるスペースを備えているということです。で、定期テストは、英語教諭らがタイプライターで作成していました。ちなみに、高校は普通の県立高校だったのですが、そこでは、定期テストは、英語教諭らが教材をハサミとのりで切り貼りつぎはぎして作成していました(笑っちゃいけないけど笑...。同じ教員でも能力の差を実感した瞬間です(おおげさです)。もちろんPCもワープロもない時代の話です。

中学のときから、授業中に、英語や古文の本文の、行間にメモを書き込みたくなりました。が、教科書だと本文は書き込めるほどの空間はなく、今でもそうでしょうが、無理やり書き込む人が多数派です、私を含め。それでお勉強自体が息苦しくなるワケで。コンビニもコピー機もないこの時代、ひろーい行間のあいた本文が欲しければ、自分でノートに手書きするしかないです。やっている勤勉な同級生も多かったです。そんな時に、英語ならルーズリーフ用紙にタイプライターで打ち込めば、可能です。

と机上の空論を膨らませ…いやそんなことをつべこべ考えているヒマにさっさと手で書き写した方がよほど勉強になるというのに…。で、そのタイプライターが欲しくて、調べて、父親にねだっていたのですが、自分の周りに持っている人など見たことがありません。父親は、英文タイプライターとはどんな物体か把握できなかったようです。購入したのは、おそらく高校入学前後の1970年代後半。高1の夏休みには、タイプ教本のトレーニングに明け暮れ、学校宿題プリントの英文を片っ端からルーズリーフに手入力していた記憶があります。大学受験終了まで、めいっぱい使いました。その後、大学入学のために上京した春休みに、第1外国語となったドイツ語の、配付された大学教材を、試しにこの英文タイプライターで入力してみましたが、特殊文字を手書きするのがやはり猛烈にめんどうになり、大学が始まると同時に、ドイツ語専用タイプライターを新たに購入することにし、これは実家に送り返しました。

その夏に帰省した折、中高生だった妹たちが使ってみたいというので、傷だらけの外装鉄板ボディを、スプレーペイントで、ご覧のピンク色に…。鉄板ボディは、ボルトやカシメ箇所をすべてていねいに外して、塗装を薬剤剥離し、下地の汚れ錆を落としてスムーサをかけて、かなり念入りに塗装作業をしました。

で、今年3月に発見したのは、父母も妹たちも、捨てずに保管していたからなのはもちろんのことです。40年ぶりの再会にチョット感動を覚えました。

 先日、恐る恐るケースを開けてみると、その瞬間、タイプリボンインクやタイプバー(活字レバー)の潤滑油の「いつものにおい」がしました!中はきれいなまま。70年代ペリカン製の修正用紙まで残っています。

どんな状態か、動作確認してみたいです。左手で手近な紙を挿すと同時に右薬指でリリースレバーを解除しそのまま右手親指と人差指でローラーに巻き込み、両手でプラテン内の用紙の左右の傾きを修正して左手でローラーレバーで送って…

…って、においといい、動きといい、まるで昨日までごくふつうに使っていたかのように、自分の脳ではなくて、手が勝手にセッティングの手順をなめらかにこなしていきます…!スムーズな動作といつものにおいに、自分の脳が、理性が、この40年間の時空のギャップがあるはずだったのを感知して、ビックリしています!

が、打鍵してもキーが渋くて下りず、タイプバー(活字)が上がってきません。潤滑油の粘度が極端に上がって固着しているようです。他の動作としては、リボンは、送りや上下シフト可能です。プラテンの巻き込み、ローラーの左右動ともスムーズです。この程度であれば、オーバーホールすればあっさり復活しそうです。いまどき受け付けてくれるか、ネットで調べたところ、取り扱い業者が豊富に存在するようで、料金も私の機種クラスの場合分解清掃潤滑で¥30,000前後のようです。

で、依頼しますか? 使うんですか? …実用上は、PCが存在する限り、無用の長物です。

じゃ、捨てますか。祖母のミシンのように(4/25ご参照)、まったく使わないことは明らかなので、捨てるしかないでしょう。が、明治時代設計の足踏み式ミシンとは異なり、莫大に空間を占拠するわけではないので、今すぐ捨てずに...、とはいえど、…う~ん、どうしようかなぁ。