2023/04/24

■あるく - 柏村の田んぼの道


家からすぐ近くの柏村の田んぼを、8km、12,000歩ほど歩きました。

田んぼは、まだ冬の眠り。画像は真西に向いています。左寄り(南西)に岩木山。このエリアに特有の吹きすさぶ冬の季節風の西風が、まだまだ強烈です。でも、土が反されて今年の田んぼが始まるのは、この数日内かなという気がします。

昨年来、生活が運動不足がちなので、柏のイオンショッピングモールにある「つがる市図書館」まで往復8kmを、できるだけ歩くことに決め、実行しておりました(無雪期)。その後、雪かき労働のシーズン真っ盛りとなり、で、雪が消え、田んぼに軽トラも入り、春が戻ってきました。私は農家ではないのですが、この田んぼの道(舗装農道)を歩かせてもらっています。

すぐ並行して、国道101号線バイパスが、五所川原市と柏村との両方にある沿道のショッピングセンター地区(画像では右端にその一部)を結ぶ道となっており、かなりの交通量ですが、他方、この農道を通るクルマは農家の軽トラや地元の人の乗用車のみ。国道バイパスの喧噪を遠目に眺め、こちらはのどかです。クルマがやっとすれ違える程度の道で広いわけではないのですが、田んぼに開けた交通量が少ない道を徒歩で行く限りは、まだまだ冬の風は冷たいものの、気分が広々・せいせいする思いです。

 半世紀前も遠い過去、弘前の下宿先のお寺から、学校まで、城下町弘前の繁雑な小路を縫うように毎日往復8kmを、徒歩で通学しました。部活のオーケストラ部の楽器(ヴァイオリンかヴィオラ)をもって。しかし、いくら昔の話でも、こんな長距離を歩いている生徒はいなかったです。

昨年秋にこの田んぼの道を往復した初日は、あの時代と同じような距離なのに、復路の終盤は歩けなくなりそうでした。が、翌日以降、雨の日も休まず歩き、だんだん軽やかになっていきました。その毎日も、雪が降ったら終わりでしたが、季節が巡ってまたこうして歩けるのはうれしいです。

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道すがら、ヘッドフォンで、モーツァルトのピアノソナタやバッハの無伴奏ヴァイオリンやシベリウスの弦楽四重奏曲を、少し大きめの音で聴きながら、広大な田んぼの道を歩きます。

...なんだか無限に広がるような大きな孤独感。歩いても歩いてもこの冬枯れの景色は変わらない気もします。行けども行けども希望の光や悟りに容易には達しない心情でしょうか。山頭火の「分け入っても分け入っても…」みたいです。疲労して眠った夜の夢にもう何十年間も見ているような光景です。

隔絶された寂寥感はあるのですが(おおげさです)、でも、うなされる夢とは違って、この年齢この状況になった今回は、考えたり聴いたりしながら歩いてみると、独り内面から充溢する何かを感じます(考えすぎです)。

たかが田んぼの道で大げさなんですが、なんだかこの世離れした特別な時間や空間が広がり、明日もまた歩くのが楽しみです。