2023/10/25

■ まなぶ - 万年筆を始めた私-2


- 10/21の続き - これまで聞いた複数の方々のステキな体験を合わせて、お一人の方の体験としてまとめています(;^^w


カクノのような安い万年筆はダメだなと思った。クレームをつけに行こうかとも思うが、万年筆の値段からして、クラウンを買い替えるわけじゃないんだし、改めてもっと良いものを買い直そう、と思い、プラスチックごみに。

翌朝、妻が、「今朝プラごみを収集に出そうと思ったら、これを見つけたんだけど...」といって、昨夜捨てたはずのカクノを見せつつ、「万年筆なんか使ってたっけ。真新しいじゃない。ペン先が曲がってもうだめなのね? 箱もカートリッジもいっしょに捨てるの? まだ使ってないじゃない? 他に何か使ってたっけ?」 

意外な伏兵に襲われた気がした。『カートリッジ』だって? それは何だ? ひとまず、...とっさに取り繕って、「つ、使おうと思ったら、お、落としてすぐ踏ん付けてしまったんだ...。」

「あらま、もったいない...けど、これじゃだめね。どなたかからもらったの? 自分で買ったの?」

い、いかん、この尋問にもちこたえることは、経験的に困難だ。あまり作り話をしてもムダだ。「つ、使ってみようと思って買ったんだけど、残念なことをしてしまったんだ。」

...妻の疑惑のまなざし。が、その一瞬の気まずさを払うように彼女は「今はみんなこんなペン先なのよね。私たちの中学のときって、指先の爪みたいな形だったわよね。あの形ってもうないのかな。」

「そ、そうだね。それを思い出して、仕事をやめたのを機に使ってみようかなと思って...。あ、あの形のを、また改めて買い直そうかと思って...。

妻は、「じゃ、カートリッジはまだ使えるから捨てなくてもいいわね。」といって、パッケージの箱を置く。カクノの本体は捨てることにしたようだ。...私がまだ何か隠している風なまなざしを向けているが、この話題はそれで終えることにしたようだ。ふぅ。

言われてみれば、たしかに、中学の頃、同級生らが使っていたのは、あの指先の爪みたいな形のペンだった。私は万年筆など興味がなかったが、彼女は使っていたのか。いやそれより、カートリッジとは何だ? 

またPCに向かって、『カクノ 使い方』を検索する。と、なんとあのプラのパッケージの中に、カートリッジインキと取扱説明書が入っているという。

あわてて妻が置いて行ったパッケージを開くと、パッケージの紙に隠れて、細長いカートリッジと『やさしい万年筆カクノの使い方』の紙が出てきた。隠すようにして梱包していたとは。私は、パッケージを開けるや否や本体を取り出していきなり書き始めたので気づかなかった...。

インターネットの誰かのウェブサイトの説明では、本体にカートリッジを挿して、数時間置くか、挿した状態でカートリッジの腹を少しつまむように押してやると、ペン先にインクが通じてくると...。そういうことだったのか。ボールペンと違って不親切なしくみだと思う。

だいたい、このむき出しのペン先が、やはり、これ見よがしで嫌味がある。万年筆に対して反発を感じる人も世の中には多いが、その原因の一つはこの大げさな形だろう。こんな形状は小学生には危険ではないだろうか。あの当時のような奥ゆかしい爪みたいな万年筆を最初からきちんと購入していればよかったのだと思う。

「 パイロットのウェブサイトを見る。...目も眩むほどのラインナップだ。理解できない高額なものから、下に降りていくにつれて値段が下がる。その下の方に、昔風なペン先の「エリート」と言うのがある。値段も1万円と、まぁ想像していたくらいの価格帯だ。これだ。ひとまずこれを買って、まだ興味があるようだったら、そのときには高級品にグレードアップすればよい。