2023/09/21

■ なおす - 鉛筆削りの刃を砥ぐ


左;before  ⇔  右;after

7月から数十年ぶりにまた使い始めた鉛筆ですが、使って減って、電動鉛筆削り器に入らなくなりました。手持ちの、筆箱に入るサイズの携帯タイプの鉛筆削りがいくつかあるので、それを使います。

■ が、削り具合はというと、回して最初の0.1mmでわかることですが、渋く、鉛筆の木部はひっかかるし、肝心の芯がぼろぼろに崩壊します。刃がもうとっくにダメなんですね。刃物の宿命ですね。

■ いくつかある(実は30個程度はあった)ものを、片っ端から試して全滅。それはそうだ、何年も放置しているわけですから。で、また数個を買い足しました。新品はスムーズに削れます。

■ ところで、その古いヤツですが、まとめて全部捨てますか。で、今後、鉛筆を使い続ける限り、鉛筆削りは定期的に捨てて新品を買い足し続けますか...。プラスチッキーな安物ばかりだし...。1つだけ、アルミダイキャスト台座に載ったのもあるけれど...。小学生の皆さんはどうしているんだろう...。

■ 似たような話を、もしかして、波刃のパンナイフでした気がしてきました(7/19)。

■ じゃ、パンナイフに倣い、古い鉛筆削りの刃も砥ぎましょうか...。いや、そりゃ無理だから...と思いつつ、いやもしかしてまさか...。

■ ジッと見ます...。どれも構造は単純で、刃をプラスチックやアルミダイキャストの台座にボルト止めしてあるだけです...。

■ アルミダイキャスト製のこれは、買った日のことを覚えています。もう30年以上も前の無知で傲慢だった大学生の頃(今もあんまり変わりません)、東京の自分の下宿の部屋で鉛筆を使っていてすぐの必要を感じたので、スグ地元の文具店に駆け込みました。安い物(例えば100円としましょう)がある中に、「ドイツ削り」とエラそうに書かれた(エラそうと感じるかどうかは個人の主観です)高額品(たとえば300円としましょう)が置いてありました。すかさず私は、店番をしていた風の引退した店主ふうのおじいさんに、「このドイツ削りって、他の商品よりすごく高いんですが、いったいナニが違うんですか!?」と挑むように質問しました。おじいさんは「刃が違うんだよ」と。「本当にそこまで違うんですかぁ? ふうん」と私は、その「ドイツ削り」1個と安いプラ台座のもの1個を購入しました。これから比べてみるからな、同じだったらただでは済まさんぞ、と言わんばかりの勢いで...(;^^?

■ さっそく削り比べたところ...、「さっすがドイツ製、やっぱ違うね~」という展開にはならず、同じだよ、おい!どちらもたいへんスムーズに削れて、区別はできません。これはヤラれたな、日本製もドイツ製も今どきは同じだよ。だったら安い日本製の方が良いに決まっている...との結論を得ました。あのおじいさんも、もうそろそろドイツ製がエラいなどという舶来物信仰を改めるべき時代だとわかってもらいたいものです...(;^^?

■ ところが、ほどなくして気づいたのは、日本製100円は、切れ味の減衰が早いです。ドイツ製300円は、あいかわらずサクサクと削れますが、日本製100円は、ひっかかりが激しくなってきました!差は歴然...。もしかしてそういう意味だったのか...。おじいさん、ごめんなさい。

■ その後、自分の変遷として、鉛筆は、シャーペンやボールペンに押されてまったく使わなくなり、三十数年を経ました。あのときの日本製100円はとっくに処分し、手もとに後生大事にドイツ製300円が残ったわけです...三十数年使われないまま。

 さて、今、そのドイツ削りとやらの刃を、研げるものなのでしょうか。考えました。通常の包丁のように砥石にかけようかとも思ったのですが、サイズ的に、逆に砥石の方が欠けたり削れたりしそうです。大げさにやってブログだユーチューブだにアップしてネタにしたり笑いを取ったり...は今する作業の目的からハズれます。

■ 考えて思い出したのですが、私は包丁砥ぎの仕上げには、ふつうそこまでしなくていい#4000前後の「仕上げ砥」を使いますが、そんなヘンなこだわりがなく家庭の台所で不自由なく使うには、#1500程度で砥いだら、あとは、「新聞紙で返りを取」れば、じゅうぶんではないでしょうか。新聞紙が仕上げ砥になる理由はいつくかあるそうで、紙のザラつきやインクに含まれる炭素成分が、目の微細な高番手の砥石と同じ機能を持つらしいとのこと。物理学的機序はともかく、経験による有効性は周知されています。

■ では、今、鉛筆削りの刃を、新聞紙だけで砥いでみましょう。うまくいけば、今後、気軽に持続可能な作業として、砥ぐことができます(誰もマネしないとは思われるが)。

■ まずは切れ味が悪いまま鉛筆を削り、その感触を覚えておきます。空回りする感じで、木や芯のカケラがハラハラとでてくるだけです(画像左側)。で、ドライバーのクロス1番で、小さなボルトを慎重に回し、刃をそっとはずします。

■ はずした刃を、刃がついた面を下に、刃がついていない辺を右手の親指と人差し指で強くつまみ、刃を新聞紙に押し付け、右方向にゆっくり長い距離でひきずります。また戻ってまたひきずります。摩擦の方向は一方通行です。10回で指が痛くなりましたが、30回、100回、150回...。いちおう、気分的に、刃を裏返して、同様に30回程度。

■ え、それって...研いだんですか? と言われると、まぁ研いだつもりですよ。装着して確かめてみましょう。ダメなら笑って捨てましょう。

■ ら、えぇぇ~っ!? 切れる!かんなくずやかつお節のように、削りかすがしゃーっと上がってきます!(画像右側)。しかも、鉛筆本体の切削面にツヤと光があります!こ、これって、新品同様というか、包丁同様、砥いだだら新品より切れるようになったのではないの? 

■ 手持ちの日本製や中国製のプラスチック台座のものもどんどん砥ぎましょう。買い足す必要はなかったのか...。今後は遠慮なく書いて遠慮なく削ってつねにシャープな鉛筆を楽しめます。うれしい!

■ やっぱ、ドイツ製は刃がちがうんだよね、鉛筆削りを使い捨てにする無知な君にもわかってもらいたいものだね...フ......(なんてヤツでしょうか)。